このページでは、会社が労働基準法に違反する行為を行っていることを理由として労働基準監督署に違法行為の是正申告を行ったところ、会社からその報復措置として不利益な処分を受けた場合に、労働基準監督署に対して再度違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例(ひな型・書式)を公開しています。
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会社が労働基準法に違反する行為を行っていることを理由として労働基準監督署に違法行為の是正申告を行ったところその報復措置として会社から不利益な処分を受けてしまった場合に、労働基準監督署に対してその報復措置として不利益な処分を受けたことを理由として違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例
〇〇労働基準監督署長 殿
労働基準法違反に関する申告書
平成〇年〇月〇日
申告者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 福岡県北九州市小倉北区〇〇一丁目〇番〇号
氏名 深國志太乃
電話番号 080-****-****
違反者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 福岡市中央区〇〇一丁目〇〇町〇番〇号
名称 株式会社オトシマエ・プロダクション
代表者 法福須留世
電話番号 092-****-****
労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実を申告いたします。
記
1 当事者
違反者はタレントのマネジメント業務を主たる業務とする従業員46名の株式会社であり、中央区の本社営業所において所属するタレントのマネジメント業務を行っている。
申告者は、平成〇年〇月にアイドルグループ「めんたいガールズ」の主任マネジャーとして入社し、「めんたいガールズ」のマネジメント業務を主な職務として勤務している。
2 労働基準法に違反する事実
申告者は平成○年○月、アイドルグループ「めんたいガールズ」に所属する高校3年生(当時17歳)のメンバーから、違反者の代表者である法福須留世(以下「代表者」という)の指示により労働基準法で禁止されている深夜のイベントに出演させられているという相談を受けたため、同月〇日、代表者に対して深夜のイベントへの出演を直ちに止めるよう抗議したが違反者がこれに同意しなかったため、同月〇日、福岡中央労働基準監督署に対し労働基準法第104条第1項に基づく違法行為の是正申告を行った。
この違法行為の是正申告に対しては同年〇月○日、違反者に対して福岡中央労働基準監督署から金〇万円の罰金の処分が出されたが、代表者は「罰金を払わされたのはあんたがチクったからよ、〇万円はあんたの給料から差し引かせてもらいますからね」と申告者に告知し、報復措置として申告者の翌月の給与から金〇万円を減額するという給与の減額処分を行った。
3 是正措置の申立
違反者の行為は、労働基準法第104条第2項に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。
4 添付資料
・通常の給与から〇万円が差し引かれた○月支払い分の給与明細書の写し 1通
以上
※「当事者」の欄の記載要領
当事者の欄は、会社やご自身の会社の業務に合わせて適宜書き直してください。
なお、匿名で申告したい場合は申告者の欄は空欄のまま提出しても構いません。
※「労働基準法に違反する事実」の欄の記載要領
労働基準法に違反する事実の欄には、勤務先の会社が具体的にどのような労働基準法に違反する行為を行っているかという点を簡潔に記載します。
上記の記載例では、会社が労働基準法に違反している行為(※具体的にはアイドルグループ「めんたいガールズ」の18歳に満たないメンバーが、会社代表者の指示により深夜のイベントに出演させられていること)を行っていること理由として労働基準監督署に違法行為の是正申告を行ったところ、その報復措置として給料の減額処分を受けたことことから、その給料の減額措置が労働基準監督署に違法行為の是正申告を行ったことを理由として労働者に不利益な取り扱いを行うことを禁じている労働基準法第104条第2項に違反することになりますので、その事実関係を簡潔に説明する内容となっています。
なお、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行ったことの報復として減給や解雇などの処分を受けた場合の対処法についてはこちらのページで解説していますので参考にしてください。
▶ 労基署に告発したことを理由に会社から処分された場合の対処法
※「是正措置の申立」の欄の記載要領
是正措置の申立の欄には、会社の行為が労働基準法の何条(何項)に違反するのかを記載します。
この事例では、アイドルグループ「めんたいガールズ」の18歳に満たないメンバーが深夜のイベントに出演させられていることを理由として労働基準監督署に違法行為の是正申告を行ったところ、その報復措置として給料の減額処分を受けたことが問題となっていますが、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行ったことを理由として労働者に不利益な取り扱いを行うことは労働基準法第104条第2項で禁止されていますので、「労働基準法第104条第2項に違反する」という文章にしています。
【労働基準法第104条】
第1項 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
第2項 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。
なお、労働基準監督署に対する違法行為の是正申告は、会社が労働基準法という法律の条文に違反していることが前提となりますので、どの条文に違反するか分からない場合は弁護士などの法律専門家に相談した方が良いかもしれません(※労働基準監督署に申告に行く際に担当官に聞いてみるのも良いです)。
※「添付書類」の欄の記載要領
労働基準監督署への違法行為の是正申告書には、会社が違法行為を行っていることを証明する文書がある場合には添付書類としてその書類(PC上の電子記録も可)を提出することができます。
ただし、この添付書類の欄に記載した書面については申告書と合わせて必ず提出(添付)しなければなりませんので注意してください。
上記の文例では、給料が減額されたことを明らかとするために「通常の給与から〇万円が差し引かれた○月支払い分の給与明細書の写し」の写しを添付するものとして記載しています。
ちなみに、添付書類として提出する文書の「原本」は裁判になった際に使用する可能性がありますので、労働基準監督署に対しては原本ではなく「写し(コピー機で複写したもの)」を提出するようにした方が良いでしょう。
なお、労働基準監督署に対する違法行為の是正申告は裁判所における”裁判”とは異なりますので、会社の違法行為を証明する証拠は必ずしも必要ありませんから、添付する書類等がない場合には「特になし」と記載して提出しても全く問題ありません。
※「備考」の欄の記載要領
労働基準監督署への違法行為の是正申告は、労働基準監督署には氏名を明らかにしつつ会社には匿名にして申告することも可能です。
匿名で申告を行いたい場合は、「5 備考」と別の項を作成し、
「本件申告をしたことが違反者に知れると勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため、違反者に対しては申告者の氏名を公表しないよう求める。」
などと記載して勤務先の会社に自分の氏名を告知しないように求めてください。
是正申告したことを会社に知られても構わない場合は上記の記載例のように備考の欄は削除しても構いません。