このページでは、出向命令(在籍出向)に対する異議通知書のひな形(書式)を公開しています。
適宜、ワードなどの文書作成ソフトに打ち込んでご自由に利用してください(※なお、裁判所では全ての書類をA4で統一していますので、後日裁判を起こす可能性がある場合はA4用紙で作成すると後々何かと便利です)。
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なお、この書式例(ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。
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出向命令の撤回を求める申入書の記載例
(1)単純に異議を出す場合
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
出向命令に対する異議通知書
私は、貴社より、平成〇年〇月〇日付辞令により、株式会社〇〇への出向を命じられましたが、この出向命令には応じられませんので、本件辞令を撤回するよう申し入れます。
なお、社内の混乱を避けるため、命令を受けた出向先で勤務することにいたしますが、本件辞令に承諾するものではありませんので念のため申し添えます。
以上
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇
〇〇 〇〇 ㊞
※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、将来的に裁判になる可能性がある場合にはA4用紙でプリントアウトするようにしてください。
※あくまでも出向を拒否して現在の職場にとどまる場合は「なお書き」の部分は削除してください。
(2)就業規則や労働契約書に出向に関する具体的な定めがないことを示して出向命令の撤回を求める場合
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
出向命令の撤回を求める申入書
私は、貴社より、平成〇年〇月〇日付辞令書により、平成〇年〇月〇日から株式会社〇〇への出向を命じられております。
しかしながら、使用者が労働者に対して出向を命じるためには、就業規則や個別の労働契約書などに「出向先での労働者の地位、賃金、退職金、各種の出向手当、昇格週休等の査定、その他の処遇など」が具体的に定められ、その出向命令権の根拠が労働契約の内容となっていることが必要であり、そのような定めがない場合には出向の対象となる労働者の個別の同意(合意)のない限り、使用者が労働者に出向を命じることはできないものと考えられます(日本レストランシステム事件:大阪高裁平成17年1月25日、新日本製鐵・日鐵運輸第2事件:最高裁平成15年4月18日等に同示)。
この点、貴社の就業規則や私が貴社との間で締結した労働契約書にはそのような出向に関する具体的な記載は見当たりませんし、また私が貴社の出向命令に同意した事実も一切ありません。
したがって、貴社が私に命じた株式会社〇〇への出向は、労働契約上の根拠のない無効なものと解されますから、直ちに当該出向命令を撤回するよう申し入れ致します。
以上
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇 〇〇マンション〇号室
(〇〇部〇〇課) 〇〇 〇〇 ㊞
※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、将来的に裁判になる可能性がある場合にはA4用紙でプリントアウトするようにしてください。
※とりあえず出向先で勤務する場合は文末に「なお、社内の混乱を避けるため、貴社が命じた出向先の株式会社〇〇で勤務することにいたしますが、本件辞令に承諾するものではありませんので念のため申し添えます。」などと言った一文を挿入してください。
(3)出向命令が権利の濫用であることを理由とする場合
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
出向命令の撤回を求める申入書
私は、貴社より、平成〇年〇月〇日付辞令書により、平成〇年〇月〇日から株式会社〇〇への出向を命じられております。
しかしながら、使用者が労働者に対して出向を命じることができる場合であっても、使用者には労働者の仕事と生活の調和に配慮することが求められますので(労働契約法第3条3項)、そのような配慮のない出向命令については権利の濫用として無効と判断され労働者は拒否できるものであると考えられます(労働契約法第3条5項)。
この点、私には要介護3と認定された介護を要する母親と同居しているという事情があるため、転居もしくは事実上長時間の通勤が必要となる株式会社〇〇への出向は困難であって仮にその出向を強制させられた場合には仕事と生活の調和が大きく乱されるものになると考えられます。
したがって、貴社が私に命じた株式会社〇〇への出向は、私の仕事と生活の調和に配慮しない権利を濫用するものといえ無効と判断できますから、直ちに当該出向命令を撤回するよう申し入れ致します。
以上
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇 〇〇マンション〇号室
(〇〇部〇〇課) 〇〇 〇〇 ㊞
※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、将来的に裁判になる可能性がある場合にはA4用紙でプリントアウトするようにしてください。
なお、会社から出向を命じられた場合の具体的な対処法などについては『出向命令を拒否することはできるのか?』のページで解説しています。