内部告発(公益通報)の正しい方法と順序


指さす男性

勤務している会社が法律を犯していたり社会的に不正な行為に及んでいたりした場合、皆さんはどのような行動に出るでしょうか?

上司や社長に対して会社の不正を問い質したとしても、組織ぐるみで不正行為を行っている会社では一社員の諌言など黙殺されるのが通常でしょう。

そのような場合、最終手段として監督官庁である行政機関やマスコミなどに内部告発することを考えるかもしれませんが、この内部告発もその告発先や方法を間違えると会社側から解雇など報復として不利益な処分を受けてしまう可能性もあり得ます。

そこで今回は、内部告発をする場合は具体的に「どこに」「どのような方法で」「どのようなことに気を付けて」行えば良いのか、といった内部告発の正しい方法や順序などについて考えることにいたしましょう。

※なお、このページでいう「内部告発」とは、勤務先の企業が一般国民の生命や財産その他自然環境などに損害を与えるような法令違反を犯していることを告発するものをいいます。

これとは異なり、勤務先の会社における労務管理上の法令違反行為や労働契約(雇用契約)の違反行為を告発したい場合には、その法令違反行為が労働基準法に違反するものについては『労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方』や『労働基準監督署への是正申告書の書式・サンプル【目次ページ】』のページに掲載している是正申告書の記載例などを参考にそれぞれのトラブルに応じて労働基準監督署に違法行為の是正申告を、またその行為が労働契約(雇用契約)違反に基づくものについては『労働局への援助申立書の書式・サンプル【目次ページ】』のページに掲載している申立書の記載例などを参考に労働局に紛争解決援助の申立を行ってください。

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内部告発をする告発の相手先と内部告発の具体的な場所

内部告発を行う場合には、まず”どこ”の”誰”に告発をするのか、ということを決めるのが先決です。

この点、内部告発の相手先は一般に次の3つに分けられますので、この3つの告発先からどの機関に告発を行うのかを決める必要があります。

告発の相手先
勤務先の会社(企業内通報)
監督官庁などの行政機関
マスコミ・一般市民


また、この3つの告発先の具体的な告発場所については次のようなものが挙げられますので、具体的に次の①から③のうち、どの部署に告発するかという点を決めておく必要があるでしょう。

告発の相手先 内部告発の具体的な場所など
勤務先の会社(企業内通報) 会社内に設置されたコンプライアンス室など
監督官庁などの行政機関 保健所や厚生労働省・都道府県や市町村などの自治体・陸運局・警察など
マスコミ・一般市民 新聞社・雑誌編集部・TVなどに情報提供する、ブログやツイッター・ユーチューブにUPするなど

①の勤務先の会社内で内部告発を行う場合は、上司に直接改善を求めたり、会社内に設置されているコンプライアンス室などに会社の違法行為を申告したりするものが代表的です。社長に手紙を書いたりして直訴する等の方法もこれに含まれるでしょう。

②の監督官庁などの行政機関に内部告発を行う場合としては、食品会社で腐敗した食品を出荷している場合などにその管轄の保健所を監督する都道府県庁や市町村の担当部署に連絡する場合や、厚生労働省の出先機関に違法行為の申告をするなどが例として挙げられます。

③のマスコミに内部告発をする場合としては、新聞社や雑誌社に社内で行われている不正行為の写真を提供したりするものが挙げられます。また一般市民に対する内部告発としては、社内で行われているの違法行為を撮影してその画像をブログやツイッターなどにUPして不特定の人が閲覧できるような状態にしたり、YouTubeなどに会社が行っている違法行為映像をUPする行為などが代表的です。

内部告発をする順序

内部告発を行う場合は、前述した3つの内部告発先につき、①→②→③の順序で告発を行わなければなりません。

たとえば、勤務先の原子力発電所で放射能で汚染された水が海に流れ出していることを電力会社が隠ぺいしている場合を例にとると、まず最初は勤務している原発の責任者に改善を求めたり電力会社のコンプライアンス室などに申告し(上記の①)、それでも改善しない場合に原子力安全・保安院や経済産業省などに通告し(上記の②)、それでもなお何らの監督措置がとられない場合に最終手段として新聞社やTV局にリークしたり、ツイッターやYouTubeに証拠映像をアップロードする(上記の③)というのが正しい内部告発の順序となります。

なぜこのような順序で告発を行わなければならないかというと、①より②、②より③の方法による内部告発の方が会社(事業者)に対するダメージが大きくなるからです。

もし仮に、会社が違法行為をしていないにもかかわらず違法行為をしていると勘違いしていきなり③の方法によって内部告発をしてしまうと、間違った内容の告発によって世間から大きなバッシングを受けて会社が倒産するかもしれませんし、そうなれば会社に出資している株主や融資している金融機関、顧客、従業員といった多くの関係者に多大な経済的損失を与えてしまうでしょう。

また、そもそも内部告発の目的は会社(事業主)の違法行為を正すところにあり、会社に罰を与えるためのものではありません。

そのため、より会社へのダメージが少ない①から始めて、②→③と告発のレベルを上げていく必要があるのです。

仮に、会社が実際に違法行為をしていたとしても、①の内部告発で会社が改善を行うのであればそれで問題は解決するのであって、何も②の行政機関に告発して公権力を動かしたり、③のマスコミなどに告発して社会問題化する必要はないのです。

また、①→②→③の順序で告発を行わなければならないのは、内部告発を行った者に対して会社が解雇や減給、派遣契約の解除といった報復措置に出ることがあるところ、上記の①~③の内部告発の相手先によって内部告発を行った者を保護する度合いが異なって来ることも理由となっています。

なぜなら、前述したように、内部告発は①→②→③の順序で会社へのダメージが大きくなっていきますから、内部告発をした者の保護に関して規定している公益通報者保護法という法律では、①より②の場合、②より③の場合の方が内部通報者が保護される要件を厳しく設定されているからです(公益通報者保護法3条)。