このページでは、懲戒解雇を理由に退職金が支払われなかったり一部減額されたりしたような場合に、会社に対して退職金の全額を支払うよう求める場合の申入書(通知書)の記載例(ひな形・書式)を公開しています。
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懲戒解雇を理由とした退職金の不支給ないし減額の撤回と退職金の全額の支払いを求める申入書の記載例
(1)退職金の不支給の規定が就業規則に定められていないことを理由とする場合
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
退職金全額の支払いを求める申入書
私は、貴社から平成○年○月○日付で懲戒解雇されましたが、退職金が一切支払われておりません。
しかしながら、使用者が労働者に対して懲戒処分を命じる場合において退職金を支払わないとする場合には、その不支給に関する定めがあらかじめ就業規則に定められ労働契約の内容となっていることが必要であると考えられますが、貴社の就業規則には懲戒解雇の場合における退職金の不支給ないし減額について明確な規定は見当たりません。
したがって、貴社が退職金を支払わないことに労働契約上の根拠はないといえますから、直ちに支払われるべき退職金の全額を支払うよう申し入れ致します。
以上
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇
〇〇 〇〇 ㊞
(2)懲戒解雇の原因となった行為が「永年勤続の功労を抹消してしまうほどの不信行為に該当するもの」ではないことを理由とする場合
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
退職金全額の支払いを求める申入書
私は、貴社から平成○年○月○日付で懲戒解雇されましたが、退職金が一切支払われておりません。
しかしながら、仮に貴社の就業規則において懲戒解雇の際の退職金の不支給の根拠が明確に定められていたとしても、その就業規則の規定を根拠に使用者が懲戒解雇した労働者に対して退職金を不支給ないし減額できるのはその労働者の懲戒解雇の原因について「永年勤続の功労を抹消してしまうほどの不信行為に該当するもの」と認められるような行為が存在した場合に限られるべきものといえます(日本高圧瓦斯工業事件:大阪高裁昭和59年11月29日に同示)。
この点、私が〇〇した行為について懲戒解雇が相当であるかという点については不明ですが、仮に私の〇〇した行為が懲戒解雇に相当するものであったとしても、その〇〇という行為自体が「永年勤続の功労を抹消してしまうほどの不信行為に該当するもの」といえるような悪質性の高いものであったとはいえないはずです。
したがって、貴社が懲戒解雇を理由として退職金を支払わない行為は労働契約上の根拠のない無効なものと考えられますから、直ちに支払われるべき退職金の全額を支払うよう申し入れ致します。
以上
平成〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町〇‐〇
〇〇 〇〇 ㊞
※)将来的に裁判になる可能性がある場合は、証拠として残しておくためにコピーを取ったうえで普通郵便ではなく特定記録郵便(場合によっては内容証明郵便)で送付すること。
※)裁判所では全ての書類をA4で統一していますので、後日裁判を起こす可能性がある場合はA4用紙で作成すると後々何かと便利です。