このページでは、職能資格を引き下げられることによって事実上降格させられたような場合に、その職能資格の引下げによる降格の撤回を求める場合の申入書(通知書)の記載例(ひな形・書式)を公開しています。
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職能資格の引下げによる降格の撤回を求める申入書の記載例
(1)就業規則が変更されていないことを理由とする場合
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
職能資格の引下げに基づく降格の撤回を求める申入書
私は、平成○年○月○日付辞令書により、職能資格(職能等級)が引き下げられたことを理由として〇〇から△△への降格を命じられました。
しかしながら、職能資格(職能等級)の制度が労働者を拘束するためにはその制度の内容が就業規則または個別の労働契約によって労働契約の内容として定められていることを要しますから、仮に職能資格(職能等級)を引き下げる場合には、就業規則でその制度を定めている会社では就業規則の定めの変更を、個別の労働契約でその制度を労働契約の内容としている場合にはその引下げの対象となる労働者の個別の同意(合意)を要するものと考えられます。
この点、貴社では職能資格(職能等級)の制度を就業規則において定めておりますので職能資格を引き下げるためには就業規則の変更が必要になるものと考えられますが、職能資格の引下げについて貴社の就業規則が変更された事実はありません。
したがって、貴社の行った職能資格の引下げに基づく降格は労働契約上の根拠のない無効なものといえますから、直ちに当該降格の命令を撤回するよう申し入れ致します。
以上
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇
〇〇 〇〇 ㊞
(2)変更後の就業規則について労働者に周知されていないことを理由とする場合
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
職能資格の引下げに基づく降格の撤回を求める申入書
私は、平成○年○月○日付辞令書により、職能資格(職能等級)が引き下げられたことを理由として〇〇から△△への降格を命じられました。
しかしながら、職能資格(職能等級)の制度が就業規則によって定められている貴社においてはその職能資格(職能等級)を引き下げるためには就業規則を変更する必要がありますが、就業規則の変更には労働者の合意を要するのが原則であり、労働者の合意を得ない場合には変更後の就業規則の内容が労働者に周知されていなければなりません(労働契約法第10条)。
この点、貴社は就業規則を変更する方法により職能資格(職能等級)を引き下げておりますが、この就業規則の変更について労働者の私が合意した事実はなく、またその変更後の就業規則も労働者である私に周知されないまま職能資格(職能等級)が引き下げられていますから、当該就業規則の変更については手続き上重要な部分について瑕疵があるものと考えられます。
したがって、貴社の行った職能資格(職能等級)に関する就業規則の変更は無効であり、その無効な就業規則の変更によってなされた職能資格の引下げに基づく降格も無効といえますから、直ちに当該降格の命令を撤回するよう申し入れ致します。
以上
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇
〇〇 〇〇 ㊞
※)将来的に裁判になる可能性がある場合は、証拠として残しておくためにコピーを取ったうえで普通郵便ではなく特定記録郵便(場合によっては内容証明郵便)で送付すること。
※)裁判所では全ての書類をA4で統一していますので、後日裁判を起こす可能性がある場合はA4用紙で作成すると後々何かと便利です。