給料の未払いがあったときの対処方法とは?

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書類の数字

長い人生の間では、自分が働いている会社が給料の支払いを遅延したり、場合によっては支払いをせずに夜逃げするというようなことに遭遇することもあるかもしれません。

このような給料の不払い(未払い)にあった場合、皆さんはどのような対応をすればよいか考えたことはあるでしょうか?

会社の上司や経理の担当者に抗議したり、小さな会社であれば社長に直談判することは誰しも想像できるかもしれませんが、それでも支払ってくれない場合にはどのように対応すればよいか不安になることも多いのではないかと思います。

そこで今回は、給料の未払いがあった場合にどのように対処すればよいか、という問題について考えてみることにいたしましょう。

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給料の未払いを証明する”証拠”を確保しておく

未払い状態になっている給料(賃金)を会社に請求する場合には、その未払いる賃金(給料)がいくらあるかということを証明する証拠を集めなければなりません。

なぜなら、給料が未払いになっていることを証明できる証拠がなければ、最終的に裁判になった場合、自分の主張が認めてもらえなくなってしまうからです。

会社が給料(賃金)を支払わないという状況は、会社が「払いたくても払えない」か「払いたくない何らかの理由」があるかのどちらかであると思われますが、いずれにしても話し合いで解決できない場合には最終的に”裁判”ということになるでしょう。

しかし、裁判になった場合には、たとえ本当に賃金が未払いとなっていたとしても、その証拠を提出しない限り裁判所は「未払いとなっている賃金をしはらいなさい」とは言えませんから、証拠を確保しておくことは必須になるのです。

なお、悪質な会社によっては裁判になりそうになると会社側に不利になるような証拠(給料の未払いがあったことを示す証拠)を隠したり、破棄したりして裁判を会社側に有利なように進めようとする場合がありますから、なるべく早く証拠を押さえておく必要があります。

給料の未払いを証明する”証拠”の具体例

給料の計算は「働いた時間×賃金の単価」の数式で計算されますので、未払いがあったことを証拠も「①働いた時間を証明する証拠」と「②賃金の単価を証明する証拠」の2種類に分けられます。

① ”働いた時間”を証明する証拠

タイムカード

勤務時間を証明する資料(証拠)として代表的なものは、タイムカードです。

タイムカードには出社と退社の時刻が打刻(印字)されていますから、「少なくともその時間内は会社にいた」ということが証明されますので、「その時間は会社にいたから、その時間は勤務していた」ということを証明することが可能です。

もっとも、タイムカードそのものを持ち出すことはできませんので(タイムカードは会社の所有物なので勝手に持って行くと窃盗になってしまう)、タイムカードをコピーするか、デジカメやスマホ(携帯)で撮影し、プリントアウトしたものを裁判では証拠として提出することになります。

タイムカードがない場合

タイムカードがない会社の場合で、勤務時間を手書きの用紙に記入しているような会社であれば、その勤務時間を記入した用紙をコピーするなどしておきます。

また、ICカード(IDカード)などで勤務時間を記録している場合は、勤務時間帯を記録したデータをPCに表示させてその画面をプリントアウトするか、その画面をデジカメやスマホのカメラで撮影したものをプリントアウトして裁判に証拠として提出するのがよいでしょう。

勤務時間を記録していない会社の場合

会社によっては(特に小規模な会社や個人事業主など)、実際に労働した時間(勤務時間帯)などを正確に記録していないところがありますが、そのような場合はタイムカードや勤務時間帯のデータをプリントアウトすることができません。

そのため、このような会社の場合には毎日、何時に出社し何時まで働いて何時に退社したかという記録を自分自身でメモしておき、それをコピーしたものを裁判に証拠として提出するしかないでしょう。

また、日記を付けている人で、その日記に出社時間や退社時間を記録している場合には、その日記のコピーを提出するのもよいでしょう。

自分で記録したメモ紙や日記の記録が裁判の証拠として有効なのかという疑問があるかもしれませんが、メモ紙や日記の記録であっても毎日継続的に記録している物については裁判所も証拠として採用することが多いので問題ありません。

タイムカードや会社のPCの勤務時間帯の記録をプリントアウトしたものに比べれば、日記やメモ紙は証拠としての能力が落ちますが、裁判における証拠として使用できますので、勤務時間帯を記録していないような会社に勤めている場合には、自分で勤務時間帯の記録を継続的に付けておくことを意識しておいた方がよいでしょう。

【ワンポイントアドバイス】

雇用主(会社側)には、従業員の労働時間を正確に把握しておかなければならない義務があります。

平成13年4月6日に出された通達(平13.4.6基発339号通達)では、「使用者が労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を把握すべきこと」が明記されており、またその把握方法としては「タイムカード・IDカード等客観的な手段」で行うこととされています。

そのため、通常はタイムカードやIDカードの出退勤記録をプリントアウトすることができるものと思いますが、前述したような従業員の勤務時間帯を把握していないような法令上問題のある会社もありますので、そのような会社の場合に限って日記やメモ書きを証拠として提出することになるでしょう。

② ”給料の単価”を証明する資料

未払いの給料を請求する場合には、前述の勤務時間の記録だけでは証拠として不十分です。

給料は「勤務時間×単価」で計算されますから、給料の単価を示す資料も証拠として提出する必要があります。

給与明細

給料の単価を示す証拠としては、給与明細があれば過去に受け取った給与明細書を提出すれば問題ありません。

給与明細には、月給なら「1か月出勤した場合の給与額」が、時給なら「○時間出勤した場合の給与額」が記載されていますから、前述したタイムカードなどの勤務時間を証明する証拠と合わせることで、未払いとなっている給料がいくらになるかということが計算できることになります。

就業規則

過去に受け取った給与明細を紛失していたり、そもそも給与明細の発行がない会社などの場合は、給料の計算方法などが記載されている就業規則を証拠として提出するしかないでしょう。

就業規則は入社時に雇用契約書と共に受け取っていればそれを、ない場合は総務部などに問い合わせてコピーさせてもらってください。

ワンポイントアドバイス

常時10人以上の労働者を使用する雇い主は就業規則を作成して労働基準監督署に提出しなければならないことになっています(労働基準法89条1項)。

そのため、もしも会社側が就業規則のコピーを撮らせてくれなかったりして就業規則の入手が困難な場合は、最寄の労働基準監督署に足を運んで、就業規則を閲覧することも考えた方がよいかもしれません。

全国の労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

給料(賃金)が未払いとなっている場合の対処法

勤務している会社が給料を支払わない場合の対処法としては、以下の方法が代表的なものとして挙げられます。

① 未払い賃金の支払い請求書を作成し会社に送付する

給料が未払いとなっている場合には、「未払い賃金の支払い請求書」を作成し会社に郵送しておくことも一つの解決方法として有効です。

≫ 未払い賃金(給料)の請求書【ひな形・書式】

話し合いで解決しない場合でも”書類”という形で請求することによって会社側も「こいつ本気で請求しているな」ということが分かりますので、場合によっては会社側が態度を変えて支払ってくる可能性もあります。

なお、書面という形で請求書を郵送するのは、後日裁判などになった際「未払い賃金の請求をしたのに支払ってもらえなかった」という点を証明するための証拠を確保しておく意味合いもありますので、郵送する場合は内容証明郵便で送付するようにしてください。

② 労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う

給料(賃金)の未払いがある場合は、最寄りの労働基準監督署に違法行為の是正申告を行うのも一つの解決方法として有効です。

全国の労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

給料(賃金)が未払いになっているということは、賃金の支払いを定めた労働基準法の第24条に違反することになりますので、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行うことが可能です。

≫ 賃金(給与)未払いに関する労働基準監督署の申告書の記載例

労働基準監督署に会社が法律に違反して給料を支払わないことを申告し、労働基準監督署が臨検や調査を行うことになれば、会社が監督署の指示に従う形で違法状態を改善することもありますので、そうなれば未払い賃金の支払うようになるかもしれません。

③ 労働局に紛争解決の援助の申立を行う

労働者と事業主の間に何らかの争い事が発生している場合には、労働局にたいして紛争解決の援助の申立を行うことが可能です。

≫ 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

会社が給料を支払ってくれないという問題も、給料の支払いが受けられない労働者と、給料を支払わない事業主(会社)との間に”紛争”が生じているということができますから、労働局に対して「会社が給料を支払わない問題を解決するよう援助して!」と紛争解決の援助の申立をすることが可能となります。

≫ 給与(賃金)の未払いに関する労働局の援助申立書の記載例

労働局は紛争解決援助の申立があれば、会社に対して”助言”や”指導”を行うことができますし、別途”あっせん(裁判所の調停のような手続)”の申立があれば紛争解決に向けた解決案を示すこともできますから、会社側が労働局の指示に従う場合には問題が解決する場合もあるでしょう。

もっとも、この労働局の紛争解決手続きには強制力はありませんので、会社が労働局の”助言”や”指導”、”解決案”などに従わない場合には、後述するように弁護士などに依頼して裁判などで解決を図る必要があります。

④ 弁護士などの法律専門家に相談する

労働基準監督署や労働局を利用しても解決しないような場合は、弁護士や司法書士、社会保険労務士と言った法律専門家に依頼して一般の民事訴訟やや労働審判など裁判所を利用した解決方法を考えるほかないでしょう。

ただし、労働トラブルは専門的な知識や経験が必要となる法律分野ですので、弁護士や司法書士の中でも特に労働関係の法律や手続きに精通している事務所に依頼するのが無難です。

どの事務所が労働問題に詳しいかわからない場合は、弁護士会や司法書士会などに電話をして「労働問題に詳しい弁護士(司法書士)を探しているんですけど」と相談してみるのもいいかもしれません。

≫ 弁護士?司法書士?社労士?労働トラブルの最適な相談先とは?

給料の未払いは「犯罪」

給料(賃金)の未払いは、「30万円以下の罰金」に処せられる犯罪行為です(労働基準法120条1項1号)。

「滅私奉公」の概念が強い日本では、会社に対して「未払いの給料を支払え」と請求することに抵抗がある人も多いかもしれませんが、給料の未払いが犯罪であることを考えれば、負い目を感じることは全くありません。

泣き寝入りする必要はありません。勇気を持って請求しましょう。


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