このページでは、勤務している会社が雇用調整助成金(雇用関係助成金)を不正に受給している場合に、監督官庁に内部告発する場合の申出書の記載例(サンプル)を公開しています。
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勤務している会社が雇用調整助成金を不正受給している場合の内部告発文書の記載例
(1)従業員を休業させたと偽って雇用調整助成金を不正に受給している場合
申出書
平成〇年〇月〇日
〇〇労働局 御中
氏名 告発 太郎 ㊞
事業者に関する雇用調整助成金の不正受給行為につき、下記のとおり申し出ます。
記
1 申出人の氏名又は名称及び住所並びに電話番号
氏名又は名称 告発 太郎
住所 埼玉県秩父市〇〇町三丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
電話番号 080-****-****
2 申出に係る通報の種類
雇用調整助成金の不正受給
3 申出の理由
申出人は事業者の埼玉支店で経理部に勤務しているが、事業者では実際には休業を実施していないにもかかわらず休業したと偽って申告し不正に雇用調整助成金を受給している。
4 申出に係る事業者等の氏名又は名称及び住所
氏名又は名称 株式会社不正受給
住所 東京都江東区〇〇一丁目〇番〇号
5 申出に係る違法行為を行っている事業所の場所及び氏名又は名称
氏名又は名称 株式会社不正受給埼玉支店
住所 埼玉県川越市〇〇一丁目〇番〇号
以上
※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、プリントアウトする際はA4用紙を利用するようにしてください。
(2)従業員に教育訓練を実施したと偽って雇用調整助成金を不正に受給している場合
申出書
平成〇年〇月〇日
〇〇労働局 御中
氏名 告発 太郎 ㊞
事業者に関する雇用調整助成金の不正受給行為につき、下記のとおり申し出ます。
記
1 申出人の氏名又は名称及び住所並びに電話番号
氏名又は名称 告発 太郎
住所 群馬県沼田市〇〇町二丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
電話番号 080-****-****
2 申出に係る通報の種類
雇用調整助成金の不正受給
3 申出の理由
申出人は事業者の群馬営業所で経理部に勤務しているが、事業者では実際には従業員に教育訓練を実施していないにもかかわらず教育訓練を実施したと偽って申告し不正に雇用調整助成金を受給している。
4 申出に係る事業者等の氏名又は名称及び住所
氏名又は名称 株式会社トレーニング・DE・不正受給
住所 東京都千代田区〇〇一丁目〇番〇号
5 申出に係る違法行為を行っている事業所の場所及び氏名又は名称
氏名又は名称 株式会社トレーニング・DE・不正受給群馬営業所
住所 群馬県前橋市〇〇四丁目〇番〇号
以上
※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、プリントアウトする際はA4用紙を利用するようにしてください。
【匿名で内部告発したい場合】
自分の氏名を申告せずに匿名で告発したい場合は上記の「氏名」の欄や「1 申出人の氏名又は名称及び住所」の欄を白紙のまま提出するか、「6 備考」の項目を追加して「本件申出をしたことが事業者に知れると勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため事業者に対しては申出人の氏名を公表しないよう求める。」というような一文を挿入してください。
※ただし、匿名で内部告発する場合は監督官庁としてもその告発内容の信ぴょう性を確認できず単なる「いたずら」などとしか判断しない可能性もありますので注意してください。また、仮にこのように記載したとしても監督官庁が確実に氏名を秘匿してくれるかは保証できませんのでご自身の判断で申出を行ってください。
申出書の記載要領
(1)申出書の様式
雇用調整助成金を不正に受給している事業者を監督官庁に申告する申出は法律で定められた手続きではありませんので情報提供に使用する申出書に定型の様式はありません。
そのため上記の記載例のような雇用調整助成金の不正受給行為について監督官庁に内部告発する場合の申出書も適宜な書式で記載しても構いませんが、このサイトでは上記のような様式で記載することにしています。
(2)申出書の提出先
雇用調整助成金の給付は労働局が実施している制度になりますので、その不正受給についても雇用調整助成金の不正受給をしている事業者の営業所の所在する各都道府県の労働局に申告すれば問題ないと思われます。
なお申出書を提出する各都道府県の労働局の住所等については厚生労働省のサイトのこちらのページに掲載されています。
▶ 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省
(3)申出の根拠
厚生労働省が景気の変動等経済上の理由により一時的な雇用調整を実施した事業主に対して労働者の雇用を維持するために給付を行う雇用調整助成金(雇用関係助成金)を受給できるのは、一定の基準を満たす「休業」「教育訓練」「出向」のうちいずれかの雇用調整が実際に実施された場合に限られています。
この点、上記の記載例のように、実際には休業や教育訓練を実施していないにもかかわらずそれらを実施したと申告して雇用調整助成金(雇用関係助成金)を受給することは、その受給要件を満たしていないにも拘わらず虚偽の申告をして助成金を受給する行為となりますので同助成金の不正受給行為と言えます。
なお、雇用調整助成金(雇用関係助成金)の受給要件等の詳細は厚生労働省のこちらのページに掲載していますので参考にしてください。
(4)雇用調整助成金を不正受給した場合の罰則等
なお、事業者が雇用調整助成金(雇用関係助成金)を不正受給が発覚した場合には、その支給された助成金は全額返還しなければならず、その後3年間は雇用調整助成金の支給は認められないことになり、事案によっては事業者名が公表される場合もあります。
また、雇用調整助成金の受給要件を満たしていないにもかかわらず「休業した」または「教育訓練を実施した」などと嘘の申告をして助成金を受け取る行為は「人を欺いて財物を交付させ」る行為として刑法上の詐欺罪を構成しますので、不正の内容が悪質な場合は労働局が告発することにより詐欺罪で摘発されることもあります(※過去には詐欺罪で懲役1年6月の判決が出されたケースもあるようです)。
なお、詐欺罪で有罪判決が出された場合、その事業主は最大で10年以下の懲役に処せられます(刑法246条)。
(5)内部告発を行う場合の注意点
なお、内部告発をする際の注意点などについては『内部告発(公益通報)の正しい方法と順序』のページを参考にしてください。