このページでは、内定を辞退したことを理由に内定先企業から損害賠償請求をされている場合に、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例(ひな形・文例)を公開しています。
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内定を辞退したことを理由として損害賠償請求されている場合に労働基準監督署に対して違法行為の是正申告書を行う場合の申告書の記載例
(1)単に内定辞退を理由とした損害賠償請求を受けている場合
〇〇労働基準監督署長 殿
労働基準法違反に関する申告書
平成〇年〇月〇日
申告者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都大田区〇〇一丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 治田井須瑠世
電話番号 080-****-****
違反者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都千代田区〇〇町〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社マネー・ペイミー
代表者 原椀海太郎
電話番号 03-****-****
労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実を申告いたします。
記
1 当事者
違反者はヒヨドリの糞公害を事前予測するスマートフォン向け緊急ヒヨドリ受信システム「ヒヨドリミドリ」を開発・配信する従業員94名の株式会社である。
申告者は、平成〇年〇月に違反者の採用試験を受験し内定を受けたことから、平成○年〇月を入社予定日としてシステムの開発のプログラマとして勤務する予定であった。
2 労働基準法に違反する事実
申告者は平成○年○月〇日、違反者の本社営業所で実施された採用面接を受験し内定を受けたが、都合により同年〇月○日、内定辞退通知書を違反者に送付する方法で当該内定を辞退する旨通知した。
これに対し違反者は、入社前研修への出席を予定して作成した資料代および研修会場の費用等合わせて金〇万円の損害が発生したとして申告者に対し損害賠償請求を行い申告者の内定辞退を妨害している。
3 是正措置の申立
違反者の行為は、労働基準法第5条に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。
4 添付資料
・内定通知書の写し 1通
・内定辞退通知書の写し 1通
・内定辞退を理由とした損害賠償請求書の写し 1通
5 備考
特になし。
以上
※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。
(2)「内定辞退した場合は損害を賠償します」という旨の誓約書に署名捺印している場合
〇〇労働基準監督署長 殿
労働基準法違反に関する申告書
平成〇年〇月〇日
申告者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都大田区〇〇一丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 治田井須瑠世
電話番号 080-****-****
違反者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都千代田区〇〇町〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社マネー・ペイミー
代表者 原椀海太郎
電話番号 03-****-****
労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実を申告いたします。
記
1 当事者
違反者はヒヨドリの糞公害を事前予測するスマートフォン向け緊急ヒヨドリ受信システム「ヒヨドリミドリ」を開発・配信する従業員94名の株式会社である。
申告者は、平成〇年〇月に違反者の採用試験を受験し内定を受けたことから、平成○年〇月を入社予定日としてシステムの開発のプログラマとして勤務する予定であった。
2 労働基準法に違反する事実
申告者は平成○年○月〇日、違反者の本社営業所で実施された採用面接を受験し内定を受けたが、都合により同年〇月○日、内定辞退通知書を違反者に送付する方法で当該内定を辞退する旨通知した。
これに対し違反者は、採用内定を行った際に「内定を辞退した場合には入社前研修に関する資料代および研修会場の費用等合わせて金〇万円の損害を賠償する」旨の誓約書に署名捺印していることを理由に損害賠償の請求を行っている。
3 是正措置の申立
違反者の行為は、労働基準法第16条に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。
4 添付資料
・内定通知書の写し 1通
・内定辞退通知書の写し 1通
・内定辞退の際は損害を賠償する旨誓約した誓約書の写し 1通
・内定辞退を理由とした損害賠償請求書の写し 1通
5 備考
特になし。
以上
※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。
※「当事者」の欄
当事者の欄は、会社やご自身の会社の業務に合わせて適宜書き直してください。
なお、匿名で申告したい場合は申告者の欄は空欄のまま提出しても構いません。
※「是正措置の申立」の欄
是正措置の申立の欄には、使用者(会社・雇い主)の行為が労働基準法の何条(何項)に違反するのかを記載します。
この事例では、内定先の企業が内定の辞退によって損害が発生したと主張してその損害を賠償するよう請求していることが問題となっていますが、(1)の記載例では、内定の辞退を行った者に対して損害賠償請求を行うと内定辞退者は賠償請求されることを恐れて内定の辞退を撤回してしまう可能性があるため、そのような理由に基づく賠償請求は間接的に内定者の退職の自由を侵害することになり強制労働の禁止を規定した労働基準法第5条に違反することになると考えられますので、労働基準法第5条に違反するという文章に、また(2)の記載例では、内定辞退の際は損害を賠償する旨の誓約書にサインしたことを理由とした損害賠償請求は賠償予定の禁止を規定した労働基準法第16条に違反するという文章にしています。
なお、内定を辞退したことを理由に損害賠償請求された場合の具体的な対処法などについてはこちらのページを参考にしてください。
※「添付資料」の欄
添付資料の欄には、使用者が労働基準法違反を行っていることを明らかとできるような資料(電子データなども含む)があればその資料を記載します。
ただし、労働基準監督署に対する違法行為の是正申告は裁判所における裁判とは異なり違法行為を証明する証拠がなくても申告を行うことは可能ですから、使用者の違法行為を証明できる書類等がない場合は添付書類の欄を空欄にしたまま(又は「特になし」と記載して)提出しても構いません(※添付書類の欄に記載した書面については申告書と合わせて必ず提出(添付)してください)。
上記の文例では「内定を受けたこと」を明らかとするために「内定通知書」の写しを、「内定を辞退したこと」を明らかとするために「内定辞退通知書」の写しを、また「内定先の企業から内定辞退を理由に損害賠償されていること」を明らかとするために「内定辞退を理由とした損害賠償請求書」の写しを添付することにしており、(2)の記載例ではこれらに加えて「内定を辞退した場合は損害を賠償する旨記載された誓約書にサインしたことを理由として損害賠償されていること」を明らかとするためにその「誓約書」の写しを添付することにしています。
なお、添付書類として提出する文書の「原本」は裁判になった際に使用する可能性がありますので、労働基準監督署に対しては原本ではなく「写し(コピー機で複写したもの)」を提出するようにした方が良いでしょう。
※「備考」の欄
労働基準監督署への違法行為の是正申告は、匿名で申告することもできますし、監督署には氏名を明らかにしつつ使用者には氏名を伏せて申告することも可能です。
上記の記載例は労働基準監督署と使用者の双方に自分の氏名を明らかにして申告する場合の記載例となります。
なお、労働基準監督署には氏名を明らかにしつつ会社に対しては自分の氏名を伏せたい場合には、備考の欄に「本件申告をしたことが違反者に知れると勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため、違反者に対しては申告者の氏名を公表しないよう求める。」などと記載します。
なお、この点の詳細は『労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方』のページで解説していますので参考にしてください。