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内定を辞退して違約金を請求された場合の対処法


内定を受けた就活生が内定を辞退した場合に、内定先の企業から違約金が請求されるケースがあるようです。

内定先企業が違約金を請求する事例としては、内定通知書にあらかじめ「内定辞退の場合における違約金の条項」を記載しておき、その「違約金の条項」を根拠に請求する場合や、内定の際に”内定を辞退した場合は違約金を支払います”などと記載された「誓約書」を内定者に差し入れさせておき、その「誓約書」を根拠に違約金を請求する場合などがあるようですが、そもそもそのような違約金の請求は認められるものなのでしょうか。

内定を辞退させてくれないときの対処法』のページでも解説しているように、内定の辞退は「退職」と同様に考えられますから、法律で退職の自由が認められている以上、内定の辞退も自由に認められるべきものといえます。

それにもかかわらず違約金の請求が認められてしまうとなれば、実質的に「退職の自由」が制限され不都合な結果となってしまうでしょう。

そこで今回は、内定の辞退に対する違約金の請求は認められるのか、また内定を辞退した企業から違約金を請求された場合の具体的な対処法などについて考えてみることにいたしましょう。

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内定の辞退は自由

先ほど述べたように、内定の辞退は内定者に与えられた法律上の権利と言えますので、内定を受けた内定者はいつでも自由に内定を辞退できるというのが基本的な法律上の考え方になります。

民法で退職の自由が明確に定められており(民法第627条1項)、労働基準法で強制労働が明確に禁止されていますから(労働基準法第5条)、内定が雇用契約の解除である以上、内定の辞退は自由に認められるべきものといえるのです。

違約金の定めは明らかに違法

前述したように、内定の辞退は法律上の正当な権利と言えますから、仮にその内定の辞退によって内定先の企業に損害が発生したとしても、その損害を内定を辞退した者が弁償しなければならない義務はありません。

では、このページの冒頭に記載したように、内定通知書に「内定辞退を辞退した場合には金〇万円を違約金として支払う」などど記載されていたり、内定者がそのような内容の記載された「誓約書」に署名しているような場合はどうでしょうか。

内定者があらかじめ違約金の支払いに同意していることから、内定の辞退を理由とした違約金の請求も認められるのではないかと考えられるので問題となります。

しかし、このような場合であっても、やはり内定の辞退を理由とした違約金の請求は違法と判断されます。

なぜなら、労働契約に際して違約金の支払いを誓約することは法律で明確に禁止されているからです(労働基準法第16条)。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。(労働基準法第16条)

内定通知書や誓約書に「内定辞退を辞退した場合には金〇万円を違約金として支払う」などど記載されていたとしても、そのような誓約(契約)はこの違約金の定めを禁止した労働基準法の第16条に違反することになります。

したがって、仮に内定通知書に「内定辞退を辞退した場合には金〇万円を違約金として支払わなければならない」と記載されていたり、「内定辞退を辞退した場合には金〇万円を違約金として支払う」などと記載された誓約書に署名捺印しているような場合であっても、そのような誓約(契約)は無効と判断されますから、そのような誓約(契約)を根拠に違約金を請求されたとしてもそのような誓約に応じる義務は一切ないことになります。

内定の辞退を理由に違約金を請求された場合の対処法

以上で説明したように、内定の辞退を理由とした違約金の請求は違法であり無効と判断されますが、ブラック企業などはそのような法律の規定に関係なく、内定者からの辞退の申入れを拒否し違約金を請求してくる場合がありますので、そのような場合を想定してあらかじめその場合の対処法を考えておくことも重要です。

このような場合の対処法としては以下のようなものが考えられます。

(1)通知書を送付する

内定を辞退した企業から違約金をされている場合には、その違約金に応じる義務がないことを説明した”通知書”を作成し使用者に送付してみるのも一つの方法として有効と考えられます。

口頭で「違約金を支払わなければならない義務はない!」と説明して埒が明かない場合であっても、文書(書面)という形で改めて正式に通知すれば、企業側が「なんか面倒なことになりそう」と考えてその請求を撤回するかもしれませんし、内容証明郵便で送付すれば「裁判を起こされるんじゃないだろうか」というプレッシャーを与えることが出来ますので、改めて通知書という形の文書で通知することも一定の効果があると思われます。

なお、この場合に内定先企業に送付する通知書の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 内定辞退を理由とした違約金の請求を拒否する旨の通知書

(2)労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う

使用者(会社※個人事業主も含む)が労働基準法に違反している場合には、労働者は労働基準監督署に対して違法行為の是正申告を行うことが可能で(労働基準法第104条第1項)、その場合、労働基準監督署は必要に応じて臨検や調査を行うことになるのが通常です(労働基準法101条ないし104条の2)。

事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。(労働基準法第104条第1項)

この点、前述したように、使用者が労働契約に際して違約金を定めることは労働基準法の第16条で明確に禁止されていますから、仮に内定先の企業から内定を辞退したことを理由として違約金を請求されている場合には、違約金の定めを禁止した労働基準法第16条の規定に違反するものとして労働基準監督署に違法行為の是正申告を行うことも可能となります。

なお、この場合に労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 内定辞退を理由に違約金を請求された場合の労基署の申告書

※内定者(内定辞退者)は労働基準法第104条1項にいう「労働者」か?
なお、労働基準法の第104条1項が「労働者は…申告することが出来る」と規定されているため、内定者(内定辞退者)が”労働者”として労働基準法第104条1項に基づく違法行為の是正申告を行うことができるのか、という点が問題となります。しかし過去の判例によると内定は「入社予定日を就労開始日とする解約権留保付きの労働契約(大日本印刷事件:最高裁昭和54年7月20日)」であり「入社予定日を就労開始日」とする制限はあるにせよ内定により内定者と内定先企業の間に労働契約(雇用契約)が有効に発生していますから、内定者(内定辞退者)も労働基準法第104条1項にいう「労働者」に該当し同条項に基づく是正申告を行うことが出来るものと考えられます。

(3)労働局に紛争解決の援助の申立を行う

全国に設置されている労働局では、労働者と事業主の間に発生した紛争を解決するための”助言”や”指導”、”あっせん(裁判所の調停のような手続)”を行うことが可能です(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条第1項)。

都道府県労働局長は(省略)個別労働関係紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該個別労働関係紛争の当事者に対し、必要な助言又は指導をすることができる。(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条第1項)

この点、内定を辞退した企業から違約金の請求を受けている場合についても、「違約金を支払わなければならない義務はない」と主張する内定辞退者と「違約金を支払え」と主張する企業との間に”紛争”が発生しているということになりますので、労働局に対して紛争解決援助の申立を行うことが可能になると考えられます。

労働局に紛争解決援助の申立を行えば、労働局から必要な助言や指導がなされたり、あっせんの手続きを利用する場合は紛争解決に向けたあっせん案が提示されることになりますので、事業主側が労働局の指導等に従うようであれば、会社側がそれまでの態度を改めて違約金の請求を撤回する可能性も期待できるでしょう。

なお、この場合に労働局に提出する紛争解決援助申立書の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 内定辞退を理由とした違約金請求に関する労働局の申立書の記載例

※内定者(内定辞退者)は個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律の「労働者」か?
なお、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律は「事業主」と「労働者」の間に発生した紛争を解決する法律になるため、内定者(内定辞退者)が同法にいう”労働者”として紛争解決援助の申立を行うことができるかという点が問題となります。しかし、前述したように内定によって内定者と内定先企業との間に労働契約(雇用契約)が有効に発生することになりますので、内定者(内定辞退者)も個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律で規定される「労働者」に該当し同条項に基づく紛争解決援助の申立を行うことが出来るものと考えられます。

(4)弁護士などに依頼し裁判や調停を行う

上記のような手段を用いても解決しなかったり、最初から裁判所の手続きを利用したいと思うような場合には弁護士に依頼して裁判を提起したり調停を申し立てるしかないでしょう。

弁護士に依頼するとそれなりの費用が必要ですが、法律の素人が中途半端な知識で交渉しても自分が不利になるだけの場合も有りますので、早めに弁護士に相談することも事案によっては必要になるかと思われます。

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