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解雇予告手当の不払いに関する労働基準監督署の申告書の記載例

このページでは、会社が解雇予告手当を支払わない場合に、労働基準監督署に対して違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例(ひな形・文例)を公開しています。

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会社が解雇予告手当を支払わないことに関する労働基準監督署への違法行為の是正申告書の記載例


〇〇労働基準監督署長 殿

労働基準法違反に関する申告書

平成〇年〇月〇日

申告者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県横浜市磯子区〇〇町〇番〇号
氏名 貝湖佐玲多乃
電話番号 080-****-****

違反者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都江戸川区〇〇町〇番〇号
名称 株式会社ヒトベラ・シーリング機械
代表者 八女佐助
電話番号 03-****-****

労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実を申告いたします。

1 当事者

違反者は業務用冷蔵庫の部品を製造する従業員46名の株式会社であり、江戸川区の本社工場において機械部品の開発・製造などを行っている。
申告者は、平成〇年〇月に機械部品設計技術者として入社し、業務用冷蔵庫の冷却部品の開発及び設計業務を主な職務として勤務している。

2 労働基準法に違反する事実

申告者は平成○年○月○日、違反者が営業不振を主な理由とする整理解雇(リストラ)を行ったことによる解雇通知(人員整理に基づく解雇の辞令)を受けたが、解雇の日付が解雇通知を受けた日の2週間後であったことから、16日分の平均賃金に相当する解雇予告手当の支払いを請求した。
しかし違反者は、「ほぼ全ての従業員から解雇予告手当が支払えないことを了承してもらっているからあなたにだけ支払うことはできない」との理由で解雇予告手当の支払いをしようとしない。

3 是正措置の申立

違反者の行為は、労働基準法第20条1項及び2項に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。

4 添付資料

人員整理に基づく整理解雇の辞令書の写し 1通

5 備考

本件申告をしたことが違反者に知れると勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため、違反者に対しては申告者の氏名を公表しないよう求める。

以上


※解雇予告手当の支払いがないことを労働基準監督署に申告するということは、「解雇されること自体は受け入れたうえで解雇予告手当の支払いをする」ということにもなります。

そのため、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行ったことが「解雇を認めたことを証明する事実」と会社側に受け取られてしまう可能性がありますので、解雇の効力自体を争う予定がある場合(解雇が無効であるとして解雇の撤回を求める場合)には、監督署に”解雇予告手当の支払いがないこと”を申告するのではなく、弁護士などに依頼して裁判などで解雇の無効を主張していくようにした方が良いと思います。

※「当事者」の欄

当事者の欄は、会社やご自身の会社の業務に合わせて適宜書き直してください。

なお、匿名で申告したい場合は申告者の欄は空欄のまま提出しても構いません。

≫ 労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方

※「是正措置の申立」の欄

是正措置の申立の欄には、会社の行為が労働基準法の何条(何項)に違反するのかを記載します。

この事例では、解雇予告手当の不払いが問題となっており、解雇予告について規定された労働基準法第20条の第1項と第2項に違反することになりますので「労働基準法第20条1項及び2項に違反する」という表現にしています。

【労働基準法第20条】

第1項 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責めに帰すべき事由について解雇する場合においては、この限りでない。

第2項 前項の予告の日数は、1日において平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

なお、労働基準監督署に対する違法行為の是正申告は、会社が労働基準法という法律の条文に違反していることが前提となりますので、どの条文に違反するか分からない場合は、いったん弁護士などの法律専門家に相談した方が良いかもしれません。

※「添付書類」の欄

労働基準監督署への違法行為の是正申告書には、会社が違法行為を行っていることを証明する文書がある場合には添付書類としてその書類(PC上の電子記録も可)を提出することができます。

ただし、労働基準監督署に対する違法行為の是正申告は裁判所における裁判とは異なりますので、会社の違法行為を証明する証拠がなくても是正申告を行うことは可能ですから、会社の違法行為を証明する書類等がない場合には添付書類の欄は空欄のまま(又は「特になし」と記載して)提出しても構いません。

もっとも、この添付書類の欄に記載した書面については申告書と合わせて必ず提出(添付)しなければなりませんので注意してください。

上記の文例では、解雇予告手当の支払いが”なかった”ことを直接証明する書類がないので解雇されたことを証明するために「人員整理に基づく整理解雇の辞令書」の写しを添付するものとして記載しています。

なお、添付書類として提出する文書の「原本」は裁判になった際に使用する可能性がありますので、労働基準監督署に対しては原本ではなく「写し(コピー機で複写したもの)」を提出するようにした方が良いでしょう(※タイムカード原本は持ち出すことはできないので、タイムカードの写しを手元に保管し、その写しの写しを監督署に提出することにしています)。

※「備考」の欄

労働基準監督署への違法行為の是正申告は、労働基準監督署には氏名を明らかにしつつ会社には匿名にして申告することも可能です。

≫ 労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方

是正申告したことを会社に知られても構わない場合は備考の欄は削除しても構いません。

なお、この解雇予告手当が支払われないで解雇された場合の詳しい説明については『解雇予告(手当)なしに突然解雇された場合の対処法』のページでご確認ください。