このページでは、いったん提出した退職届(退職願)の撤回を申し出たものの会社から退職届(退職願)の撤回を拒否された場合に、労働局に対して個別労働関係紛争の解決援助の申立をする場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。
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退職届(退職願)の撤回を拒否された場合における労働局の紛争解決援助申立書の記載例
〇〇労働局長 殿
個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)
平成〇年〇月〇日
申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県横浜市鶴見区〇〇町〇番〇号
氏名 甲賀井須留乃
電話番号 090-****-****
被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都品川区〇〇町〇番〇号
名称 株式会社ミトメンシステム
代表者 見留麻衣
電話番号 03-****-****
1 紛争解決の援助を求める事項
退職の意思表示の撤回(取り消し)に応じるよう事業主に対する助言・指導を求める。
2 援助を求める理由
被申立人は業務用決算処理システムのソフト開発及び販売を行う従業員50名の株式会社であり、品川区の本社ビルにてソフトウェアの開発及びウェブマーケティング業を営んでいるものである。
申立人は、平成〇年〇月に営業職として入社し一般営業職として勤務していたが、平成〇年〇月○日、一身上の都合により退職したい意思があることを上司である◇◇(以下”課長”)に告知するとともに、翌○月末日付をもって退職する旨記載した退職届を提出した。
ところが数日後、申立人はやむを得ない事情が発生したことから退職することを思いとどまることになり、同年○月○日、課長に対し、提出した退職届を撤回したい旨申し出た。
しかしこの課長は「退職届は人事部長が出張から帰り次第すぐに人事部で決済してもらうことになっているから、いったん退職届を提出した以上、退職届の撤回はできない」と退職届の撤回を拒否し、同月○日には被申立人から「○月末日をもって退職することを認める」旨の辞令が交付され、同月末日に申立人は被申立人の会社を退職せざるを得なくなった。
しかしながら、退職の意思表示は雇用契約の合意解約の申し入れであって、使用者が承諾の意思表示をし雇用契約終了の効果が発生するまでは、使用者に不測の損害を与える等信義に反すると認められるような特段の事情がない限り自由に撤回することができるものである(大隅鉄工所事件名古屋高裁昭和56年11月30日に同旨)。
また、被申立人の就業規則の第○条には「従業員の退職の意思表示は、会社がその退職を承諾する辞令書の交付をもってその効力を生じる」旨の規定があるところ、申立人は被申立人が退職を承諾する辞令書を交付する前の○月○日に課長に対して退職の撤回の意思表示をしているのであるから、いったん提出した退職の意思表示の効果は有効に撤回されているはずである。
したがって、このような被申立人の対応は、過去の裁判例や就業規則の規定に違反するものといえるから、被申立人が退職の撤回を認めないことによって生じた退職は無効であり、被申立人は申立人の退職の撤回を認めるべきである。
3 紛争の経過
申立人は平成〇年〇月○日、大学時代の友人と新しく会社を立ち上げることになったため、一身上の都合により退職したい意思があることを上司である◇◇(以下”課長”)に告知するとともに、翌○月末日付をもって退職する旨記載した退職届を提出した。
ところが数日後、友人が開業資金を持ち逃げして行方不明になっていることが明らかとなり、新規事業の立ち上げが事実上不可能となったことから、申立人は退職することを思いとどまることにした。
申立人は同年○月○日、課長に対し、提出した退職届を撤回したい旨口頭で申し出たが、「退職届は人事部長が出張から帰り次第すぐに人事部で決済してもらうことになっているから、いったん退職届を提出した以上、退職届の撤回はできない」と退職届の撤回を拒否されたため、翌○日付で「退職届の撤回申入書」を作成し被申立人に送付した。
しかし、その1週間後の同月○日、被申立人から「○月末日をもって退職することを認める」旨の辞令が交付された。
申立人は退職の撤回が認められないことに納得いかなかったため、人事部を訪れて事情を説明し退職の撤回を認めるよう求めたが、被申立人は一切退職の撤回を認めることはなく、申立人は同月末日をもって被申立人の会社を退職せざるを得なくなった。
4 添付資料
・退職届の撤回申入書の写し 1通
・退職の意思表示を承諾する旨の辞令書の写し 1通
以上
※:添付書類は必ずしも添付が必要なものではありませんので、添付しない場合は削除しても構いません。
※なお「退職届の撤回申入書」の記載例については、『退職届の撤回通知書【ひな形・書式】』のページを参考にしてください。
※官公庁では全ての書類をA4で統一しているためプリントアウトはA4を利用すること。
様式について
労働局に対する援助の申立書は上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、東京労働局の様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。
もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。