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契約書と異なる待遇で退職する際の旅費に関する労働局の申立書

このページでは、賃金や休日などの実際の待遇が面接や労働契約書で説明された内容と異なることを理由として退職し2週間以内に帰郷する場合において、使用者が必要な旅費を支給しないことを理由として使用者にその支払いを求めるため労働局に紛争解決援助の申立をする場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

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なお、この記載例(ひな形・書式)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

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実際の労働条件が面接や労働契約書で説明された内容と異なることを理由として退職し2週間以内に帰郷する場合において、使用者が必要な旅費を支給しないことを理由として労働局に紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 広島市東区〇〇一丁目〇番〇号
氏名 実加茂努琉
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 大阪市中央区〇〇町〇番〇号
名称 株式会社ウィーアーライアー
代表者 金田三蔵
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 労働基準法第15条3項に基づく帰郷の為の旅費を負担するよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、無料のティッシュ配りが実施されている場所を瞬時に検知するティッシュ配りスマートフォン向け位置情報システム「ティッシュだGO」を開発・配信する従業員777名の株式会社である。
 申立人は、平成〇年〇月にアプリ開発担当社員として入社し、システムデザイナー補助として勤務している。
 申立人は平成〇年〇月〇日に被申立人に入社したが、採用面接の際には基本給が25万円と説明されており労働契約書にもそのように記載されているにもかかわらず、実際に支払われる賃金は月額の基本給が20万円しかなかったため再三にわたって上司の〇〇に対して労働契約書所定の金額を支払うよう求めてきたが、一向に聞き入れられる気配がなかったことから平成○年〇月末日付で被申立人を退職した。
 申立人は退職した日から2週間が経過する前の〇月○日、入社する前に居住していた広島市に帰郷することになったため被申立人に対して労働基準法第15条第3項に基づく帰郷の為の旅費の負担を求めたが、被申立人は「自己都合退職にあたるから旅費の負担はできない」とその支払いを拒絶された。
 しかしながら、申立人が退職したのは実際の賃金が労働契約の際に提示された賃金と異なることが理由であり、その退職は労働基準法第15条2項に基づくものであるから、被申立人は同条3項に基づいてその帰郷旅費の負担をする義務がある。
 よってこのような被申立人の行為は労働契約法第15条3項に違反する。

3 紛争の経過

 申立人は被申立人に入社した平成○年〇月〇日以降複数回に渡り上司の〇〇に対して実際に支給されている基本給が面接の際に説明を受け労働契約書にも明示されている基本給と異なることを伝え、労働契約法所定の基本給を支払うよう求めたが一切聞き入れられなかったことから平成○年の○月○日付の退職届を提出し同月末日で被申立人を退職した。
 申立人は被申立人に入社するまで出身地の広島市に居住していたことから退職後は地元の広島に帰って就職先を探す予定であったため、退職日から10日後の〇月○日に広島に帰郷することにしていたが、インターネットでたまたま見つけたウェブサイトでこのように実際に受けた労働条件が労働契約の際に合意した労働条件よりも低いことを利用して退職する場合は規制する際の旅費を会社に請求できるという記事を見つけたため、被申立人に帰郷の為の旅費を負担するよう電話で申し入れた。
 しかし被申立人からは「自己都合退職にあたるから旅費の負担はできない」とその支払いを拒絶され、その後の○月○日に帰郷旅費の支払いを求める申入書を改めて送付した際には返答もなかったことから本件申し立てに至ったものである

4 添付資料

・労働契約書の写し 1通
・〇月~〇月分までの給与明細書の写し 1通
・退職届の写し 1通
・労働基準法第15条3項に基づく旅費に関する申入書 1通
・帰郷のために必要となった旅費の領収書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を起こしていて、どのような解決方法を求めているのか、といったことを記載します。

上記の事例では、入社する際に転居をしていた労働者が実際の労働条件が面接の際に説明を受け労働契約書で提示された労働条件と異なることを理由に退職する場合においてその労働者が退職後2週間以内に帰郷する場合は使用者がその旅費を負担することが法律で義務付けられている(労働基準法第15条3項)にもかかわらず、会社がその旅費の負担をしないことを時系列に記載しています。

なお、この会社が帰郷の為の旅費を支払わない場合の対処法についてはこちらのページで解説しています。

▶ 退職にともなう帰郷に必要な旅費が会社から支給されない場合

※「紛争の経過」の欄について

紛争の経過の欄には、会社との間に発生した紛争がどのようなきっかけで発生し、会社とどのような交渉を行ってきたのか、というその経緯を記載します。

上記の事例では、入社した当初から実際に支給される賃金が面接の際に説明を受け労働契約書(雇用契約書)に提示されている賃金と異なっていることを上司に相談したものの受け入れられなかったため退職し、帰郷に必要な旅費の負担を口頭と書面で求めたものの拒否されたという経緯を想定して記載しています。

※「添付資料」の欄について

添付資料の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の事例では、会社側が労働基準法第15条3項に違反していることを明らかにしておいた方が良いので、入社の際に提示を受けた賃金と実際に受け取っていた賃金が異なっていたことを明らかとするために「労働契約書」と「〇月~〇月分までの給与明細書」の写しを、退職から2週間以内に帰郷したことを明らかとするために「退職届」と「帰郷のために必要となった旅費の領収書(※日付が記載されているから)」の写しを、また会社に旅費の負担を求めたことを明らかとするために「労働基準法第15条3項に基づく旅費に関する申入書」の写しを、さらに帰郷のために必要となった旅費の具体的な金額を明らかとするために「帰郷のために必要となった旅費の領収書」の写しを添付することにしています。

なお、「退職届提出後に違反者に送付した帰郷旅費の請求書」の記載例はこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 契約書と異なる待遇で退職する際の帰郷にかかる旅費の請求書

ちなみに、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付書類の項には「特になし」と記載して申立てをしても構いません。

(※「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。

上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。