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パワハラとは?(パワハラの具体例とモラハラ、セクハラとの違い)

職場での問題となるパワハラが社会問題となって久しいですが、このパワハラが具体的にどのような行為を言うのか、皆さんご存知でしょうか?

パワハラは「パワーハラスメント」の略語であり、”パワー”は「権力・権限」、”ハラスメント”は「いじめ」という意味合いがありますから、パワハラは「権力や権限を利用した職場いじめ」と言い換えることができます。

パワハラが「権力(または権限)を利用した職場いじめ」であるとすると、そのパワハラを行う主体は”上司”ということになります。

なぜなら、会社内で「権力」や「権限」を行使できるのは自分より社内地位の高い上司に他ならないからです。

そうすると、パワハラとは「上司による職場いじめ」ということになります。

このように、パワハラとは『「上司」から「職場」で受ける「いじめ」のこと』と定義することができますので覚えておいてください。

ちなみに、上司から受けるいじめがパワハラですので、同僚から受けるイジメはパワハラではなく「モラハラ(モラルハラスメント)」となります。

また、上司から受けるパワハラであっても、そのいじめが性的な言動を伴うものである場合には、パワハラではなくセクハラになりますので合わせて覚えておきましょう。

【ハラスメントの定義】
「性的な言動」を伴うイジメ
→セクハラ
上司が「職務上の権限を利用」して行うイジメ
→パワハラ
セクハラ・パワハラ以外のイジメ
→モラハラ(職場いじめ)

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パワハラの具体例

パワハラの具体例は法律で具体的に定められているわけではありませんので、ここで具体的にどのような行為がパワハラに該当するかということを説明することは困難です。

もっとも、イジメの態様としては学校におけるイジメの場合と同様に「作為的ないじめ」と「強要的ないじめ」、「不作為的ないじめ」の3種類に分けることができると思いますので、ここではその種類ごとにどのようないじめがあるのか例示してみることにいたしましょう。

作為的ないじめ

「作為的ないじめ」としては、上司が部下に対してその部下の人格的尊厳を損なう暴言を吐いたりするなどが代表的なものとして挙げられます。

どのような暴言が部下の”人格的尊厳”を損なうかはその上司と部下との関係や社会常識などとも関係しますので一概には言えませんが、暴言を受ける部下の側が精神的圧迫を受けるような状況で受ける暴言については人格的尊厳を損なうものとしてパワハラと認定される可能性があるでしょう。

※たとえば「バカ」という一言でも、上司と部下の関係性によっては冗談で済まされる場合がほとんどかもしれませんが、たとえば名前の代わりに「バカ」というあだ名で上司から呼ばれ続けて1時間の間に何十回も「バカ」と言われるような状況ではその「バカ」という言葉も部下の側からすれば冗談と受け取ることはできず精神的圧迫を感じてしまうこともあるかもしれません。

過去の裁判例では、銀行の支店長が「不要では?」と記載した付箋を慰労金明細書に張り付けて部下に渡した案件でパワハラと認定されたもの(いよぎんスタッフサービス事件)などがあります。

なお、このようないじめ以外にも、部下を無視したり他の社員に無視するよう指示する行為もパワハラとして認定される可能性は高いといえます。

強要的ないじめ

「強要的ないじめ」とは、上司が部下に対して上司としての権限を利用して何らかの行為を強要するイジメの態様をいいます。

たとえば、上司から正当な理由なく自分だけ便所掃除を命じられているとか、自分だけロッカーを使わせてもらえないなどがあげられるでしょう。

また上司が部下を退職に追い込むため、無理やり退職届にサインをさせるなど退職願の強要も強要的ないじめの部類に入ると思われます。

このように、上司としての立場を利用して業務上正当な理由がないにもかかわらず部下に対して何らかの行為を強要している状況がある場合は、その上司の行為はパワハラと認定される可能性が高いと思われます。

不作為的ないじめ

「不作為的ないじめ」の態様としては、上司が部下に仕事を与えなかったり、本来の業務とは関係ない雑用を長期間にわたって命じ続けることなどが代表的な例としてあげられます。

たとえば、ブラック企業のリストラでありがちな、「追い出し部屋」など特に仕事のない部署に異動させてに仕事を全く与えない場合や、仕事を与えても本来の業務とは全く関係ない業務に移動させるなど(例えば研究職の職員を受付業務に移動させるなど)はパワハラと認定される可能性が高いでしょう。

なお、パワハラの判断基準についてはこちらのページでもレポートしています。

≫ これってパワハラ?(パワハラの判断基準とは)

パワハラに遭った場合の対処法

パワハラに遭った場合の対処法としては、パワハラを行っている上司に直接抗議する方法や、会社に対して上司のパワハラを辞めさせるよう要求する方法、労働局に紛争解決援助の申立をする方法、ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する方法、弁護士など法律専門家に相談して示談交渉や裁判を行って解決する方法など様々な方法があります。

これらの方法については『パワハラに遭った場合の対処法』のページで詳細にレポートしていますので興味がある方は参考にしてください。