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正社員からアルバイトへの降格の撤回を求める申入書

このページでは、会社から人事上の措置または懲戒処分として正社員からアルバイトへの降格を命じられている場合にその撤回を求める場合の申入書(通知書)の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

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なお、この書式例(ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。この書式例(ひな形例)を使用して生じる一切の損害につき当サイトの管理人は責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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正社員からアルバイトに降格させられてしまった場合にその撤回を求める場合の申入書(通知書)の記載例

(1)人事上の措置として正社員からアルバイトへの降格を命じられた場合


〇〇株式会社

代表取締役 〇〇〇〇 殿

正社員からアルバイトへの労働契約の変更の撤回を求める申入書

 私は、貴社から、平成○年○月○日付辞令書により、人事上の措置を理由として正社員からアルバイトへの降格を命じられました。

 しかしながら、使用者が労働者に対して人事権の行使としての降格を命じることが認められるとしても、正社員として使用者に雇い入れられた労働者がアルバイトに降格させられる場合には、その労働契約は期間の定めのない雇用契約(無期労働契約)から期間の定めのある雇用契約(有期労働契約)に変更されることになりますから、その実質は当初契約された無期労働契約を合意解約したうえで新たに有期雇用契約で再契約することを目的とした労働契約の変更にあたります。

 この点、労働契約の変更にはその対象となる労働者の個別の同意を要しますし(労働契約法第8条)、仮に貴社の就業規則に正社員からアルバイトへの降格を是認するような規定が存在していたとしても、正社員からアルバイトへの降格が無期労働契約から有期労働契約への契約自体の変更であることを考えれば社会通念上その就業規則の規定は労働契約の内容にはならないと考えられますから(倉田学園事件:高松地裁平成元年5月25日に同示)、貴社が人事権の行使として一方的に私との間に締結された労働契約を正社員からアルバイトに変更することは認められません。

 したがって、貴社が人事権の行使として私との間の労働契約を正社員からアルバイトに変更した行為は労働契約上の根拠のない無効なものといえますから、直ちに当該労働契約の変更を撤回するよう申し入れ致します。

以上

平成〇年〇月〇日

〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇

〇〇 〇〇 ㊞


(2)懲戒処分として正社員からアルバイトへの降格を命じられた場合


〇〇株式会社

代表取締役 〇〇〇〇 殿

正社員からアルバイトへの労働契約の変更の撤回を求める申入書

 私は、貴社から、平成○年○月○日付辞令書により、懲戒処分を理由として正社員からアルバイトへの降格を命じられました。

 しかしながら、仮に私の行為が就業規則で定められた懲戒事由に該当し懲戒権の行使としての降格を命じることが認められる場合であったとしても、正社員として使用者に雇い入れられた労働者がアルバイトに降格させられる場合には、その労働契約は期間の定めのない雇用契約(無期労働契約)から期間の定めのある雇用契約(有期労働契約)に変更されることになりますから、その実質は当初契約された無期労働契約を合意解約したうえで新たに有期雇用契約で再契約することを目的とした労働契約の変更にあたります。

 この点、労働契約の変更にはその対象となる労働者の個別の同意を要しますし(労働契約法第8条)、仮に貴社の就業規則に正社員からアルバイトへの降格を是認するような懲戒処分の定めが存在していたとしても、正社員からアルバイトへの降格が無期労働契約から有期労働契約への契約自体の変更であることを考えれば社会通念上その就業規則の規定は労働契約の内容にはならないと考えられますから(倉田学園事件:高松地裁平成元年5月25日に同示)、貴社が懲戒権の行使として一方的に私との間に締結された労働契約を正社員からアルバイトに変更することは認められません。

 したがって、貴社が懲戒権の行使として私との間の労働契約を正社員からアルバイトに変更した懲戒処分は労働契約上の根拠のない無効なものといえますから、直ちに当該労働契約の変更を撤回するよう申し入れ致します。

 なお、この申入書は、私が貴社の懲戒処分自体を受け入れる趣旨ものではありませんので念のため申し添えます。

以上

平成〇年〇月〇日

〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇

〇〇 〇〇 ㊞


(3)正社員からアルバイトへの降格に同意をしてしまった場合


〇〇株式会社

代表取締役 〇〇〇〇 殿

正社員からアルバイトへの労働契約の変更の撤回を求める申入書

 私は、貴社から、平成○年○月○日付辞令書により、人事上の措置として正社員からアルバイトへの降格を命じられました。

 しかしながら、使用者が労働者に対して人事権の行使としての降格を命じることが認められるとしても、正社員として使用者に雇い入れられた労働者がアルバイトに降格させられる場合には、その労働契約は期間の定めのない雇用契約(無期労働契約)から期間の定めのある雇用契約(有期労働契約)に変更されることになりますから、その実質は当初契約された無期労働契約を合意解約したうえで新たに有期雇用契約で再契約することを目的とした労働契約の変更にあたり、その対象となる労働者の個別の同意が必要になるものと考えられます(労働契約法第8条)。

 この点、私は貴社の求めに応じて正社員からアルバイトへの契約の変更に同意しておりますが、これは正社員からアルバイトへの降格が実質的に無期労働契約から有期労働契約への変更にあたることを認識しないまま貴社の求めに応じて同意したものに過ぎず、その意思表示に錯誤があったといえます。

 したがって、私が行った正社員からアルバイトへの労働契約の変更に関する同意は無効といえますから、直ちに当該労働契約の変更を撤回するよう申し入れ致します。

以上

平成〇年〇月〇日

〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇

〇〇 〇〇 ㊞


※)将来的に裁判になる可能性がある場合は、証拠として残しておくためにコピーを取ったうえで普通郵便ではなく特定記録郵便(場合によっては内容証明郵便)で送付すること。

※)裁判所では全ての書類をA4で統一していますので、後日裁判を起こす可能性がある場合はA4用紙で作成すると後々何かと便利です。

なお、正社員からアルバイトへの降格を命じられた場合の具体的な対処法などについては『正社員からアルバイトへの「降格」は認められるか?』のページで詳しく解説していますので参考にしてください。