求人票に記載された給料と実際の給料が異なる場合の対処法

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書類を見て悩む

「ハローワークの求人票や求人雑誌で見た給与の金額は多かったのに、実際に務めてみるとそんなにもらえなかった」

というような経験はないでしょうか?

 「ネットの求人サイトで見た時は自給1000円と書いてあったのに面接に行ったら自給900円と言われた」とか、「求人票では『週休2日』と書かれていたのに、実際に務めてみると土曜は隔週でしか休みにならなかった」とかいった経験は誰しも一度はあると思います。

しかし、このような求人票にウソの待遇を書いて行う求人方法は全く問題とならないのでしょうか?

そこで、ここでは求人票などに記載されている労働条件と実際の労働条件が異なる場合の対処法などについて考えてみることにいたしましょう。

なお、面接の際に説明を受けた内容と異なる労働条件や待遇が労働契約書に記載され、それに気づかずに契約書にサインしてしまいその労働契約書に記載された労働条件や待遇で就労させられているというような場合の対処法についてはこちらのページで

▶ 面接と違う内容の労働条件が雇用契約書に記載されている場合

また、面接の際に説明を受けた労働条件や待遇が労働契約書(雇用契約書)にきちんと記載されてはいるものの、実際に働き始めてみるとそれよりも低い労働条件や待遇で働かされてしまっているというような場合の対処法についてはこちらのページで解説しています。

▶ 実際の賃金・休日等が面接や労働契約書の内容と異なる場合

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求人票に記載された賃金や労働時間などの労働条件がそのまま採用時の労働条件となるか?

求人票などに記載されている給与額や勤務時間などの労働条件は、企業側が求職者に対し「この労働条件で働きませんか?」と問いかける「申し込みの誘引」に当たります。

すなわち、求人票に「時給1000円」と記載されている場合は、募集する企業側は「時給1000円で働きたい人は就職を申し込んでください」と求職者を「誘引」していることになるのです。

このように、求人票に記載された労働条件は、あくまでも求職者を「誘引」するために提示する労働条件にすぎませんから、誘因に応じた求職者と企業の間で後日、当初提示されていた労働条件と異なる労働条件で雇用契約を結ぶことも可能です。

そのため、求人票に記載している時給や勤務時間(労働条件)と異なる労働条件を採用面接などの際に企業側が説明し、求職者側がこれに応じたような場合には、求人票に記載されている時給や労働時間(労働条件)と異なる時給や労働時間(労働条件)で労働契約が結ばれることになります。

たとえば求人票に「時給1000円」と記載されていたのに、面接の際に「求人票には1000円と書いていたけれども950円でもかまわない?」と問われて「950円でもかまいません」と応じたような場合には、時給950円の労働契約が結ばれることになります。

なお、求人広告に実際とは異なる虚偽の労働条件を掲載したり労働者の募集を行った企業に対しては6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性(職業安定法第65条)があるため事業主が事実と異なる求人を出すこと自体に問題はありますが、そのような刑事的な問題はあるとしても、求人広告の労働条件と実際の労働条件が異なっている場合には当事者間で合意した労働条件が実際の労働契約の内容となります。

【職業安定法第65条】

次の各号のいずれかに該当する者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第1~7号(省略)
第8号 虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した者
第9号(省略)


求人票記載の賃金より実際の賃金が著しく低い場合には差額を請求できる可能性もある

前述したように、求人票に記載されている労働条件と実際の労働条件が異なる場合に、その求人票に記載されている条件とは異なる労働条件で労働契約を結んだ場合には、その求人票とは異なる労働条件が労働契約の内容となります。

しかし、その実際の労働条件が求人票に記載されている労働条件を著しく下回る場合には、求人票と実際の労働条件の違いが問題となる場合があります。

たとえば、求人票には「時給1000円」と記載されていたのに、実際に面接を受けてみると「うちの時給は650円なんだよね」と言われるような場合には、たとえ「650円でも大丈夫です」と求職者が応じた場合であっても、求人票に時給1000円と記載していた企業の側に法的な問題が発生する余地が生じます。

なぜなら、労働者と使用者の間で結ばれる労働契約のルールを定めている「労働契約法」では、「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。(労働契約法3条4項)」と「信義誠実の原則」を規定しており、それに反する行為を取ることが法的に許されないと判断されることがあるからです。

この事例のように実際の時給が「650円」であるにもかかわらず、「時給1000円」という金額を提示して求職者を誘引する行為(求人票に記載されている金額を著しく下回る金額で働かせようとする企業側(使用者側)の行為)は「信義誠実の原則」に反すると判断される余地がありますので、仮に「時給1000円」という求人票を見て採用試験に応募し面接で「時給650円」との説明を受けて採用され働き出したとしても、その後に裁判を起こして裁判官が「信義誠実の原則」に反すると判断するような場合には、その差額の賃金(この事例では350円)について「払え」という判決が出される可能性もあるということになります。

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