希望退職者の募集への応募を取り消すことはできるのか?

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待って

業績不振だけでなく、企業が業務縮小などを行う際にも利用されるのが、人員整理(リストラ)の一環として行われる早期退職者募集です。

企業がこの早期退職者の募集を行う場合には、退職を希望する者に対して優遇措置を施して(多くの場合は退職金の上積みなど)、従業員に対して早期退職者を募集するのが一般的な取り扱いとなっています。

ところで、この早期退職者募集制度への応募に際し、いったんは募集に応じて退職の申出を行ったものの、後になってから考えが改まり、「やっぱり退職したくない」と思い直して退職願を提出したのを後悔することもあり得る話です。

このような場合、会社に対して出した希望退職への応募を撤回する必要がありますが、会社によっては希望退職への応募の撤回を認めない場合も存在します。

そこで今回は、希望退職者制度に応募した後、その退職の申し出を撤回し取り消すことはできるのか?という問題について考えてみることにいたしましょう。

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希望退職への応募に会社側の承諾が必要となっているか確認する

希望退職者募集への応募を撤回(取消)出来るかどうかで一番重要なのは、その希望退職への応募に会社側の承諾が必要となっているかいないかという点です。

希望退職者の募集においては、応募に際し会社側の承諾が必要となっている場合と、会社側の承諾は必要ないとされている場合の2種類が存在します。

会社側の承諾が必要となっている場合は、希望退職者への応募をした場合であっても全ての応募者に退職が認められるわけではなく、会社が承諾を出した者に対してのみ希望退職者募集の優遇措置が受けられる退職が認められます。

一方、会社側の承諾が必要ない場合には、希望退職者への応募をした時点で退職の効果が生じ、応募したすべての者に対して希望退職者募集の優遇措置が受けられる退職が認められることになります。

以上のように、希望退職者の募集に関しては、その運用により会社側の承諾が必要とされている場合と、会社側の承諾が必要とされていない場合の2種類がありますので、自分の会社が行っている希望退職者の募集に、会社側の承諾が要件となっているのか、それとも会社側の承諾は必要なく希望退職者制度への応募が認められるのかといった点を確認する必要があります。

希望退職者の応募に会社側の承諾が必要となっている場合

希望退職者の募集に会社側の承諾が要件として規定されている場合には、会社側の承諾がなされて初めて退職の効果が発生すると考えられますので、希望退職者の募集に応募した場合であっても、その応募に対して会社が承諾の意思表示をしていない場合には、希望退職者への応募を撤回(取消)することも可能と思われます。

この点、希望退職者の募集に関し、会社が希望退職者制度への応募を受理した後「合意書」が作成された時点で希望退職者の受付が完了されると定められていた事案で、その合意書が作成される前に行った希望退職への応募の撤回が認められた裁判例(ピー・アンド・ジー明石工場事件:大阪高裁平成16年3月30日)が参考になると思われます。

このように、希望退職者の募集に際し、会社側の承諾が要件として定められている場合には、会社側が承諾する前であれば希望退職者への応募を撤回することも認められると考えられます。

希望退職者募集への応募の撤回(取消)通知書 【ひな形・書式】

希望退職者の応募に会社側の承諾が要件となっていない場合

希望退職者制度の募集に関し、会社側の承諾が要件とされていない場合には、基本的に希望退職への募集に応募が会社側に到達した時点で退職の効果が発生すると考えられますので、原則として希望退職の応募の撤回は認められないと考えられます。

ただし、このような場合であっても、会社側が希望退職者への応募の撤回(取消)に同意する場合には希望退職の応募の撤回(取消)も有効であると考えられます。

したがって、仮に希望退職者制度の募集に会社側の承諾が要件として定めれらていない場合であっても、応募を撤回したい(取り消したい)と考える場合には、会社に対して希望退職への応募を撤回する旨の意思表示をすることが重要です。

また、希望退職者制度の募集要綱自体に会社側の承諾が要件として定めれらていない場合であっても、たとえば「会社側が作成した定型の希望退職申出書などに、『退職日は希望退職者の所属長との話し合いで定める』などと記載されている場合」で、退職日の話し合いが未だ持たれていない状況であるような場合には、退職の効力が生じていないと考えることも可能な場合もあり得ます。

そのため、希望退職の募集への応募を撤回したい(取り消したい)と考える場合には、たとえ希望退職の募集に関し会社側の承諾毛必要とされていない場合であっても、とりあえず会社に対して希望退職への応募を撤回する旨の意思表示をすることが大切だと思います。

希望退職への応募を撤回する場合の注意点

以上のように、希望退職の募集に対する応募の撤回(取消)は、希望退職に会社の承諾が必要か否かによってその可否が異なってきます。

そして、希望退職に会社側の承諾が必要ない場合であっても、例外的に希望退職への応募の撤回が認められる可能性もありますので、もしいったん希望退職への応募を行ったものの、その応募を撤回(取消)したいと考える場合には、一度労働問題に詳しい弁護士などの法律専門家に相談し、希望退職の撤回が認められるか確認してみることも必要かもしれません。


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