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休憩時間が与えられないことに関する労働局の援助申立書

このページでは、勤務している会社から休憩時間が与えられていなかったり、与えられていたとしても休憩時間において完全に労働から完全に開放されていないことを理由に、労働局に紛争解決援助の申立てを行う場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

適宜、ワードなど文書作成ソフトを利用して自由に複製してもかまいませんが、著作権を放棄するわけではありませんので無断転載や配布などは禁止します。

なお、この書式例(ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。この書式例(ひな形例)を使用して生じる一切の損害につき当サイトの管理人は責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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休憩時間が与えられないことに関する労働局の紛争解決援助申立書の記載例

(1)事実上休憩時間をとることができない場合


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都文京区〇〇七丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 安見梨代
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都江東区〇〇二丁目〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社ノーブレイク・オールデイズ運送
代表者 安間仙蔵
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 労働基準法所定の休憩時間を与えるよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、一般貨物運送業務を行う従業員849名の株式会社であり、江東区の本社営業所のほか、都内各所に営業所が設けられている。
 申立人は、平成〇年〇月に4トントラックの運転手兼配達員として入社し、新宿営業所において貨物の配送業務を担当しているが、与えられた配送業務の量が処理できる能力を超えているため昼食休憩として設けられた正午から13時までの1時間の間も集配業務を継続し、事実上休憩時間をとることができていない。
 以上のような状況は、休憩時間の付与を定めた労働基準法第34条1項に違反する。

3 紛争の経過

 申立人は入社当初から昼食休憩も取れないほどの集配業務を担当させられていたが、上司から「昼食が取れないのはお前の要領が悪いからだぞ」といわれていたため、要領をつかんで集配作業が早くなれば休憩時間も取れるようになるだろうと考えて上司に言われるまま必死で集配業務に専念していた。
 しかし入社から数か月経って集配作業の効率が良くなっても、さらに多くの集配業務を割り当てられるようになり、入社から〇年たっても一向に昼食が取れない状況が継続していた。
 そのため申立人は上司に対して休憩時間を取れる分量に集配作業を軽減するよう求めたが、「他のみんなも一生懸命やってるんだからお前だけ特別扱いできるわけないだろう」と返答するのみで一切仕事量を軽減したり従業員を増やすなどの改善策が取られることはなかった。
 そのため申立人は、平成○年〇月○日付で「休憩時間の付与を求める申入書」を作成し被申立人に文書という形で休憩時間の付与を申し入れたが、現在に至るまで休憩時間がとれる程度まで作業量は軽減されていない。

4 添付資料

・休憩時間の付与を求める申入書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、プリントアウトする際はA4用紙を利用するようにしてください。

(2)休憩時間中も電話応対などが義務付けられている場合


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都中野区〇〇五丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 安芽奈伊乃
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都大田区〇〇八丁目〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社ノーブレイク・フォーエバー
代表者 電和都礼代
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 労働基準法所定の休憩時間を与えるよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、室内のダニの数を瞬時に計測するスマートフォン向けアプリ「ダニくんチェッカー」を開発・配信する従業員849名の株式会社である。
 申立人は、平成〇年〇月に経理事務員として入社し経理業務に従事しているが、入社して以降、昼食休憩として設けられた正午から13時までの1時間の間についても上司から電話応対や来客時の接客などを命じられているため、昼休み時間中においても労働から完全に開放されることはなく、休憩時間中も離席することが事実上困難な状況に置かれている。
 以上のような状況は、休憩時間の付与を定めた労働基準法第34条1項に違反する。

3 紛争の経過

 申立人は入社当初から昼食休憩の時間帯においても電話や来客があった場合にはそれに対応するよう上司から指示を受けているため、電話や来客がない時には1時間の休憩がとれることもあるが、離席したりコンビニや銀行に行くなど事業所の外に出ることができない状況に置かれている。
 これに対して申立人は、上司に対して休憩時間中は自由に休憩が取れるようにさせてほしい旨申し入れたが、「お前が一番若いんだからお前がやるしかないだろう」「みんなそうやってきたんだからお前だけ特別扱いできるわけないだろう」というのみで一切改善しようとしない。
 そのため申立人は、平成○年〇月○日付で「休憩時間の付与を求める申入書」を作成し被申立人に文書という形で休憩時間中の電話や来客応対を止めるよう申し入れたが、現在に至るまで休憩時間中の電話や来客応対の義務付けは廃止されていない。

4 添付資料

・休憩時間の付与を求める申入書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、プリントアウトする際はA4用紙を利用するようにしてください。

申立書の記載要領

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を行っているのか、といったことを記載します。

上記の(1)の記載例では休憩時間が取れないほどの作業量を与えられて事実上休憩時間をとることができないことを、(2)の記載例では休憩時間は付与されているものの、その休憩時間においても電話や来客応対が指示されているため労働から完全に開放された休憩時間が与えられていないことを説明し、労働基準法第34条1項に定められた休憩時間が付与されていないことを説明する文章にしています。

なお、会社が法律で義務付けられた休憩時間を与えなかったり、与えてもその休憩時間中に電話応対などを義務付けられている場合の具体的な対処法などについてはこちらのページで詳しく解説しています。

▶ 会社が休憩時間を与えてくれないときの対処法

※「紛争の経過」の欄について

紛争の経過の欄には、会社との間の紛争がどのようなきっかけで発生し、会社側とどのような交渉を行ってきたのか、その経緯を記載します。

上記の事例では、事実上休憩時間が付与されていないことを上司に抗議し口頭で休憩時間を付与するよう改善を求めたものの改善されることがなく、その後文書で正式に改善を求めても一向に休憩時間について改善が見られなかったことなどを簡単に記載しています。

※「添付資料」の欄について

添付資料の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の記載例では、「文書で休憩時間を付与するよう求めたものの一切改善されなかったこと」を明らかとするために「休憩時間の付与を求める申入書」の写しを添付することにしています。

なお、この場合に添付する「休憩時間の付与を求める申入書」の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

休憩時間を与えるよう求める申入書の記載例

ちなみに、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付書類の項には「特になし」と記載して申立てをしても構いません。

(※「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

※ 様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられていないため適宜の様式で提出しても問題ないと思いますが、東京労働局のサイトから申立書のひな型をダウンロード(Word)することもできますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。

なお、申立書を提出する労働局の具体的な住所等については厚生労働省のサイトで各自ご確認をお願いします→ 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省)。