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懲戒処分の種類・程度の就業規則未記載に関する労基署の申告書

このページでは、懲戒処分の種類や程度が就業規則に定められていないことを理由として、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例(ひな形・文例)を公開しています。

適宜、ワードなどの文書作成ソフトで複製するなど自由に利用してください。ただし、著作権を放棄するわけではありませんので無断転載や配布などは禁止します。

なお、この記載例(書式・ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

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懲戒処分の種類と程度が就業規則に定められていないことを理由として労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う場合の申立書の記載例


〇〇労働基準監督署長 殿

労働基準法違反に関する申告書

平成〇年〇月〇日

申告者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都世田谷区〇〇四丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 我累子
電話番号 090-****-****

違反者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都荒川区〇〇七丁目〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社テキトー・チョウカイ・アプリケーションズ
代表者 所分須瑠音
電話番号 03-****-****

労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実を申告いたします。

1 当事者

 違反者は、あんドーナツの糖分を瞬時に検出するスマートフォン向けアプリ「あんドーナツチェッカー」を開発及び配信する従業員88名の株式会社である。
 申告者は、平成〇年〇月にデザイナーとして入社し、本社営業所においてアプリケーションに表示させるアニメーション画像の作成及びメンテナンス業務に従事している。

2 労働基準法に違反する事実

 申告者は、平成○年○月ごろから同僚の既婚女性と親密な交際をするようになったが、平成○年〇月にその女性従業員の夫から不貞行為による損害賠償請求を受けたことから社内で噂になるようになり、同年〇月下旬、違反者から懲戒事由の「社内の風紀を乱したとき」に該当するとして◆◆の懲戒処分を受けた。
 しかしながら、違反者の就業規則には「社内の風紀を乱したとき」という懲戒事由は定められておらず、また懲戒処分として「懲戒解雇」「減給」などは定められているものの「◆◆」という懲戒処分は定められていない。

3 是正措置の申立

 違反者の行為は、労働基準法第89条9号の規定に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。

4 添付資料

・懲戒処分として◆◆の処分を命じた辞令書の写し 1通

5 備考

 本件申告をしたことが違反者に知れると勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため、違反者に対しては申告者の氏名を公表しないよう求める。

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、プリントアウトする際はA4用紙を利用するようにしてください。

 

違法行為の是正申告書の記載要領

(1)「当事者」の欄

当事者の欄は、会社やご自身の会社の業務に合わせて適宜書き直してください。匿名で申告したい場合は申告者の欄は空欄のまま提出しても構いません。

▶ 労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方

なお、具体的な提出先は会社の所在地を管轄する労働基準監督署になるかと思われますが、その具体的な住所等については厚生労働省のサイトで各自ご確認をお願いします。

(2)「労働基準法に違反する事実」の欄

労働基準法に違反する事実の欄には、使用者(会社)からどのような労働基準法に違反する行為を受け、どのような不利益を受けているのかといった点についてある程度具体的に記載します。

上記の事例では、使用者(会社)が労働者に対して懲戒処分を行うためには就業規則に懲戒事由や懲戒処分の種類と程度が具体的に定められ、その懲戒処分を行う懲戒権が労働契約の内容となっていることが必要であるにもかかわらず(労働基準法の第89条9号、国鉄札幌運転区事件:昭和54年10月30日)、「社内の風紀を乱したとき」という懲戒事由や「降格」という懲戒処分の種類及び程度が就業規則に記載されていないことを説明する文章にしています。

なお、使用者(会社)が労働者に対して懲戒処分を与えるための要件など懲戒処分の詳細についてはこちらのページで解説しています。

▶ 懲戒処分はどのような場合に認められるのか?

(3)「是正措置の申立」の欄

是正措置の申立の欄には、会社の行為が労働基準法の何条(何項)に違反するのかを記載します。

上記の事例では、就業規則に懲戒事由や懲戒処分の種類及び程度が記載されていないにもかかわらず懲戒処分を行っている会社が、就業規則に「懲戒処分の種類及び程度」を記載しなければならないと定めた労働基準法第89条9号に違反しているというようなことを記載しています。

なお、労働基準監督署に対する違法行為の是正申告は会社が労働基準法の何条に違反しているかが前提となりますので、どの条文に違反するか分からない場合は労働基準監督署に相談に行って聞いてみるか、事前に弁護士などの法律専門家に相談する方が良いかもしれません。

(4)「添付書類」の欄

添付書類の欄には、労働基準法違反の事実を証明するような書類等があれば、その書類等の名称と添付する通数を記載します。

労働基準監督署への違法行為の是正申告は裁判所における裁判と異なりますから添付書類は必ずしも添付する必要はありませんが、使用者の労働基準法違反を証明するような書類(※画像や動画の記録などの電子データでもよい)がある場合には添付書類として提出してください。

なお、上記の文例では、「会社が就業規則に記載のない懲戒処分を与えていること」を明らかとするために「懲戒処分として◆◆の処分を命じた辞令書」の写しを添付することにしています。

(※上記の事例では「就業規則に◆◆という懲戒処分の種類及び程度が記載されていないこと」を明らかとするために「就業規則」の写しを添付しても良いですが、常時10人以上の労働者を使用する会社では就業規則を労働基準監督署に届け出る(提出する)ことが労働基準法の第89条で義務付けられていますので添付する必要はないと思います。)

なお、添付書類として提出する文書の「原本」は、後に裁判になった際に使用する可能性がありますので、労働基準監督署に対しては原本ではなく「写し(コピー機で複写したもの)」を提出するようにした方が良いでしょう。

(5)「備考」の欄

労働基準監督署への違法行為の是正申告は、労働基準監督署には氏名を明らかにしつつも会社には匿名にして申告することも可能です。

▶ 労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方

是正申告したことを会社に知られても構わない場合は備考の欄は削除しても構いません。

なお、上記の記載例のように記載して提出した場合、労働基準監督署が調査を行う場合は”一般的な臨検”として調査が行われるものと思われます。