このページでは、勤務先の会社からだまされたり脅迫されて退職届(退職願)を提出したことを理由に退職届の撤回・取消を求めたにもかかわらず、会社側が退職の撤回または取り消しに応じない場合に、労働局に対して個別労働関係紛争の解決に関する援助を申し込む場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。
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会社に騙されて提出した退職届(退職願)の撤回(取消)を会社側が認めない場合に労働局に紛争解決の援助を申し込む場合の援助申立書の記載例
〇〇労働局長 殿
個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に関する)
平成〇年〇月〇日
申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県横浜市〇〇町〇番〇号
氏名 玉佐礼太雄
電話番号 090-****-****
被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都品川区〇〇町〇番〇号
名称 護摩樫興業株式会社
代表者 宇曽都久蔵
電話番号 03-****-****
1 紛争解決の援助を求める事項
退職の撤回(取り消し)に応じるよう事業主に対する助言・指導を求める。
2 援助を求める理由
被申立人は業務用の決算処理システムのソフト開発及び販売を行う従業員50名の株式会社であり、品川区の本社ビルにてソフトウェアの開発及びウェブマーケティング業を営んでいるものである。申立人は、平成〇年〇月に営業職として入社し、一般営業職として勤務しているが、平成〇年〇月ごろに上司である◇◇◇◇から「君の営業成績は他の社員と比較して成績が極端に劣る」「このままでは懲戒事由に該当し解雇せざるを得ないが懲戒解雇になれば退職金が支給されないから自己都合退職してほしい」「自己都合退職しない場合はやむを得ず解雇する」旨の告知を受けたため、解雇されるものと誤信して退職届を提出した。
しかし、「能力が劣る」「勤務成績が悪い」といった評価は他の社員との相対的な比較によって決せられるものであり、そのようなことを理由とした解雇が認められるなら結果的に会社は全ての社員を解雇することができることになり会社側の自由な解雇を認める結果となることから、仮に営業成績が他の社員より劣るとしても、それを理由とした懲戒処分には合理性はなく社会通念上相当と言えるものでもない(セガ・エンタープライゼス解雇事件・東京地裁平成11年10月15日に同旨)。
そのため本来懲戒解雇事由が存在しないにもかかわらず、それがあると誤信した状態で行った申立人の退職届の提出は、錯誤による無効(民法95条)または詐欺による取消(民法96条)の対象となるものと考えられるが、被申立人は申立人の退職届の撤回(取消)に応じようとしない。
このような被申立人の対応は、錯誤無効を規定した民法95条または詐欺取消を規定した民法96条に違反する行為であり、またこのような退職勧奨行為が事実上の解雇と同視されるものであることを考えると、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない解雇は権利を濫用したものとして無効であると規定した労働契約法16条に違反するものといえる。
3 紛争の経過
申立人は平成〇年〇月〇日に被申立人の退職勧奨に応じて退職届を提出し、平成〇年〇月〇日に被申立人に対して退職届の撤回(錯誤無効)および取消通知書を内容証明郵便で送付したが、被申立人は退職届の撤回(又は取り消し)に応じようとしない。
4 添付資料
・退職届の撤回(錯誤無効)および取消通知書の写し 1通
以上
「退職届の撤回(錯誤無効)および取消通知書の写し」の作成方法については『脅迫・詐欺等による退職届の取消通知書【ひな形・書式】』のページでご確認ください。
会社に脅迫されて提出した退職届(退職願)の撤回(取り消し)に会社側が応じない場合に労働局に対して紛争解決の援助申し込みをする場合の申立書の記載例
〇〇労働局長 殿
個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に関する)
平成〇年〇月〇日
申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県横浜市〇〇町〇番〇号
氏名 矢目佐礼太雄
電話番号 090-****-****
被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都品川区〇〇町〇番〇号
名称 脅迫興業株式会社
代表者 尾戸巣蔵
電話番号 03-****-****
1 紛争解決の援助を求める事項
退職の撤回(取り消し)に応じるよう事業主に対する助言・指導を求める。
2 援助を求める理由
被申立人は業務用の決算処理システムのソフト開発及び販売を行う従業員50名の株式会社であり、品川区の本社ビルにてソフトウェアの開発及びウェブマーケティング業を営んでいるものである。申立人は、平成〇年〇月に営業職として入社し、一般営業職として勤務しているが、平成〇年〇月ごろに上司である◇◇◇◇から「君の営業成績は他の社員と比較して成績が極端に劣る」「このままでは懲戒事由に該当するため解雇せざるを得ないので自己都合退職しない場合はやむを得ず解雇する」旨の告知を受けたため、解雇されるものと誤信して退職届を提出した。
しかし、「能力が劣る」「勤務成績が悪い」といった評価は他の社員との相対的な比較によって決せられるものであり、そのようなことを理由とした解雇が認められるなら結果的に会社は全ての社員を解雇することができることになり会社側の自由な解雇を認める結果となることから、仮に営業成績が他の社員より劣るとしても、それを理由とした懲戒処分には合理性はなく社会通念上相当と言えるものでもない(セガ・エンタープライゼス解雇事件・東京地裁平成11年10月15日に同旨)。
そのため、このような本来懲戒解雇事由が存在しないにもかかわらず、それがあると誤信させた被申立人の行為は、脅迫によって退職勧奨を行ったものということができ、脅迫による取消(民法96条)の対象となるものと考えられるが、被申立人は申立人の退職届の撤回(取消)に応じようとしない。
このような被申立人の対応は、脅迫による意思表示の取消を規定した民法96条に違反する行為であり、またこのような退職勧奨行為が事実上の解雇と同視されるものであることを考えると、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない解雇は権利を濫用したものとして無効であると規定した労働契約法16条に違反するものといえる。
3 紛争の経過
申立人は平成〇年〇月〇日に被申立人の退職勧奨に応じて退職届を提出し、平成〇年〇月〇日に被申立人に対して退職届の撤回(錯誤無効)および取消通知書を内容証明郵便で送付したが、被申立人は退職届の撤回(又は取り消し)に応じようとしない。
4 添付資料
・退職届の撤回(錯誤無効)および取消通知書の写し 1通
以上
※「退職届の撤回(錯誤無効)および取消通知書の写し」の作成方法については『脅迫・詐欺等による退職届の取消通知書【ひな形・書式】』のページでご確認ください。
※ただし、添付書類は必ず必要なものではありませんので、添付する書類がない場合は削除しても構いません。
※官公庁では全ての書類をA4で統一しているためプリントアウトはA4を利用すること。
様式について
労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。
上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。
もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。