内部告発(公益通報)の正しい方法と順序

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指さす男性

勤務している会社が法律を犯していたり社会的に不正な行為に及んでいたりした場合、皆さんはどのような行動に出るでしょうか?

上司や社長に対して会社の不正を問い質したとしても、組織ぐるみで不正行為を行っている会社では一社員の諌言など黙殺されることが通常でしょう。

そのような場合、最終手段として監督官庁である行政機関やマスコミなどに内部告発することを考えるかもしれませんが、この内部告発もその告発先や方法を間違えると会社側から解雇など報復として不利益な処分を受けてしまう可能性もあり得ます。

そこで今回は、内部告発をする場合は具体的に”どこ”に”どのような方法”で”どのようなことに気を付け”て行えば良いのか、といった内部告発の正しい方法や順序などについて考えることにいたしましょう。

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内部告発をする告発の相手先と内部告発の具体的な場所

内部告発を行う場合には、まず”どこ”の”誰”に告発をするのか、ということを決めるのが先決です。

この点、内部告発の相手先は一般に次の3つに分けられますので、この3つの告発先からどの機関に告発を行うのかを決める必要があります。

告発の相手先
勤務先の会社(企業内通報)
監督官庁などの行政機関
マスコミ・一般市民

また、この3つの告発先の具体的な告発場所については次のようなものが挙げられますので、具体的に次の①から③のうち、どの部署に告発するかという点を決めておく必要があるでしょう。

告発の相手先 内部告発の具体的な場所など
勤務先の会社(企業内通報) 会社内に設置されたコンプライアンス室など
監督官庁などの行政機関 保健所や厚生労働省・都道府県や市町村などの自治体・陸運局・警察など
マスコミ・一般市民 新聞社・雑誌編集部・TVなどに情報提供する、ブログやツイッター・ユーチューブにUPするなど

①の勤務先の会社内で内部告発を行う場合は、上司に直接改善を求めたり、会社内に設置されているコンプライアンス室などに会社の違法行為を申告したりするものが代表的です。社長に手紙を書いたりして直訴する等の方法もこれに含まれるでしょう。

②の監督官庁などの行政機関に内部告発を行う場合としては、食品会社で腐敗した食品を出荷している場合などにその管轄の保健所を監督する都道府県庁や市町村の担当部署に連絡する場合や、厚生労働省の出先機関に違法行為の申告をするなどが例として挙げられます。

③のマスコミに内部告発をする場合としては、新聞社や雑誌社に社内で行われている不正行為の写真を提供したりするものが挙げられます。また一般市民に対する内部告発としては、社内で行われているの違法行為を撮影してその画像をブログやツイッターなどにUPして不特定の人が閲覧できるような状態にしたり、YouTubeなどに会社が行っている違法行為映像をUPする行為などが代表的です。

内部告発をする順序

内部告発を行う場合は、前述した3つの内部告発先につき、①→②→③の順序で告発を行わなければなりません。

たとえば、勤務先の原子力発電所で放射能で汚染された水が海に流れ出していることを電力会社が隠ぺいしている場合を例にとると、まず最初は勤務している原発の責任者に改善を求めたり電力会社のコンプライアンス室などに申告し(上記の①)、それでも改善しない場合に原子力安全・保安院や経済産業省などに通告し(上記の②)、それでもなお何らの監督措置がとられない場合に最終手段として新聞社やTV局にリークしたり、ツイッターやYouTubeに証拠映像をアップロードする(上記の③)というのが正しい内部告発の順序となります。

なぜこのような順序で告発を行わなければならないかというと、①より②、②より③の方法による内部告発の方が会社(事業者)に対するダメージが大きくなるからです。

内部告発の目的は会社(事業主)の違法行為を正すところにあり、決して会社に罰を与えるためのものではありません。

また、もし仮に会社が違法行為をしていないにもかかわらず違法行為をしていると勘違いしていきなり③の方法によって内部告発をしてしまうと、間違った内容の告発によって世間から大きなバッシングを受けて会社が倒産するかもしれませんし、そうなれば会社に出資している株主や融資している金融機関、顧客、従業員といった多くの人に大きな経済的損失を与えてしまうでしょう。

そのため、より会社へのダメージが少ない①から始めて、②→③と告発のレベルを上げていく必要があるのです。

仮に、会社が実際に違法行為をしていたとしても、①の内部告発で会社が改善を行うのであればそれで問題は解決するのであって、何も②の行政機関に告発して公権力を動かしたり、③のマスコミなどに告発して社会問題化する必要はないのです。

また、①→②→③の順序で告発を行わなければならないのは、内部告発を行った者に対して会社が解雇や減給、派遣契約の解除といった報復措置に出ることがあるところ、上記の①~③の内部告発の相手先によって内部告発を行った者を保護する度合いが異なって来ることも理由となっています。

前述した内部告発は①→②→③の順序で会社へのダメージが大きくなっていきますから、内部告発をした者の保護に関して規定している公益通報者保護法という法律では、①より②の場合、②より③の場合の方が内部通報者が保護される要件を厳しく設定しています(公益通報者保護法3条)。

内部通報者の保護の要件を厳しくするということは、会社が内部通報者に対して解雇や減給の報復措置に出た場合に保護され難くなるということを意味します。

すなわち、前述の①に対して内部通報した場合は仮に会社が報復措置として解雇や減給の処分を下したとしても、保護の要件が緩やかなので多くの場合その解雇や減給を無効とすることが可能となります。

しかし、①よりも②、②よりも③に対する内部通報の方が保護の要件が厳格になりますから、①の場合より②、②の場合より③の場合の方が解雇や減給を無効にすることが難しくなり、内部通報をすることによって自分が不利益を受けてしまう恐れがあるのです。

内部告発者に対する解雇や減給を無効にする要件とは?

そのため内部通報は、最初は①の会社内のコンプライアンス室などに報告し、それでもダメな場合に監督官庁などの行政機関に通報し、それでも改善しない場合に最終的な手段としてマスコミやインターネットで不正を暴くという順序で行わなければならないということになります。

公益通報の通報先・相談先 行政機関検索 | 消費者庁

内部告発の方法

① 企業内通報をする場合

前述の「①」の企業内通報の場合はその企業(勤め先の企業)内に設置されたコンプライアンス室や所定の部署に違法行為の申告を行います。

内部告発の具体的な方法に決まりはありませんので、電話で行っても問題ありませんし、手紙(書面)や電子メール、LINEなどで行っても問題ありません。

ただし、マスコミや一般市民に対して内部告発(前述の③)を行ったことへの報復として会社が解雇や減給などの不利益処分を行った場合、内部通報者が保護されるためには「書面やメールなどで企業内告発(前述の①)をしたこと」が要件の一つとされていますので、将来的にマスコミや一般市民への内部告発(前述の③)をする可能性も踏まえて、企業内通報(前述の①)を行う場合も、電話ではなく「書面」で内部告発(企業内告発)をしておく必要があるでしょう。

内部告発者に対する解雇や減給を無効にする要件とは?

会社に対して内部告発を行う場合の通知書【ひな形・書式】

② 行政機関(監督官庁)に内部告発する場合

前述した「②」の行政機関や監督官庁に内部告発する場合も、具体的な告発方法は決められていませんので、電話で行ってもかまいませんし、手紙(書面)や電子メール、LINEなどで行っても問題ありません。

勿論、匿名で内部告発することも特に問題ありませんが、匿名で内部告発する場合は行政機関の方としても「いたずら」の可能性を否定できませんので、匿名で告発するよりも名前を名乗った方が調査を行ってくれる可能性は高くなるでしょう。

なお、内部通報を行う行政機関の具体的な通報先については消費者庁のこちらのページで検索することが可能です。

≫ 公益通報の通報先・相談先 行政機関検索 | 消費者庁

【消費者庁の公益通報の通報先・相談先 行政機関検索の使い方】

消費者庁のウェブサイトに設置されている「公益通報の通報先・相談先 行政機関検索」の使い方は以下のとおりです。

(1)まず、消費者庁の公益通報の通報先・相談先 行政機関検索 | 消費者庁のページに移動し、検索窓に勤務先の会社が法令違反を犯している具体的な内容などを入力して検索をかけてください。

(2)適宜な語句を入力して検索をかけると、その語句に関連した法令がいくつか表示されます。会社が法令違反を犯していると思われる法律のリンクをクリックすると、その法律を監督する行政機関の通報先の部署や電話番号が表示されます。

たとえば、『勤務先の食品会社が腐った肉を加工して製品として出荷していること』を告発したい場合には、検索窓に「食品」と入力して検索してください。

「食品」で検索をかけると、「1.食品衛生法」から「7.特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」まで7つの法律が表示されます(全てリンクが付いています)ので、この表示された法律の中から、「腐った肉を加工して製品として出荷」することを禁止している法律を見つけ出します。

「腐った肉を加工して製品として出荷」することを禁止しているのは「1」の食品衛生法になりますので、検索結果として表示された7つの法律のうち「1.食品衛生法」のリンクをクリックすると、食品衛生法に関する告発を受け付けている行政機関の部署や電話番号が7か所ほど表示されます。

この表示された行政機関のうち「腐った肉を加工して製品として出荷」している場合の告発先として最も適しているのは「食中毒の調査・報告に関するもの」か、もしくは「全般(消費者庁が通報(相談)先となるものを除く。)」のどちらかになると思いますので、「別添(都道府県)参照」をクリックして表示される各都道府県の担当部署に連絡するか、「厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課」に連絡するかになると思います。

③ マスコミや一般市民に向けて内部告発を行う場合

前述の「③」のマスコミや一般市民に向けて会社の違法行為をリークする内部告発の方法については、新聞社やテレビ局に情報を流したり、ブログやツイッター、ユーチューブなどインターネット上で会社の違法行為を暴露するなどが挙げられるでしょう。

しかし、前述したように、この方法は会社に対するダメージがとてつもなく大きくなるため慎重に行う必要があることに注意してください。

間違って自分の勘違いで告発を行ってしまっては、取り返しのつかない損失を会社や関係会社に与えてしまいますので細心の注意をもって行う必要があります。

なお、前述したように、マスコミや一般市民に対して内部告発(前述の③)を行ったことへの報復として会社が解雇や減給などの不利益処分を行った場合、内部通報者が保護されるためには「書面やメールなどで企業内告発(前述の①)をしたこと」が要件の一つとされていますので、このマスコミや一般市民への内部告発(前述の③)を行う場合には必ず、前述の①の企業内通報をあらかじめ行っておく必要があるので注意してください。

内部告発をする際の注意点

前述したように、内部告発した場合に会社から報復措置として解雇や減給などの処分がなされた場合、内部通報者が保護される要件は内部通報の相手先によって異なってきます。

この内部通報者が保護される要件は、弁護士など労働トラブルに精通した専門家でなければ判断することが難しい部分がありますので、実際に内部通報を行う場合には、事前に弁護士などに相談し、仮に内部通報したことの報復として解雇や減給などの処分を受けた場合には保護の対象となるのかということを確認しておいた方が良いでしょう。

※前述の①の企業内告発の場合には特に弁護士などに事前相談しなくても良いかもしれませんが、②の行政官庁や③のマスコミなどに告発する場合は会社に与える影響が大きいので、念のため弁護士に「本当に違法行為に該当するか」「内部告発して会社から減給などの処分を受けた場合保護を受けることができるか」などの点について事前に確認しておく方がよいでしょう。

また、内部通報者の保護の対象となる場合であっても、会社が解雇や減給処分を行った場合にはその処分を無効にするために裁判などを起こす必要が生じる場合もあり得ます。

その場合に備えて、内部通報を行う前の時点から、会社が解雇や減給などの不利益な処分をしてきた場合に対抗するような証拠(たとえば会社が違法な行為をしていると信じたことに相当の理由があるというような証拠など)を確保しておくようにすることも必要となって来ますので、その面でも弁護士などに事前に相談しておくことをお勧めします。

参考サイト

公益通報者保護制度 | 消費者庁

http://www.caa.go.jp/planning/koueki/

公益通報者の保護|厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/kouekitsuhousha/

公益通報の通報先・相談先 行政機関検索 | 消費者庁

http://www.caa.go.jp/planning/koueki/kensaku-sys/kensaku.html


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