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契約書と異なる待遇で退職する際の旅費に関する労基署の申告書

このページでは、賃金や休日などの実際の待遇が面接や労働契約書で説明された内容と異なることを理由として退職し、その退職から2週間以内に帰郷する場合において使用者が必要な旅費を支給しないことを理由として、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例(ひな形・文例)を公開しています。

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なお、この記載例(書式・ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

この記載例(書式・ひな形例)を使用して生じる一切の損害につき当サイトの管理人は責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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実際の労働条件が面接や労働契約書で説明された内容と異なることを理由として退職し2週間以内に帰郷する場合において、使用者が必要な旅費を支給しないことを理由とした労働基準監督署への違法行為の是正申告書の記載例


〇〇労働基準監督署長 殿

労働基準法違反に関する申告書

平成〇年〇月〇日

申告者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 広島市東区〇〇一丁目〇番〇号
氏名 実加茂努琉
電話番号 080-****-****

違反者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 大阪市中央区〇〇町〇番〇号
名称 株式会社ウィーアーライアー
代表者 宇曽月男
電話番号 06-****-****

労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実を申告いたします。

1 当事者

 違反者は野良猫の糞公害を事前予測するスマートフォン向け緊急猫受信システム「クソニャン」を開発・配信する従業員222名の株式会社である。
 申告者は、平成〇年〇月にプログラマとして入社し、スマートフォン向けシステムの開発等を主な職務として勤務している。

2 労働基準法に違反する事実

 申告者は平成○年○月〇日、違反者の面接を受験し基本給の月額が25万円という説明を受けて違反者に入社したが、実際の給与は15万円しか支給されなかったため同年〇月○日に退職届を提出し同月末日に違反者を退職した。
 この退職の際、申告者は入社するために実家のある広島市から転居していたため広島市への帰郷が必要になったことから、退職日から2週間が経過する前の〇月○日に違反者に対し労働基準法第15条第3項に基づく旅費を支払うよう請求したが、違反者は同条項に基づく旅費を一切支払わない。

3 是正措置の申立

 違反者の行為は、労働基準法第15条第3項に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。

4 添付資料

・退職届の写し                      1通
・退職届提出後に違反者に送付した帰郷旅費の請求書の写し  1通

5 備考

 特になし。

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。

※「当事者」の欄

当事者の欄は、会社やご自身の会社の業務に合わせて適宜書き直してください。

なお、匿名で申告したい場合は申告者の欄は空欄のまま提出しても構いません。

労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方

※「是正措置の申立」の欄

是正措置の申立の欄には、会社の行為が労働基準法の何条(何項)に違反するのかを記載します。

この事例では、「会社が帰郷旅費の支払いをしないこと」が問題となっていますが、入社する際に転居をしていた労働者が実際の労働条件が面接の際に説明を受けて労働契約書で提示された労働条件と異なることを理由に退職する場合において、その労働者が退職後2週間以内に帰郷する場合は使用者がその旅費を負担することが義務付けられていますので(労働基準法第15条3項)、その旅費の支払いを規定している「労働基準法第15条3項に違反する」という表現にしています。

【労働基準法第15条】

第1項~2項(省略)
第3項 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない

なお、この会社が帰郷の為の旅費を支払わない場合の対処法についてはこちらのページで解説しています。

▶ 退職にともなう帰郷に必要な旅費が会社から支給されない場合

※「添付資料」の欄

添付資料の欄には、使用者が労働基準法違反を行っていることを明らかとできるような資料(電子データなども含む)があればその資料を記載します。

ただし、労働基準監督署に対する違法行為の是正申告は裁判所における裁判とは異なり、使用者側の違法行為を証明する証拠がなくても是正申告を行うことは可能ですから、使用者の違法行為を証明できるような書類等がない場合には添付書類の欄は空欄のまま(又は「特になし」と記載して)提出しても構いません。

添付書類の欄に記載した書面については申告書と合わせて必ず提出(添付)します。

上記の文例では、「実際の労働条件が面接や労働契約書で説明された内容と異なることを理由として退職したこと」を明らかとするために「退職届」の写しを、また「退職後2週間以内に帰郷することになったこと」および「会社に帰郷の為の旅費を請求しても支払われなかったこと」を明らかとするために「退職届提出後に違反者に送付した帰郷旅費の請求書」の写しを添付することにしています。

なお、「退職届提出後に違反者に送付した帰郷旅費の請求書」の記載例はこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 契約書と異なる待遇で退職する際の帰郷にかかる旅費の請求書

ちなみに、添付書類として提出する文書の「原本」は裁判になった際に使用する可能性がありますので、労働基準監督署に対しては原本ではなく「写し(コピー機で複写したもの)」を提出するようにした方が良いでしょう。

※「備考」の欄

労働基準監督署への違法行為の是正申告は、匿名で申告することもできますし、監督署には氏名を明らかにしつつも使用者には氏名を伏せるよう注文を付けることも可能です。

上記の記載例は労働基準監督署と使用者の双方に自分の氏名を明らかにして申告する場合の記載例となります。

なお、労働基準監督署には氏名を明らかにしつつ会社に対しては自分の氏名を伏せたい場合には、備考の欄に「本件申告をしたことが違反者に知れると勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため、違反者に対しては申告者の氏名を公表しないよう求める。」などと記載します。

なお、この点の詳細は『労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方』のページで解説していますので参考にしてください。