契約社員とバイトに法的な違いはない?

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契約社員とアルバイト、名称は異なりますがその実質は全く同じということは皆さんご存知でしょうか?

契約社員は”社員”という文言が含まれるため、”正社員”と同等かもしくはそれに近い権限や地位が与えられていると思っている人も多いようですが、その実質はアルバイトやパートと何ら違いはありません。

なぜなら、法律上は契約社員とバイト(アルバイト・パート)を明確に規定した条文が存在していないため、雇い入れた従業員を”契約社員”と呼ぶか”バイト(アルバイト・パート)”と呼ぶかは各事業主が自由に決めて問題ないからです。

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法律上は「期間の定めのある雇用契約」と「期間の定めのない雇用契約」の2種類しか存在しない

意外と知らない人が多いようですが、日本の法律では”正社員”や”アルバイト”、”契約社員”や”パート”といった労働者の地位を規定する法律は存在していません。

雇用契約は民法という法律に規定がありますが、そこに定められているのは、「期間の定めのある雇用契約(有期雇用契約)」と「期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)」の2種類だけであり、”正社員”や”アルバイト”、”契約社員”や”パート”などを定義した法律は存在していないのです。

そのため、たとえ会社が”正社員”や”アルバイト”、”契約社員”、”パート”といった名称のうちどれか一つの名称で従業員を雇用していたとしても、それらは全て「期間の定めのある雇用契約(有期雇用契約)」と「期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)」のどちらか一方に分類されることになります。

つまり、”正社員”や”アルバイト”、”契約社員”、”パート”といった社内における労働者の地位は、単にその会社が社内で分類している呼称であって、法律上の分類ではないのです。

たとえば、”契約社員”として働いているAさんの雇用契約が「期間の定めのある雇用契約」である場合に、同じ会社に”アルバイト”として働いているBさんの雇用契約が」Aさんと同じ「期間の定めのある雇用契約」であったとしましょう。

この場合、AさんとBさんの社内での地位は”契約社員”と”アルバイト”で異なるかもしれませんが、法律的にはどちらも「期間の定めのある雇用契約」とであることに変わりありませんから、法律上の争いが発生した場合はAさんもBさんも基本的に同じ法的保護しか受けられないということになります。

一方、もしこのBさんが「期間の定めのない雇用契約」として働いていたと仮定して、同じ会社に「期間の定めのない雇用契約」として”正社員”で働いているCさんがいたとすると、BさんとCさんは社内での地位は”アルバイト”と”正社員”で異なるかもしれませんが、どちらも「期間の定めのない雇用契約」であることに変わりありませんから、法律上の争いが生じた場合には”アルバイト”であるBさんも”正社員”であるCさんと同様の法律的な保護を受けることができるということになります。

逆に、この場合に仮に”正社員”であるCさんの雇用契約が「期間の定めのある雇用契約」であったとすると、Cさんは契約期間が満了すれば会社が契約を更新しない限り退職しなければなりませんから、”正社員”といえども終身雇用ではなく、アルバイトや契約社員と同様に「非正規労働者」として雇われているに過ぎないということになります。

正社員・契約社員・アルバイト・パートのどの名称で従業員を募集するかは各会社(雇い主)が自由に決めてよい

前述したように、法律上は「期間の定めのある雇用契約(有期雇用契約)」と「期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)」の2種類しか規定されていませんから、法律上全ての労働者は「期間の定めのある雇用契約」と「期間の定めのない雇用契約」の2つに分類されることになります。

また、”正社員”や”契約社員”、”アルバイト”、”パート”を定義している法律も存在していませんから、どのような労働条件の従業員を”正社員”、”契約社員”、”アルバイト”、”パート”のどの地位で雇用するかという点についても特に制限はないということになります。

※「短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律(パート労働法)」という法律があることから”パート”の労働者については規定する法律が存在しているということができますが、この法律でも”パート”という呼称を使用できる要件を規定しているわけではありませんので、どのような労働条件の従業員を”パート”として雇用するのかは各使用者が自由に決定して問題ないことになります。もっとも、パートの場合は通常の労働者よりも1日の労働時間が少ない勤務時間になるのが通常なので、「パート=短時間労働者」という定義も成り立ちますが、アルバイトで雇用された労働者が短時間勤務の場合もあるため正確には「パート≠短時間労働者」となるかもしれません。

そうすると、企業が従業員を募集する場合には、その労働者との雇用契約を「期間の定めのある雇用契約」と「期間の定めのない雇用契約」のどちらにするかという点だけ決めればよいということになり、募集する人材を”契約社員”や”アルバイト”、”パート”や”正社員”のどの地位で募集するかという点は会社の自由ということになります。

そう考えると、従業員の地位が”正社員”であるか”契約社員”であるか、または”アルバイト”であるか”パート”であるかといった点については、法律上は特に際はないということにないということになります。

法律上重要なのは、会社との間で結ばれている雇用契約が「期間の定めのある雇用契約」であるのか「期間の定めのない雇用契約」であるのかという点なのであって、”正社員”であるのか”契約社員”であるのか、あるいは”アルバイト”であるのか”パート”であるのかという点ではないのです。

なぜ企業は”アルバイト”ではなく”契約社員”として従業員を募集するのか?

以上のように、労働契約において法律上重要なのは、会社との間で結ばれている雇用契約が「期間の定めのある雇用契約(有期雇用契約)」であるのか「期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)」であるのかという点であって、”正社員”であるか、あるいは”契約社員”、”アルバイト”、”パート”であるのかという点は法律上さほど重要ではないということになります。

ところで、一般的に”契約社員”と”アルバイト”は雇用契約に一定の期間を定めて雇用(有期雇用契約)されることが多いことから、”契約社員”も”アルバイト”も実質的に違いはないと考えられますが、なぜ企業では”アルバイト”として募集をせずに”契約社員”として募集したりするのかご存知でしょうか?

答えは簡単。

”アルバイト”として求人を出すより”契約社員”として求人を出す方が、応募してくる人数が多くなるからです。

一般の人は、前述した”正社員”、”契約社員”、”アルバイト”、”パート”の区別が法律上の区別ではないということは知りませんから、「アルバイト」と記載している求人よりも「契約社員」と記載している方が、社員としての保護が手厚いと考えます。

”契約社員”という文言の中に”社員”という文言が入っていることからも、「正社員に準じた地位で雇ってもらえる」と勘違いして応募する人は多いでしょう。

実際には、労働者としての法律的な保護は雇用契約に「期間の定めがあるかないか」という点で決められますから、求人票に”契約社員”と記載されていようが”アルバイト”と記載されていようが労働者の法的地位に違いはありません。

しかし、一般の人は”社員”という文言の入った”契約社員”の方が”アルバイト”よりも地位が高いと信じてしまうので、会社側は実際には「非正規社員」となる”アルバイト”を募集する場合でも”契約社員”として募集することが多いのです。

求人票を見るときは”正社員”、”契約社員”、”バイト(パート)”の区別よりも、雇用契約に「期間が定められているかいないか」という点をチェックすること

以上のように、”正社員”、”契約社員”、”バイト(パート)”の区別は法律的に存在していませんから、仮に求人票に”社員”や”契約社員”と記載されていても、その”社員”や”契約社員”という文言に騙されないように注意する必要があります。

求人票に”アルバイト”と記載されていた場合であっても、雇用期間が定められていない場合は基本的に「無期雇用契約(終身雇用)」となりますから、契約期間のある”契約社員”よりも法律的な保護は厚くなります。

一方、たとえ求人票に”正社員”と記載されていたとしても、その雇用期間が「○年○月~○年○月まで」などと一定の期間に限定されている場合には、その雇用契約は「非正規労働者」としての雇用契約なのであって、一般的な”契約社員”や”アルバイト”と同じレベルの法的保護しか受けられません。

特に、ブラック企業などでは、求人サイトや求人誌に「正社員募集」と謳って従業員を募集しておきながら、実際に雇用契約を結ぶ時には有期雇用契約として雇い入れる場合も多くみられますので注意することが必要でしょう。


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