病院・介護施設における障害者等への虐待行為の内部告発文書

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このページでは、障害者や要介護者が医療介護サービス等を受けるため入所(入院)している病院や介護福祉施設等において、職員(医師・看護師・介護職員など)から虐待等(ネグレクトなど介護放棄を含む)を受けていることを監督官庁に内部告発する場合の申出書の記載例(サンプル)を公開しています。

適宜、ワードなどの文書作成ソフトで複製するなど自由に使用してかまいませんが、著作権を放棄するわけではありませんので無断転載や配布などは禁止します。

なお、この書式例(ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。この書式例(ひな形例)を使用して損害が発生した場合であっても当サイトの管理人は一切責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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障害者や要介護者が入所する施設(病院等)で職員から虐待等(ネグレクトなど介護放棄を含む)を受けていることについて監督官庁に内部告発する場合の申出書の記載例

申出書

平成

京都府知事 殿 ←注1

氏名 告発 スル代 ㊞

 障害者総合支援法に違反する行為につき、下記のとおり申し出ます。

1 申出人の氏名又は名称及び住所並びに電話番号

 氏名又は名称 告発スル代

 住所 京都市右京区〇〇四丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室

 電話番号 080-****-****

2 申出に係る通報の種類

 入所者に対する虐待、ネグレクト等

3 申出の理由

 申出人は事業者が運営する独立行政法人○立病院機構虐待・ネグレクト病院で準看護師として勤務しているが、同病院では複数の看護師及び介護職員が、入所者に対して「いじめられたないんやったら黙っときや」「患者やていう立場忘れんようしときや」などと暴言を吐いたり、大きな声を出す入所者のベッドの側面を蹴るなど心理的虐待に該当するような行為を行っている。

 また、頻繁にナースコールを行う入所者に対してナースコールのボタンを入所者の手の届かない場所に置くなどの嫌がらせ行為(ネグレクト・介護放棄)も度々見受けられる。

4 申出に係る事業者等の氏名又は名称及び住所

 氏名又は名称 独立行政法人○立病院機構虐待・ネグレクト病院

 住所 京都市〇〇区〇〇丁目〇番〇号

5 申出に係る違法行為を行っている事業所の場所及び氏名又は名称

 氏名又は名称 独立行政法人○立病院機構虐待・ネグレクト病院

 住所 京都市〇〇区〇〇丁目〇番〇号

以上

注1)この記載例では「京都市〇○区」に所在する病院の違法行為を通報する場合を想定していますので「京都府知事 殿」と記載しています(※詳細は後述の(2)を参照)。

※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、プリントアウトする際はA4用紙を利用するようにしてください。

【匿名で内部告発したい場合】

自分の氏名を申告せずに匿名で告発したい場合は上記の「氏名」の欄や「1 申出人の氏名又は名称及び住所」の欄を白紙のまま提出するか、「6 備考」の項目を追加して「本件申出をしたことが事業者に知れると勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため事業者に対しては申出人の氏名を公表しないよう求める。」などと記載するなどしてください。

※ただし、匿名で内部告発する場合は監督官庁としてもその告発内容の信ぴょう性を確認できず単なる「いたずら」として処理される可能性もありますので注意してください。また、仮にこのように記載したとしても監督官庁が確実に氏名を秘匿してくれるかは保証できませんのでご自身の判断で申出を行ってください。

(1)申出書の様式

障害者総合支援法に違反する事業者を監督官庁に申告する申出は法律で定められた手続きではありませんので、障害者総合支援法に違反する事業者の違法行為について情報提供する場合に使用する申出書についても定型の様式は定められていません。

そのため障害者や要介護者が医療介護サービス等を受けるため入所(入院)している病院や介護福祉施設等において、職員(医師・看護師・介護職員など)から虐待等(ネグレクトなど介護放棄を含む)を受けていることについて監督官庁に内部告発する場合の申出書も適宜な書式で記載しても構いませんが、このサイトでは上記のような様式で記載することにしています。

(2)申出書の提出先

障害者や要介護者が医療介護サービス等を受けるため都道府県知事から指定を受けた病院や介護福祉施設等に入所している場合において、職員(医師・看護師・介護職員など)から虐待等(ネグレクトなど介護放棄を含む)を受けている事実がある場合には、その障碍者や要介護者を受け入れている医療施設等(指定障害者支援施設等)は「障害者総合支援法」という法律に違反することになります。

そして、障害者総合支援法に違反する医療施設等(指定障害者支援施設等)を監督するのは都道府県知事となっていますので(障害者総合支援法第48条及び49条等)、施設内における職員等の虐待やネグレクト(介護放棄)などの違法行為も、その被害の生じている施設の所在している都道府県の都道府県知事を名宛人として各都道府県に対して行うことになります。

なお、消費者庁のサイトによると、障害者総合支援法に違反する行為については、その違法行為が行われている医療施設等(指定障害者支援施設等)の所在する都道府県の公益通報窓口(相談室等)に通報することになっているようです。

ちなみに、障害者総合支援法に関する公益通報の具体的な通報先の住所は消費者庁のこちらのページに掲載されています。

▶ 公益通報の通報先・相談先 行政機関検索 | 消費者庁

▶ 障害者総合支援法に関する各都道府県の公益通報先の住所一覧 | 消費者庁

(3)申出の根拠

知的障害又は精神障害により行動に困難を有する障害者であったり介護が必要な要介護者に対して療養介護を行う施設では、都道府県に申請し都道府県知事から指定を受けることによって「指定障害者支援施設」となりますが、都道府県から指定を受けた「指定障害者支援施設」は、各都道府県の条例で定める「指定障害者支援施設等の設備及び運営に関する基準」に従って「施設障害福祉サービス」を提供しなければならない義務を負います(障害者総合支援法第44条2項)。

「指定障害者支援施設等の設備及び運営に関する基準」は各都道府県の条例によって若干の違いがありますが、例えば東京都の場合には条例で「障害者総合支援法その他の関係法令及び条例の規定を遵守し、適正な管理運営を行うこと(1号)」や「利用者に対して適切なサービスの提供を行うこと(2号)」などが定められていますので、この条例の基準に達しないまたは違反する運営が施設で行われている場合には、その障害者施設(介護施設)は障害者総合支援法に違反する違法な施設であるということになります。

東京都障害者支援施設等に関する条例第14条

第1項 指定管理者は、次に掲げる基準により、施設等の管理に関する業務を行わなければならない。
1号 障害者総合支援法その他の関係法令及び条例の規定を遵守し、適正な管理運営を行うこと。
2号 利用者に対して適切なサービスの提供を行うこと。
3号 施設、附属設備及び物品の維持管理及び修繕を適切に行うこと。
4号 当該指定管理者が業務に関連して取得した利用者の個人に関する情報を適切に取り扱うこと。

この点、上記の申告書の記載例に挙げたように、入所者である障害者や要介護者が看護師や介護職員等から「虐待(暴言を含む)」や「ネグレクト(介護放棄を含む)」などを受けている場合には、条例で定められた「適切な管理運営」や「利用者に対する適切なサービスの提供」がなされていないことになりますから、その指定障害者支援施設は条例違反となり、障害者総合支援法第44条2項に違反することになります。

そして、障害者総合支援法第44条2項に違反する指定障害者支援施設に対しては、都道府県知事によって違法行為の「是正勧告」や施設名の「公表」等が可能ですし(障害者総合支援法第49条2項ないし6項)、その違反する指定障害者支援施設について都道府県知事の指定を取り消すことも可能となります(障害者総合支援法第50条)。

【障害者総合支援法第49条】

第2項 都道府県知事は、指定障害者支援施設等の設置者が、次の各号(省略)に掲げる場合に該当すると認めるときは、当該指定障害者支援施設等の設置者に対し、期限を定めて、当該各号に定める措置をとるべきことを勧告することができる。
1号(省略)
2号 第44条第2項の都道府県の条例で定める指定障害者支援施設等の設備及び運営に関する基準に従って適正な施設障害福祉サービスの事業の運営をしていない場合 当該基準を遵守すること。
3号(省略)

したがって、上記の申告書の記載例に挙げたように、入所者である障害者や要介護者が看護師や介護職員等から「虐待(暴言を含む)」や「ネグレクト(介護放棄を含む)」などを受けている場合においては、その虐待やネグレクトの事実をその施設の所在する都道府県の都道府県知事に申告することによって、「是正勧告」や指定障碍者支援施設の「指定の取消」などの行政処分を促し、虐待やネグレクトの改善を図ることができるものと考えられます。

【被害者の家族から告発する場合】

このページで紹介している内部告発文書の記載例は、虐待やネグレクトが行われている施設の職員が「内部告発」する場合を想定して作成していますが、虐待やネグレクトの告発はその施設で働いている従業員以外でも可能ですので、被害者の家族などが上記の記載例を使用して都道府県知事に対して虐待やネグレクトの申告を行っても全く問題ありません。

(4)施設で虐待などがあった場合の罰則等

前述したように、その虐待やネグレクトを放置している施設(病院や介護施設等)については都道府県知事からの「是正勧告」や「指定の取消」を受ける場合がありますし、都道府県知事によって管理業務の全部若しくは一部の停止が命じられることがあります(※東京都の場合→東京都障害者支援施設等に関する条例第12条)。

また、障害者や要介護者がその入所する施設において看護師や介護職員等が「虐待(暴言を含む)」や「ネグレクト(介護放棄を含む)」を行っている場合には、その加害者である看護師や介護職員等については当然、暴行罪や傷害罪などの刑事罰の対象となります。

なお、それとは別に、都道府県知事(または市町村長)は必要に応じて施設の職員(看護師や介護職員等を含む)に対し報告や出頭を求めたり施設に立ち入り検査を行うことができますが(障害者総合支援法第48条)、この都道府県知事(または市町村長)の調査に対して施設職員(看護師や介護職員等を含む)が虚偽の報告や答弁を行ったりした場合(※「虐待してません」などとうその報告をした場合)には、その職員は30万円以下の罰金に処せられることになります(障害者総合支援法第111条)。

(5)内部告発を行う場合の注意点

なお、内部告発をする際の注意点などについてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 内部告発(公益通報)の正しい方法と順序


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