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固定残業代(定額払制)に関する労働局の申立書の記載例

このページでは、残業代の定額払い制(固定残業代制)が実施されている会社で、労働基準法の割増率で計算した残業代が会社で定められた固定残業代を超えるにも拘わらず、会社がその超える部分の残業代を支払わない場合に、労働局に対して紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例(ひな型・文例・書式)を公開しています。

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労働基準法の割増率で計算した残業代が会社で定められた固定残業代を超えるにも拘わらず、会社がその超える部分の残業代を支払わない場合の労働局に対する紛争解決援助申立書の記載例


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県横浜市青葉区〇〇町〇番〇号
氏名 岩礼田桃李
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都江戸川区〇〇町〇番〇号
名称 株式会社アフターファイブカンパニー
代表者 咲朱司益代
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

固定残業代を超える残業を行った場合にその超える部分の時間外労働の割増賃金を支払うよう、事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、都内各所に「激安の王様 ホン・ナコーテ」の名称で35店のディスカウントストアを展開する123名の株式会社であり、江戸川区に設置した本社事業部において展開する店舗の管理・運営業務を行っている。
 申告者は、平成〇年〇月にフルタイムの時給1,000円のアルバイト従業員として入社し、ホン・ナコーテ渋谷駅前店の販売員として勤務しているが、入社して以降、勤務している店舗の店長の指示に従ってほぼ毎日のように残業を行っており、月に5~6日は3時間を超える残業を行うこともある。
 この残業については、時間外労働として割増賃金が支払われているが、被申立人の会社では就業規則でアルバイト従業員の残業は1日3時間までと制限がなされており、また1日あたりの残業手当も3,750円(1時間当たり1,250円)までと決められているため、申立人が3時間以上の残業を行った場合であっても3時間を超過する時間外労働については残業代が支払われていない。
 これに対し申立人は、店長の指示に従って残業を行ったにもかかわらず残業代が支払われないことに納得がいかなかったことから、平成○年○月○日、被申立人の本社事業部に電話を掛ける方法で3時間を超える残業についても時間外労働に基づく割増賃金が支払われるよう要望したが、「就業規則で残業は3時間までと定められているからそれ以上の残業代は支払えない。3時間を超える残業をさせないよう店長とよく話し合ってください」というのみで、3時間を超える残業に係る時間外手当を支払おうとしない。
 このような被申立人の行為は、時間外労働における割増賃金の支払いを規定した労働基準法37条に違反する。

3 紛争の経過

 申立人は勤務する店舗の店長に対して3時間を超える残業の部分についても時間外の割増賃金が支払われるよう求め、また平成○年○月○日には被申立人の本社事業部に電話をして3時間を超過する残業についても残業代を支払うよう要請したが、いずれも就業規則で1日の残業は3時間までと定められていることを理由に3時間を超える残業の部分に関する時間外労働に基づく割増賃金を支払おうとしない。
 また平成○年○月○日には、同日付の「未払い残業代の支払い請求書」を被申立人の代表取締役を名宛人として内容証明郵便で送付したが、その後も何らの対応がとられることなく3時間を超える残業について時間外手当が支払われない状況が継続している。
 なお、申立人の勤務している店舗では人手不足が慢性化しているため残業しなければ店舗の運営に支障をきたす状況であり、本部が採用したアルバイト従業員が補充されても固定残業代を超える残業代が支払われないことから直ぐに辞めてしまう者が多いため、申立人としても残業を断れない状況がある。

4 添付資料

・タイムカードの写し ○通
・給与明細書の写し ○通
・未払い残業代の請求書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、プリントアウトする際はA4用紙を使用するようにしてください。

※援助を求める理由の欄について

援助を求める理由の欄には、会社がどのような法令違反を行っているのかという点を記載します。

上記の事例では、会社が固定残業代として規定した3時間を超える残業をしていることを任していながら、それを放置して3時間を超える残業代を支払わないことを説明したうえで、残業代の不払いが時間外労働の割増賃金の支払いを規定した労働基準法第37条に違反するという文章になっています。

【労働基準法第37条第1項】
使用者が第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。(以下、省略)

※紛争の経過の欄について

紛争の経過の欄には、会社との間でどのような交渉をしてきたかということを記載します。

最後段の”なお”書きについては削除しても構わないと思いましたが、この事例では”本社が人手不足を認識しているのにその対処をしないこと”と”人手不足の影響で申立人が残業をせざるを得ない状況があること”を説明しておいた方が、会社側(被申立人側)から「残業を断ればいいではないか」と反論された場合に、「残業を断れない状況を作った会社が悪い」と再反論しやすいと思いましたので、上記のように記載することにしました。

※添付書類の欄について

※添付書類は必ずしも添付が必要なものではありませんので、添付できる資料がない場合には「4」の項目は削除しても構いません。

上記の記載例では、1日に3時間以上残業をした日があることを証明するためタイムカードの写しを、また、1日に3時間以上残業をしても固定された残業代以上の時間外手当が支払われていないことを証明するために給与明細書の写し(コピー)を、さらに、会社に請求書を出しても何ら改善されなかったことを証明するために、時間外労働の割増賃金を支払うよう求める請求した請求書の写し(コピー)を添付することにしています。

 

なお、この残業代の定額払い制(固定残業代制)が実施されている会社で、労働基準法の割増率で計算した残業代が会社で定められた固定残業代を超えるにも拘わらず、会社がその超える部分の残業代を支払わない場合の詳しい説明については『固定残業代(定額)以上の残業代を払わない会社への対処法』のページでご確認ください。