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産休や育休を理由とした給料等の引下げに関する労働局の申立書

このページでは、産休や育休の取得を申請したり産休や育休を取得したことを理由として給料やボーナスなどを引き下げられた場合に、労働局に対して紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例(ひな形・文例)を公開しています。

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産休や育休を取得したりその取得の申請をしたことを理由として給料や賞与を引き下げられた場合にその撤回を求めて労働局に紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例

(1)産休・育休の申請をしたことを理由に給料や賞与を引き下げられた場合


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(いわゆる男女雇用機会均等法第17条1項に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都青梅市〇〇四丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 宇稀琉乃
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都中野区〇〇六丁目〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社ペイカット・フォー・ベイビー
代表者 引佐毛瑠尾
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 産休・育休の申請を理由とする減給を撤回するよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は割り箸を擬人化してロボットダンスを踊らせることのできるスマートフォン向けゲームアプリ「箸くん」を開発・配信する従業員46名の株式会社である。
 申立人は、平成〇年〇月に被申立人に入社しスマートフォン向けゲームアプリのサポート対応業務に従事していたが、平成○年○月ごろに妊娠していることが判明したため、平成○年○月から平成○年○月○日まで産前休業と産後休暇の申請を行った。
 これに対して申立人は、「当社では産休・育休を取得した場合は復職後の給与が新入社員の初任給と同額まで引き下げられることに決まっている」と主張して申立人の基本給を従前の金○万円から金〇万円に引き下げる不利益な取り扱いを行っている。
 しかしながら、妊娠した女性労働者が産前及び産後の休業を取得することは労働基準法第65条阿項及び2項で認められており、また産前又は産後の休業を請求または取得した女性労働者に不利益な取り扱いをすることもいわゆる男女雇用機会均等法の第9条3項で禁止されているから、このような被申立人の賃金の引下げは明らかに同条に違反するものであるといえる。

3 紛争の経過

 申立人は平成○年○月○日、上司である〇〇に平成○年〇月○日から平成○年○月○日までの期間について産前及び産後の休業を取りたい希望がある旨申告しその承諾を得たが、その翌日に上司の〇〇に会議室に呼び出され、「当社では産休・育休を取得する場合は復職後の給与が新入社員の初任給と同額まで引き下げられることに決まっている」と告知され、産後休業明けの平成○年○月分以降の基本給が従前の金〇万円から金○万円まで引き下げられる旨言い渡された。
 これに対し申立人は納得がいかなかったため平成○年〇月○日付の「産休・育休の申請を理由とした賃金の引下げを撤回するよう求める申入書」を作成し被申立人に内容証明郵便で送付したが、現在に至るまで賃金の減額は撤回されていない。

4 添付資料

・産休育休の申請を理由とした賃金の引下げを撤回するよう求める申入書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。

(2)産休・育休を取得したことを理由に給料や賞与を引き下げられた場合


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(いわゆる男女雇用機会均等法第17条1項に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 埼玉県川越市〇〇九丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 宇美多伊乃
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都中野区〇〇六丁目〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社ペイカット・マタニティー
代表者 棒茄子沙毛琉
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 産休・育休の取得を理由とする賃金引下げを撤回するよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は割り箸を擬人化してロボットダンスを踊らせることのできるスマートフォン向けゲームアプリ「箸くん」を開発・配信する従業員46名の株式会社である。
 申立人は、平成〇年〇月に被申立人に入社しスマートフォン向けゲームアプリのサポート対応業務に従事していたが、平成○年○月ごろを出産予定日とする妊娠が判明したため、平成○年○月から平成○年○月○日まで産前休業と産後休暇を取得した。
 これに対して申立人は「産休や育休を取得した場合は取得していない社員との均衡を考えると賞与の算定の査定に影響せざるを得ない」との理由で、育休明けの賞与の支払額について本来の支払額より〇%少ない金〇万円しか支払わなかった。
 しかしながら、妊娠した女性労働者が産前及び産後の休業を取得することは労働基準法第65条阿項及び2項で認められており、また産前又は産後の休業を請求または取得した女性労働者に不利益な取り扱いをすることもいわゆる男女雇用機会均等法の第9条3項で禁止されているから、このような被申立人の賞与の引下げは明らかに同条に違反するものであるといえる。

3 紛争の経過

 申立人は平成○年〇月○日から平成○年○月○日までの期間について産前及び産後の休業を取得したが、その後最初に支払われた賞与を確認したところ、当初見込まれた支払額より〇%少ない金〇万円しか支給されていなかった。
 申立人は金額の間違いではないかと思ったため上司の〇〇に支払額が少ない旨申し入れたが「産休や育休を取得した場合は取得していない社員との均衡を考えると賞与の算定の査定に影響せざるを得ない」という趣旨の回答をするのみで一切賞与の金額を訂正しようとしなかった。
 これに対し申立人は納得がいかなかったため平成○年〇月○日付の「産休・育休の申請を理由とした賞与の引下げを撤回するよう求める申入書」を作成し被申立人に内容証明郵便で送付したが、現在に至るまで賞与の減額は撤回されていない。

4 添付資料

・産休育休の取得を理由とした賞与の引下げを撤回するよう求める申入書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を行っていて、どのような解決方法を求めているのか、といったことを記載します。

上記の記載例では、産休や育休を取得することは労働基準法の第65条で認められており、その取得を申請したり取得したことを理由として労働者に対して賃金や賞与の引下げなどの不利益な取り扱いをすることも男女雇用機会均等法の第9条で禁止されていることを説明し、会社側の賃金や賞与の減額が違法であることを説明する文章にしています。

なお、産休や育休の取得を理由に賃金や賞与の引下げなど不利益な取り扱いを受けた場合の対処法などについてはこちらのページで解説していますので参考にしてください。

▶ 産休や育児休業を理由に給料やボーナスを下げられた場合

※「紛争の経過」の欄について

紛争の経過の欄には、会社との間の紛争がどのようなきっかけで発生し、会社側とどのような交渉を行ってきたのか、その経緯を記載します。

上記の事例では、産休や育休の取得を申請したり実際に取得したことを理由として賃金や賞与が引き下げられたことやその撤回を求めて上司に抗議したこと、また上司に抗議しても撤回されないことから申入書を作成して書面という形で会社に抗議したもののそれでも賃金やボーナスの引下げが撤回されなかったことなどを簡単に記載しています。

※「添付資料」の欄について

添付資料の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の記載例のような、上司や会社側と口頭でやり取りしているような場合には添付資料として添付できるものがあまりないと思われますが、上記の記載例では会社に「申入書」という形で賃金や賞与の引下げが不当であること及びその撤回を求めていること、またその「申入書」を差し入れてもそれが撤回されなかったことを明らかとするために会社に内容証明郵便で送付した「産休育休の申請を理由とした賞与の引下げを撤回するよう求める申入書」の写しを添付することにしています。

なお、この場合に会社に送付する「産休育休の申請を理由とした賞与の引下げを撤回するよう求める申入書」の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 産休や育休を理由とした給料等の引下げの撤回を求める申入書

もっとも、上記のような事例では必ずしも「産休育休の申請を理由とした賞与の引下げを撤回するよう求める申入書」といった書面で賃金や賞与の減額の撤回を求める必要はありませんので、このような申入書を送付していない場合には添付資料の欄には「特になし」と記載しても構いません。

ちなみに、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付資料の項には「特になし」と記載し何も添付せずに申立てをしても構いません。

(※なお、「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。

上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。