このページでは、使用者側の都合によって休日になったにもかかわらず、その休業日の賃金(休業手当)が支払われない場合に、使用者(会社※個人事業主も含む)に対して未払い賃金(休業手当)の請求をする場合の請求書の記載例(書式・ひな形)を公開しています。
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使用者の都合による休業で休業手当が支払われない場合に、休業日にかかる未払い賃金(休業手当)の支払いを請求する場合の通知書の記載例
(1)基本形
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
貴社都合による休業日の未払い賃金(休業手当)の請求について
貴社は、平成○年○月○日から同月〇日までの期間、貴社の都合により休業を行っておりますが、私は、この休業期間中の賃金の支払いを受けておりません。
つきましては、当該休業期間中の賃金の合計金〇万円を、本書面到達後2週間以内にお支払いください。
なお、本書面到達後2週間以内にお支払いいただけない場合は、年6分による遅延損害金も合わせて請求することになりますので念のため申し添えます。
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇
〇〇 〇〇 ㊞
電話番号:090-****-****
※「なお書き」の部分は削除しても構いません。
(2)支払わない場合は付加金も請求すると付記する場合
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
貴社都合による休業日の未払い賃金(休業手当)の請求について
貴社は、平成○年○月○日から同月〇日までの期間、貴社の都合により休業を行っておりますが、私は、この休業期間中の賃金の支払いを受けておりません。
つきましては、当該休業期間中の賃金の合計金〇万円を、本書面到達後2週間以内にお支払いください。
なお、本書面到達後2週間以内にお支払いいただけない場合は、年6分による遅延損害金を、また労働基準法第114条所定の付加金も合わせて請求する場合がありますので念のため申し添えます。
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇
〇〇 〇〇 ㊞
電話番号:090-****-****
※付加金とは?
付加金とは労働基準法の規定に違反して「解雇予告手当」「休業手当」「時間外手当(割増賃金)等」を支払わない使用者(個人事業主も含む)に対して懲罰的に請求を認めている金員のことを言います(労働基準法第114条)。
裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第七項の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。
使用者が「解雇予告手当」「休業手当」「時間外手当(割増賃金)等」を支払わない場合に裁判を行った場合には、裁判所(裁判官)はその請求額と同額の付加金を合わせて被告である使用者に支払うよう判決することができますので、たとえば休業手当(労働基準法第26条に規定されています)として10万円を請求する裁判を行い付加金の支払も併せて請求して勝訴した場合には、未払いの休業手当となっている10万円にプラスしてさらに10万円の付加金を支払えという判決が出されることになりますから、合計20万円の支払いを受けることができます。
このように、付加金を請求されると会社側は未払いとなっている休業期間中の賃金(休業手当)の2倍の金額を支払わなければならなくなりますから、上記のような一文を挿入することで、会社側にプレッシャーを与えることが出来る場合があります。
(3)「原材料の不足」「交通機関のマヒ」「機械の故障・検査・点検」「監督官庁の臨検や調査」など使用者側に直接的な責任がない休業であることを理由として休業手当が支払われない場合
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
貴社都合による休業日の未払い賃金(休業手当)の請求について
貴社は、平成○年○月○日から同月〇日までの期間、貴社の都合により休業を行っておりますが、私は、この休業期間中の賃金の支払いを受けておりません。
この件に関し貴社は、「休業の原因となった原材料の不足は使用者に帰責事由のある事案ではない」との理由で休業期間中の賃金(休業手当)の支払いを拒んでおりますが、仮に民法536条第2項前段に規定された民法上の帰責事由が存在しない場合であっても、労働基準法第26条の休業手当の規定は労働者の最低限の生活を保護するため平均賃金の最低6割を罰則(労働基準法第120条)をもって確保するために設けられた規定であり、民法536条2項における「責めに帰すべき事由」より広く使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するべきですから、天災事変などの不可抗力でもない限り、労働基準法第26条における「使用者の責めに帰すべき事由」に該当すると考えるべきです(ノースウエスト航空事件:最高裁昭和62年7月17日に同旨)。
したがって、貴社の見解は法令または判例に違反するものといえますから当該休業期間中の賃金の合計金〇万円を、本書面到達後2週間以内に支払うようお願い申し上げます。
なお、本書面到達後2週間以内にお支払いいただけない場合は、年6分による遅延損害金を、また労働基準法第114条所定の付加金も合わせて請求する場合がありますので念のため申し添えます。
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇
〇〇 〇〇 ㊞
電話番号:090-****-****
※)将来的に裁判になる可能性がある場合は、証拠として残しておくためにコピーを取ったうえで普通郵便ではなく特定記録郵便(場合によっては内容証明郵便)で送付すること。
※)裁判所では全ての書類をA4で統一していますので、後日裁判を起こす可能性がある場合はA4用紙で作成すると後々何かと便利です。