会社を辞めたいのに辞めさせてくれないときの対処法


説教する外国人ビジネスマン

ブラック企業に就職してしまった場合には、耐え切れずに会社を辞めたいと考えることもあるのではないかと思われます。

会社を辞める際は、会社に対して退職届(退職願)を提出するのが通常ですが、ブラック企業の場合は提出した退職届(退職願)を受理しなかったり、「次の人材が入るまで辞めさせない」とか「今辞められたら会社に損害が出るから損害賠償請求するぞ」などと脅迫まがいの言動で退職を妨害する事例が見受けられます。

また、悪質なブラック企業では就業規則に「退職は6か月前に申し出なければならない」などと長期間の退職予告期間を設けている場合があり、このような会社では辞めたくても辞められず、過酷な労働を長期間にわたって我慢しなければならない事例も多いようです。

しかし、労働基準法でも強制労働の禁止(労働基準法第5条)が明確に規定されていますから、会社が労働者の退職を制限したり退職の意思を有している労働者を本人の意思に反して長期間会社に縛りつけておくことは認められるべきではありません。

【労働基準法第5条】

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

そこで今回は、仕事を辞めたいのに会社が辞めさせないようにすることは違法ではないのか、また、退職届(退職願)を出したのに会社が辞めさせてくれない場合(退職妨害を受けた場合)にはどのような対処方法を採れば良いかといった問題について考えてみることにいたしましょう。

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会社を辞めさせてもらえない場合の対処法は「期間の定めのない雇用契約」と「期間の定めのある雇用契約」で異なる

会社を辞めたいのに辞めさせてくれない場合の対処法を考える前提として、自分が会社との間で結んでいる労働契約(雇用契約)が「期限の定めのない雇用契約」であるのか「期限の定めのある雇用契約」なのかを調べなければなりません。

なぜなら、会社が労働者の退職を制限できるか否か(労働者が会社を自由に退職できるか否か)は、「期間の定めのない雇用契約」の場合と「期間の定めのある雇用契約」の場合でそれぞれ異なっているからです。

(1)「期間の定めのない雇用契約」とは?

「期間の定めのない雇用契約」とは、文字どおり契約期間が定められていない雇用契約(労働契約)のことをいいます。

一般的に正社員の場合は定年まで勤め上げるのが前提となっていますので、正社員として就職した場合は「期間の定めのない雇用契約」と思って差し支えないでしょう。

ただし、正社員であってもたとえば数年単位で契約の更新がなされる場合は後述する「期間の定めのある雇用契約」となりますし、アルバイトやパートであっても入社時に契約期間が定められていないのであれば「期間の定めのない雇用契約」になる場合もあります。

そのため、自分の雇用契約(労働契約)が「期間の定めのない雇用契約」なのか「期間の定めのある雇用契約」なのか分からない場合には、入社時に会社との間で取り交わした雇用契約書(労働契約書)の控えを確認し、自分の雇用契約(労働契約)に契約期間が定められているかいないかという点を確認しておいた方が良いでしょう。

(2)「期間の定めのある雇用契約」とは?

「期間の定めのある雇用契約」とは、文字どおり雇用契約の期間が定められている雇用契約(労働契約)をいいます。

たとえば、「〇年ごとに契約を更新する」とか「〇か月ごとに契約を更新する」とか「契約期間は〇年○月○日から〇年○月○日までとする」などと就労する期間が定められている場合(契約社員やアルバイト・パートなどの場合が多い)には、その雇用契約(労働契約)は「期間の定めのある雇用契約」となります。

なお、正社員であっても、数年単位など一定の期間で査定が行われ契約が更新されるような場合には「期間の定めのある雇用契約」と言えるでしょう(※このような契約の場合は「契約社員」と呼ばれることが多いです)。

「期間の定めのない雇用契約」の場合の対処法

(1)「いつでも」辞めることが出来る

会社との雇用契約が「期間の定めのない雇用契約」の場合には、労働者はいつでも会社を辞めることができます(民法627条1項前段)。

【民法627条】

第1項 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。

「いつでも」退職することができるのですから、仮に会社が退職を認めない場合でも会社の承諾なしに自由に退職することができますが、会社を辞める場合には退職日の2週間前までに会社に対して退職の意思表示をすることが必要となります(民法627条1項後段※但し年俸制の場合は異なる)。

例えば、6月30日に退職したいと思う場合には、その2週間前の6月16日までに退職届(退職願)を提出しておかなければならないことになります。

ただし、賃金が一か月単位で計算されその支払いが毎月一回と定められているような月給制の会社の場合には、退職の意思表示は退職を希望する日の前の月の前半までにすることが必要となるので注意が必要です(民法627条2項)。

【民法第627条2項】

期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

例えば、毎月の賃金が「月額〇円」と定められているような会社を6月30日に退職しようと思う場合には、その前月である5月の15日までに退職願を提出しなければならないことになります。

なお、退職の意思表示は書面でしなければならないと法律で規定されているわけではありませんので口頭で「退職します」と言うだけでも退職の意思表示としては有効です。

しかし、口頭で「辞めます」というだけでは、後になって「言った、言わない」の話になるとややこしくなりますので、「退職届」や「退職願」といった書面を提出して退職するのが常識的な方法と考えた方がよいでしょう。

※退職「届」と退職「願」に違いはあるか?

このページの主題とは全く関係ありませんが、他のサイトやブログで、『退職を願い出る際に会社に提出する書類に「退職願」と書いた場合は撤回することができるが「退職届」と書いた場合は撤回できない』といった記述がみられますが、退職「届」と記載したか退職「願」と記載したかで退職の効果を明確に区別した過去の裁判例はありませんので注意してください。なお、この点についてはこちらのページで詳しく解説しています。

▶  ”退職届”と”退職願”は違う?同じ?退職の撤回の問題点

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