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解雇されたときに絶対にやってはいけない3つのこと

会社から解雇された際に、その解雇に納得がいかない場合は、裁判などに訴えて解雇が無効であることを主張していくことが必要となるでしょう。

しかし、弁護士など法律の専門家に依頼して裁判を行った場合でも、解雇された後にその解雇を黙認するような行動をとっているような場合には、解雇を無効にさせることが難しくなることがあります。

そのため、解雇を黙認したものと認められる言動や解雇を前提とした行動は、細心の注意を払ってこれを控えることが必要となってきます。

そこで今回は、解雇された後に絶対にやってはいけない行動とは何か?という問題について考えてみることにいたしましょう。

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① 「解雇に異議を述べない」との誓約書にサインしてはいけない

ブラック企業などでは、従業員を解雇する際に、「この解雇には異議を述べません」などと記載された誓約書にサインをさせる場合があります。

これは、解雇される社員にこのような誓約書を書かせることで、後で裁判になった際に「解雇に問題があったかもしれませんけど本人から異議を述べないと誓約書をもらっていますよ。だから解雇は有効でしょう?」と反論するためだと思われますが、このような誓約書が残っていると、解雇に同意したと受け取られる可能性もあるため、裁判になると不利な材料となってしまいます。

そのため、もし解雇する際に、このような誓約書に「サインして」と言われたとしても、絶対にサインしてはいけません。

仮にそのような誓約書にサインしたとしても、それによって解雇を無効にすることができなくなるというわけではありませんが、会社側に有利となるような証拠を残しておくのは控えた方が無難です(テレマート事件・大阪地裁平成19年4月26日)。

しつこくサインを求められた場合は、「すみません、家族と相談しようと思うのでいったん持ち帰らせてください」と言って誓約書を家に持って帰るようにしましょう。

サインしてしまうと自分に不利になりますが、持ち帰って保管しておけば後々裁判になった際に「このような誓約書にサインを求められました」と会社側の悪質さを主張することもできますので、持ち帰って保管しておくのがベストだと思います。

参考判例:テレマート事件(大阪地裁平成19年4月26日※解雇に異議を述べない旨の誓約書に署名し、解雇予告手当を受け取った事実があるものの解雇が無効であることが認められた事案)

② 解雇予告手当を受け取ってはいけない

使用者(会社・雇い主)が労働者(社員・従業員)を解雇する場合には、解雇日の30日前に解雇の予告を行わなければならず、その予告を行わない場合には30日分の平均賃金を支払うか、予告を行う日数を短縮し、その日数に応じた平均賃金を支払うかしなければなりません。(労働基準法20条)。

≫ 解雇予告手当の金額はいくら?いつ払ってもらえるの?

この解雇の予告の際に労働者に支払われるお金のことを「解雇予告手当」といいますが、この解雇予告手当は解雇されることを前提とものと言えますから、「解雇予告手当を受け取った」ことをもって「解雇を承諾した」と受け取られる可能性があります。

そのため、解雇に納得がいかず解雇の無効を主張しようと思う場合は、仮に会社から解雇予告手当が支給されたとしても、絶対に受け取ってはいけません。

もし会社が給料の振込口座となっている預金口座に、勝手に解雇予告手当を振り込んできた場合でも、その振り込まれたお金には一切手を付けてはいけません。

振り込まれた解雇予告手当は会社に全額返還するのが最善ですが、会社が受け取らない場合は法務局などの供託所に供託するのでもよいでしょう。

それらができない場合は、そのまま預金口座に一切手を付けないで保管しておくか、別の預金口座を新たに開設し、その新しい口座に振り込まれてきた解雇予告手当を振り替えて保管しておきましょう。

こうしておけば振り込まれてきた解雇予告手当を自分のお金とはっきり分けることもできますし、誤って使ってしまうこともなく安心でしょう(※この際に新しく開設する口座の名義人の名前を「山田太郎(株式会社〇〇へ返還する解雇予告手当)」などとしておけばなお良いです)。

振り込まれた解雇予告手当を少しでも使ってしまうと「解雇に同意したから解雇予告手当に手を付けたんだ!」と主張される可能性があり、後で裁判になったときに不利な事情の一つにされてしまいますので、解雇予告手当が支給されたとしても受け取ってはならず、仮に受け取ってしまった場合でも絶対に使ったりしてはなりません。

参考判例:テレマート事件(大阪地裁平成19年4月26日※解雇に異議を述べない旨の誓約書に署名し、解雇予告手当を受け取った事実があるものの解雇が無効であることが認められた事案)

※ただし、解雇予告手当を受け取ったからといって無条件に解雇の効力が有効となるわけではありません。解雇予告手当を受け取っても解雇の有効性を争うことは可能ですので間違えないようにしてください。
 上記の「解雇予告手当は受け取らない方がよい」という意味は会社側に有利な状況は極力作らない方がよいという意味ですので誤解のないようにしてください。

③ 退職金の支払いを請求したり、退職金を受け取ったり、受け取った退職金を使ったりしてはいけない

退職金制度のある会社では、解雇された際に退職金が支給されるケースがありますが、もしこの支給された退職金を受け取ってしまうと、後で「解雇に同意したから退職金を受け取ったんでしょ?」と反論されてしまう危険性があります。

また、解雇された腹いせに「解雇するんだったら退職金を払え」などと退職金の支払いを請求してしまった場合には「解雇に同意したから退職金を請求したんでしょ?」と反論されてしまうことも考えられます。

そのため、解雇された際に会社から退職金が支給されたとしても絶対に受け取ってはなりませんし、自分から退職金の請求をすることも絶対に止めるべきでしょう。

退職金を受け取ったこと自体が即、解雇の無効を主張することができなくなることを意味するわけではありませんが、可能な限り受け取るべきではありません。

もし会社から給料の振込口座などに勝手に退職金が振り込まれたような場合には、前述した解雇予告手当の場合と同様に、その振り込まれた退職金を会社に返還するか、供託するか、その口座又は別の新しく解説した口座に振り替えて保管しておく必要があるでしょう。

そして、やむを得ず退職金を受け取った場合であっても、まちがっても受け取った退職金を使ってしまうことの無いよう十分に注意する必要があります。

受け取った退職金を使ってしまうと、退職に同意をしたということで解雇の無効を争うことが難しくなりますので注意が必要です。

なお、解雇された際に必ずやっておくべきことについては『解雇されたときにこれだけはやっておきたい4つのこと』のページでご確認ください。