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休日の電話応対義務の賃金不払いに関する労基署の申告書の記載例

このページでは、休日であっても上司や同僚からの電話やメールに応答することが義務付けられている場合に、その休日が会社の指揮命令下に置かれているにもかかわらず休日出勤手当が支給されていないことを理由として、労働基準監督署に対して違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例(ひな形・文例)を公開しています。

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なお、この記載例(書式・ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

この記載例(書式・ひな形例)を使用して生じる一切の損害につき当サイトの管理人は責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

※なお、休日であっても上司や同僚からの電話やメールに返答(応答)することが義務付けられている場合に、その休日が実質的に休日ではないと判断し毎週少なくとも1回(または4週間のうち4回)休日を与えなければならないと規定した労働基準法の規定に違反することを理由として、労働基準監督署に対して違法行為の是正申告を行う場合は『休日電話応対義務の休日付与違反に関する労基署の申告書の記載例』のページを参考にしてください。

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会社から休日であっても上司や同僚からの電話やメールに応答するよう指示されている場合に、休日労働の賃金が支払われていないことを理由に労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例


〇〇労働基準監督署長 殿

労働基準法違反に関する申告書

平成〇年〇月〇日

申告者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県横浜市〇〇町〇番〇号
氏名 安見泰子
電話番号 090-****-****

違反者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都品川区〇〇町〇番〇号
名称 古希塚井興業株式会社
代表者 辺東史郎
電話番号 03-****-****

労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実の申告を行います。

1 当事者

 違反者はスマートフォンケースの輸入販売業を営む従業員20名の株式会社であり、品川区の本社営業所に営業部がある他、葛飾区に物流センターが設けられている。
 申告者は、平成〇年〇月に営業担当者として入社し、販売店の新規開拓と担当販売店への出荷調整業務を主な職務として勤務している。

2 労働基準法に違反する事実

 違反者の会社では週休二日制を採用しているが、業務の関係上、従業員の休日に販売店や関係企業から連絡が入ることがあることから、たとえ休日であっても9時から17時までの間は常時会社からの電話やメールに応答できるようにしておくことが違反者の経営者からの指示で決められている。
 この点、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいうと解されるところ(三菱重工長崎造船所事件:最高裁平成12年3月9日判決に同旨)、違反者のように休日であっても上司や同僚からの電話やメールに応答することを義務付けている状況は、たとえ休日であっても申告者ら労働者が使用者である違反者の指揮命令下に置かれている状態と言えるものであって、休日の9時から17時までの間は賃金の発生する労働時間にあたるものであると言える。
 しかしながら、違反者は、休日に会社から電話やメールが来た場合にはそれに応答することを義務付けておきながら、その休日の9時から17時までの時間について休日労働の賃金を支払っていない。

3 是正措置の申立

違反者の行為は、労働基準法37条に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。

4 添付資料

休日であっても電話やメールに応答するよう上司から命令されたメールをプリントアウトしたもの 1通

5 備考

本件申告をしたことが違反者に知れると勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため、違反者に対しては申告者の氏名を公表しないよう求める。

以上


※「当事者」の欄

当事者の欄は、会社やご自身の会社の業務に合わせて適宜書き直してください。

なお、匿名で申告したい場合は申告者の欄は空欄のまま提出しても構いません。

≫ 労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方

※「是正措置の申立」の欄

是正措置の申立の欄には、会社の行為が労働基準法の何条(何項)に違反するのかを記載します。

この事例では、休日であっても上司や同僚からの電話やメールに応答(返答)することが義務付けられている場合には、その休日の9時から17時の間は「会社の指揮命令下」に置かれている状況にあることから形式的には”休日”であっても実質的には賃金の発生する”労働時間”に該当することになるにもかかわらず、その休日出勤の賃金が支払われていないことを根拠として、使用者が労働者を休日に労働させた場合には休日労働に関するの割増賃金を支払わなければならないと規定した労働基準法の第37条1項に違反するものとして記載しています。

なお、上記の記載例でも記載しているように、最高裁判所の判例では賃金が発生する”労働時間”とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいうと判断されていますので、たとえ休日で会社に出勤していない場合であっても、上記の事例のように会社からの電話やメールに応答することが義務付けられている場合には「会社の指揮命令下」に置かれていると解されることから、電話やメールに応答することが義務付けられた9時から17時までの時間については休日労働の賃金を支払わなければならないと考えられます。

なお、この点の法律上の解釈についてはこちらのページで詳細に解説していますので参考にしてください。

▶ 休日に来る上司からの電話やメール、返答しないといけないの?

※「添付書類」の欄

添付書類の欄には、労働基準法違反の事実を証明するような書類があればその書類を記載しますが、この欄に記載した書面については必ずこの申告書と合わせて提出(添付)する必要がありますので注意してください。

上記の記載例では、”会社が休日であっても上司や同僚からの電話に応答することを義務付けた”ことを証明するために「休日であっても電話やメールに応答するよう上司から命令されたメールをプリントアウトしたもの」を添付することにしてみました。

なお、労働基準監督署における”違法行為の是正申告”は裁判所における”裁判”ではありませんから会社の違法行為を証明する証拠がなくても違法行為の是正申告を行うことは可能です。

会社の違法行為を示すような証拠がない場合には「添付書類」の欄には「特になし」と記載しても全く問題ありませんので、「証拠がないから労働基準監督署に申告するのはあきらめよう」などと安易に泣き寝入りしたりしないようにしてください。

※「備考」の欄

労働基準監督署への違法行為の是正申告は、労働基準監督署には氏名を明らかにしつつ会社には匿名にして申告することも可能です。

≫ 労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方

申告したことを会社に知られても構わない場合は備考の欄は削除しても構いません