このページでは、入社祝い金(入社奨励金・サイニングボーナス)制度のある会社を退職する際に、会社から「退職するなら受け取った入社祝い金を返せ」と請求された場合に、会社との間で入社時に取り交わした「入社後○年以内に退職する場合は受領した入社祝い金の全額を返還する」という合意が法律に違反し無効であることを理由に返還を拒絶するための通知書のひな形(書式)を公開しています。
適宜、ワードなどの文書作成ソフトに打ち込んでご自由に利用してください(※なお、裁判所では全ての書類をA4で統一していますので、後日裁判を起こす可能性がある場合はA4用紙で作成すると後々何かと便利です)。
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なお、この書式例(ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。
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「退職する場合は入社祝い金を返還する」という合意が法律に違反し無効であることを理由に会社からの入社祝い金の請求を拒絶する書面
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
入社祝い金の返還義務不存在に関する通知書
私は、平成○年○月○日付退職願(平成○年○月○日に内容証明郵便で送付し、同年○月○日に貴社に配達済み)により、同年○月○日付で貴社を退社いたしましたが、貴社から入社時に「入社後1年以内に退職する場合は受領した入社祝い金全額を返還する」旨の合意があることを理由に受領した入社祝い金全額の返還を求められております。
しかしながら、私は、入社時に貴社との間で取り交わしたこの合意は、下記の理由により無効であると考えます。
よって、貴社の主張する入社祝い金の返還には応じられませんので、ご理解いただきたくお願い申し上げます。
記
1 退職する場合は受領した入社祝い金を返還しなければならないという合意が、強制労働の禁止を定めた労働基準法5条に違反していること
2 退職する場合は受領した入社祝い金を返還しなければならないという合意が、違約金又は損害賠償額の予定を禁止した労働基準法16条に違反していること
以上
なお、「1年以内に退職した場合には全額返還する」という合意のもと入社時に200万円のボーナスが支給された過去の裁判例では、この合意が違約金・損害賠償額の予定を禁止する労働基準法5条および労働基準法16条に違反するとして無効と判断されておりますので念のため申し添えます(日本ポラロイド事件・東京地裁平成15年3月31日)。
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇
〇〇 〇〇 ㊞
注)証拠として残しておくためにコピーを取ったうえで普通郵便ではなく特定記録郵便または内容証明郵便で送付すること。
注)この通知書は、事前に退職願を内容証明郵便で送付していることを前提として作成しています。
「退職する場合は受け取った入社祝い金を返せ」と言ってくる会社は、入社祝い金の返還がない限り退職を拒否することが多いので、そういう場合はまず退職願を内容証明郵便で会社に送付し、2週間経過後に退職の効力が生じてからこの通知書を送付するという手順を踏むことになるでしょう。