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素手でトイレ掃除させる会社は完全にブラックと言い切れる理由

夏休みも佳境に入ったこの時期になると、内定や内々定をもらった企業から内定者研修に呼び出され、意味不明なオリエンテーションに参加させられて楽しい毎日を過ごしている学生さんも多いのではないかと思います。

内定者研修の問題点については『内定者研修(入社前研修)をする会社はブラック企業なの?』のページに書いてしまいましたのでここでは詳述しませんが、個人的には内定者研修をする会社はまともな会社ではないと考えています。

ところで、企業によっては入社前研修で内定者に与える課題の一つとして「トイレ掃除」をさせる場合があるようです。

このトイレ掃除、普通に掃除する分には特に問題はありませんが、トイレ掃除を「素手」で行うことを強要する会社は”100%ブラック”と断言できます。

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トイレを「素手」で掃除することの危険性

もちろん、トイレを素手で掃除するメリットが全く無いわけではありません。

人間の指は良くできていて、数千(数万だったかな?)分の1ミリ程度のキズや凹凸も感知できますから、素手で掃除することによりどんな小さな汚れも見つけ出して隅々まで綺麗にすることができるというメリットはあるでしょう。

しかしその反面、素手で便器に触れることにより、その便器に付着している細菌やウイルスを周囲にまき散らすことになります。

トイレ掃除は便器だけを掃除すればよいというものではありませんから、便器以外にも、シンクや蛇口、鏡の面やタイル、ドアノブ、壁面、床、照明など様々な部分を綺麗にしなければなりません。

しかし、掃除するために素手で便器を触った場合、その汚染された手で触った掃除用具も汚染物質で汚染され、その汚染された手で掃除した他の個所も汚染されてしまいます。

使い捨ての手袋を使えば簡単にこのような汚染物質の広がりを防ぐことができるのですが、素手で便器を掃除してしまうと、綺麗にするのが目的であるはずのトイレ掃除が、逆にトイレ全体に汚染物質を広げる結果となってしまうのです。

確かに、昔は素手でトイレ掃除をすることも一般的に広く行われていましたが、10年ほど前にノロウイルスの感染が問題になってからというもの、ビルの掃除を専門にする業者では使い捨てゴム手袋の装着がほぼ当然になっています。

私もちょうど10年ほど前にビルの掃除の仕事をしていましたが、ノロウイルスが社会問題になった時期を境にして、トイレ掃除の際には必ず使い捨てのゴム手袋を使用するようにと会社から厳しく指導がなされるようになったのを覚えています。

このように、トイレ掃除を素手で行うというのは掃除のプロからしてみれば「絶対にやってはいけないこと」と言える極めて危険な行為なのです。

また、素手で便器に触ることによって、その素手で触った人や他の人の健康を損なう恐れがあることも問題です。

「終わった後に手を洗えば済むじゃないか」と思われるかもしれませんが、仮に石鹸で洗ったとしてもその汚染源を100%除去することはできません。

勿論、医療機関並みの器具や消毒液などを備えて入念に手を洗浄すれば100%に近い状況まで汚染源を除去できるかもしれませんが、一般の企業のトイレには石鹸水が置かれているだけであり、良くて消毒用のアルコールが置かれている程度でしょう。

それぐらいの器具や薬剤でどんなに入念に洗浄したとしても、いったん汚染された手から100%汚染源を除去することはできないでしょう(風呂にでも入れば別ですが・・・)。

見た目は綺麗になったとしても、必ず汚染源は残っているはずです。

もしその汚染源が悪質な病原菌やウイルスだった場合、その人やその人と接触した人はどうなるでしょうか?

悪性の病原菌の付着していることに気づかぬまま、エレベーターのボタンに触り、オフィスの書類を触り、食堂のイスやテーブルに触り、帰りの電車で吊革につかまって悪質な病原菌やウイルスが世界中にまき散らされてしまったら、いったい誰が責任を取るのでしょうか?

 

トイレを「素手」で掃除することの経済的問題

トイレを素手で掃除することは、費用対効果の面を考えてみても問題があります。

前述したように、素手で便器を触ると汚染源を周囲にまき散らすことになりますから、これを最小限に防ぐにはこまめに手を洗わなければなりません(※もっとも前述したように洗ったとしても100%汚染物質を除去できるわけではありませんが・・・)。

しかし、素手で便器を洗った後に手を洗い、その後便器以外の個所を掃除し終わったらまた手を洗うとなると、その手を洗う手間だけでも時間がかかります。

(ちなみに、業務用の使い捨て手袋は1枚1円程度しかしませんから、手を洗う水道代や石鹸代を考えても、使い捨て手袋を使う方が費用的に安くなりますし環境に対する負荷も少ないはずです。)

このように、素手で便器に触ることは費用対効果の面で考えてもメリットは全くありません。

なお、「どうせ掃除の一番最後には手を洗うんだから、便器を一番最後に洗えばいいじゃないか」と思うかもしれませんが、「上から下へ」「奥から手前へ」「一番汚れている部分から比較的汚れていない部分へ」というのが掃除をする際の鉄則です。

このような順序でやらないと、いったん掃除した部分に汚れが付着してしまい二度手間になってしまうからです。

なので、トイレ掃除ではまず最初に便器を洗い、次に壁面やシンク、最後に床を噴き上げて外に出るというのが基本的な手順となりますから、最後に便器を洗ってしまうと、再度手を洗ったシンクや床面を掃除しなければならず、二度手間になって時間と労力の無駄になってしまいます。

 

費用対効果を考えれば素手でトイレ掃除する意味はない

前述したように、業務用の使い捨てビニール手袋は1枚1円程度のコストしか発生しませんし、手袋をはめて掃除する方が断然、効率的でしかも衛生的です。

そのため、費用対効果の面を考えれば素手で掃除するよりも手袋をはめる方が断然有益といえます。

にもかかわらず、あえて素手でトイレを掃除させることを強要させているということは、その会社は「費用対効果」の問題を常日頃から考えていないということが想定できます。

「費用対効果」を考慮できずに業務を行っているということは、端的に言って利益を生み出す能力に問題があるということです。

そして、そのような利益を生み出す能力の低い会社は往々にして、サービス残業などで従業員に無理を強いるようになります。

 

トイレを素手で洗わせたがる会社の真意

トイレ掃除を素手でやらせる会社(又は上司や社員)の真意はどこにあるかと言うと、

「汚い便器も素手で触ることができるようになる」→「嫌な仕事・困難な仕事も嫌がらずにやるようになる」

という精神を社員や内定者に植え付けたいのだろうと思います。

「お客様の為なら汚い(つらい)仕事も我慢してやれ」ということを言いたいのだと思いますが、その真意は「会社の利益の為なら汚い(つらい)仕事も我慢してやれ」というところにあるのは明白です。

なぜなら、前述したように素手で便器に触る行為は、その掃除している人の健康を損なうだけでなく広い範囲に汚染源をまき散らす極めて危険な行為であることは明らかであって、会社の自己満足でやっているにすぎないからです。

「会社の理念の実現の為なら社会全体に迷惑をかけてもかまわない」と考えていることに他なりませんから、「お客の為」と言うのは単なるまやかしで、本心は「会社の利益の為なら汚い(つらい)仕事も我慢してやれ」と考えているのは明白でしょう。

このような会社に入社するとどうなるかと言うと、サービス残業は当たり前、有給休暇などもってのほか、産休・育休取るなんて問題外、ということになるのは目に見えています。

 

以上のように、トイレを素手で掃除することには全く意味がないどころか、社会全体に迷惑をかける有害な行為と言えます。

このような問題点に気付づかずにトイレ掃除を素手でやらせる企業がまともな会社であるはずがありません。

なので断言できます。

素手でトイレ掃除をさせる会社は絶対にブラックです。