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休業手当が支払われない場合における労働局の援助申立書の記載例

このページでは、使用者側の都合によって休日になったにもかかわらず、その休業日の賃金(休業手当)が支払われないことを理由に、労働局に紛争解決援助の申立をする場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

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なお、この書式例(ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

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使用者の都合による休業で休業手当が支払われない場合における労働局への紛争解決援助申立書の記載例

(1)休業手当が全く支払われない場合


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県川崎市中原区〇〇町〇番〇号
氏名 御金波良江
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都大田区〇〇三丁目〇番〇号
名称 株式会社オープン&クローズ
代表者 原和奈伊乃
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

休業日の賃金を支払うよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、ウシガエルの肉を原材料としたクレープを販売する販売する従業員123名の株式会社であり、「ゲテモノクレープ」の名称で都内各所にクレープ店を展開している。
 申立人は、平成〇年〇月にクレープ製造オペレーターとして入社し、ゲテモノクレープ原宿店に勤務しているが、被申立人が社内における人員配置の再編計画を実施したことに伴い平成○年○月○日から同月○日までの〇日間休業する決定したことから同休業期間中の休職を余儀なくされたにもかかわらず、当該休業期間中における賃金(休業手当)を支給されていない。
 しかしながら、使用者の責めに帰すべき事由における休業においては使用者はその休業期間中の賃金を支払う義務があることは法律上明らかである(民法536条第2項前段)。
 したがって、休業期間中の賃金(休業手当)を支払わない被申立人には法令上の違反がある。

 なお、仮に被申立人の休業理由に民法上の帰責事由が存在しない場合であっても労働基準法第26条の休業手当の規定は労働者の最低限の生活を保護するため平均賃金の最低6割を罰則(労働基準法第120条)をもって確保するために設けられた規定であるから、労働基準法第26条における「責めに帰すべき事由」は民法536条2項における「責めに帰すべき事由」より広く使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するべきであり、天災事変などの不可抗力でもない限り労働基準法第26条の「使用者の責めに帰すべき事由」に該当すると考えるべきであるから(ノースウエスト航空事件:最高裁昭和62年7月17日)、休業手当を全く支払わない被申立人は少なくとも労働基準法第26条の規定に違反していることは明白である。

3 紛争の経過

 申立人は平成○年○月○日、直属の上司であるゲテモノクレープ原宿店の店長に休業期間中の賃金を支払うよう口頭で申し入れたが聞き入れてもらえなかったことから同年○月○日付の「休業期間中の賃金(休業手当)支払請求書」を送付したが、現在に至るまで休業期間中の賃金(休業手当)は行われていない。

4 添付資料

・平成○年○月○日から同月〇日まで休業する旨を告知した社内文書の写し 1通
・休業期間を含む○月分の給与明細書の写し 1通

以上

 


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、A4用紙でプリントアウトするようにしてください。

(2)「原材料の不足」「交通機関のマヒ」「機械の故障・検査・点検」「監督官庁の臨検や調査」など使用者側に直接的な責任がない休業であることを理由として休業手当が支払われない場合


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県川崎市中原区〇〇町〇番〇号
氏名 御金波良江
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都大田区〇〇三丁目〇番〇号
名称 株式会社オープン&クローズ
代表者 原和奈伊乃
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

休業日の賃金を支払うよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、ウシガエルの肉を原材料としたクレープを販売する販売する従業員123名の株式会社であり、「ゲテモノクレープ」の名称で都内各所にクレープ店を展開している。
 申立人は、平成〇年〇月にクレープ製造オペレーターとして入社し、ゲテモノクレープ原宿店に勤務しているが、被申立人がクレープの原材料となるウシガエルが夏場の天候不順による影響で不作となった影響で平成○年○月○日から同月○日までの〇日間休業する決定したことに伴い同休業期間中の休職を余儀なくされた。
 この休業については申立人に何らの帰責事由は存在しないが、申立人は当該休業期間中における賃金(休業手当)を支給されていない。
 しかしながら、使用者の責めに帰すべき事由における休業においては使用者はその休業期間中の賃金を支払う義務があるし(民法536条第2項前段)、仮に民法上の帰責事由が存在しない場合であっても労働基準法第26条の休業手当の規定は労働者の最低限の生活を保護するため平均賃金の最低6割を罰則(労働基準法第120条)をもって確保するために設けられた規定であるから、労働基準法第26条における「責めに帰すべき事由」は民法536条2項における「責めに帰すべき事由」より広く使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するべきであるから、天災事変などの不可抗力でもない限り、原材料の不足といった原因であっても労働基準法第26条における「使用者の責めに帰すべき事由」に該当すると考えるべきである(ノースウエスト航空事件:最高裁昭和62年7月17日)。
 したがって、休業期間中の賃金(休業手当)を支払わない被申立人には法令上の違反がある。

3 紛争の経過

 申立人は平成○年○月○日、直属の上司であるゲテモノクレープ原宿店の店長に休業期間中の賃金を支払うよう口頭で申し入れたが聞き入れてもらえなかったことから同年○月○日付の「休業期間中の賃金(休業手当)支払請求書」を送付したが、現在に至るまで休業期間中の賃金(休業手当)は行われていない。

4 添付資料

・平成○年○月○日から同月〇日まで休業する旨を告知した社内文書の写し 1通
・休業期間を含む○月分の給与明細書の写し 1通
・休業期間中の賃金(休業手当)支払請求書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、A4用紙でプリントアウトするようにしてください。

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を起こしていて、どのような解決方法を求めているのか、といったことを記載します。

上記の事例では、使用者の責めに帰すべき事由における休業においては、労働者は使用者に対してその休業期間中の賃金の支払いを求めることが出来るという「民法536条第2項前段」に規定された休業期間中における賃金支払請求権をまず明記し、それに加えて、仮に会社側に民法上の帰責事由が存在しない場合であっても労働基準法第26条の休業手当の規定は労働者の最低限の生活を保護するため平均賃金の最低6割を罰則(労働基準法第120条)をもって確保するために設けられた規定であるから、労働基準法第26条における「責めに帰すべき事由」は民法536条2項における「責めに帰すべき事由」より広く使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するべきであるという最高裁判所の判例(ノース・ウエスト航空事件・最高裁昭和62年7月17日)の考え方を持ち出して、天災事変などの不可抗力でもない限り、たとえ原材料の不足といった原因であっても(※上記の記載例の(2))、労働基準法第26条における「使用者の責めに帰すべき事由」に該当するから、(1)の記載例では「少なくとも労働基準法第26条の規定に違反する野は明らかである」と、また(2)の記載例では「労働基準法第26条の規定に違反する」という文章にしています。

なお、この点の具体的な問題点はこちらのページで詳細に解説していますので参考にしてください。

▶ 会社都合の休業で休業手当が支払われない場合の対処法

▶ 会社の都合による休業日、その日の賃金を請求できる?

※「紛争の経緯」の欄について

紛争の経緯の欄には、会社との間に発生した紛争がどのようなきっかけで発生し、会社とどのような交渉を行ってきたのか、ということを記載します。

上記の事例では、会社に対して休業期間中の賃金(休業手当)が支払られないのは法令違反であることを上司に相談し、会社に対して「休業期間中の賃金(休業手当)の支払請求書」を送付したものの休業期間中の賃金(休業手当)が未だ支払われていないということを記載しています。

※「添付書類」の欄について

添付書類の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の事例では、「会社の都合による休業があったこと」を明らかにするために「平成○年○月○日から同月〇日まで休業する旨を告知した社内文書」の写しを、また、休業期間中の賃金(休業手当)が支払わ良ていないことを明らかとするために「休業期間を含む○月分の給与明細書」の写しを添付することにしています。

ちなみに、「休業期間中の賃金(休業手当)支払請求書」の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 会社都合の休日に休業手当が支払われない場合の請求書の記載例

なお、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付書類の項には「特になし」などと記載して申し立てをしても構いません。

(※「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。

上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。