内定辞退を理由に損害賠償請求された場合の労働局の申立書

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

このページでは、内定を辞退したことを理由に内定先企業から損害賠償請求をされている場合に、労働局に対して紛争解決援助の申立をする場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

適宜、ワードなどの文書作成ソフトを利用して自由に複製してください。ただし、著作権を放棄するわけではありませんので無断転載や配布などは禁止します。

なお、この記載例(ひな形・書式)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

この記載例(ひな形・書式)を使用して生じる一切の損害につき当サイトの管理人は責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

スポンサーリンク

内定を辞退したことを理由として損害賠償されている場合に労働局に提出する紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例

(1)単に内定辞退を理由に損害賠償の請求を受けている場合

〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都大田区〇〇一丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 治田井須瑠世
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都千代田区〇〇町〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社マネー・ペイミー
代表者 原椀海太郎
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 内定辞退を理由とした損害賠償請求を止めるよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人はヒヨドリの糞公害を事前予測するスマートフォン向け緊急ヒヨドリ受信システム「ヒヨドリミドリ」を開発・配信する従業員94名の株式会社である。
 申立人は、平成〇年〇月に違反者の採用試験を受験し内定を受けており、平成○年〇月を入社予定日としてシステムの開発のプログラマとして勤務する予定であったが、一身上の都合により同年〇月○日、内定辞退通知書を違反者に送付する方法で当該内定を辞退する旨通知した。
 これに対し被申立人は、入社前研修への出席を予定して作成した資料代および研修会場の費用等合わせて金〇万円の損害が発生したと主張し、平成○年〇月〇日付の「内定辞退によって発生した損害の賠償に関する請求書」と題する通知書を申立人に送付してその損害が発生したとする金額を請求している。
 しかしながら、退職の自由(民法627条1項)は法律で明確に認められており内定の辞退は内定者に認められた正当な権利であって違法性はないから、仮に被申立人に当該内定取消によって損害が発生したとしても申立人にその損害を賠償しなければならない義務はない。
 また、仮に内定の辞退によって発生した損害を内定辞退者が賠償しなければならないとすると、内定辞退者はそれを回避するため自己の意思に反して就労することを避けられなくなるから強制労働の禁止を規定した労働基準法第5条の趣旨に違反する結果となる。
 よってこのような被申立人の行為は、退職の自由を規定した民法627条1項に、また強制労働の禁止を規定した労働基準法第5条の趣旨に違反する。

3 紛争の経過

 申立人は被申立人から内定を受けていたが一身上の都合から平成○年〇月○日付内定辞退通知書を被申立人に送付する方法で当該内定を辞退したが、被申立人から平成○年〇月〇日付の「内定辞退によって発生した損害の賠償に関する請求書」が送付され、その損害金として金○万円を請求された。
 申立人は同年〇月○日、被申立人の本社に電話を行い、この請求書の請求には応じられない旨回答したが、被申立人の担当者(総務部の〇〇氏と名乗る人物)は「予定していた内定者研修の資料代と研修会場のキャンセル費用は弁償してもらう」と主張して一切その請求を撤回しようとしなかった。
 そのため申立人は「内定辞退を理由とした損害を賠償する義務がないことの通知書」を作成し文書の形で改めて賠償義務がないことを通知したが、被申立人は現在に至るまでその請求を止めていない。

4 添付資料

・内定通知書の写し                   1通
・内定辞退通知書の写し                 1通
・内定辞退を理由とした損害賠償請求書の写し       1通
・損害を賠償する義務がない旨反論した通知書の写し    1通

以上

※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。

(2)「内定辞退した場合は損害を賠償します」という旨の誓約書に署名捺印している場合

〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都大田区〇〇一丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 治田井須瑠世
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都千代田区〇〇町〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社マネー・ペイミー
代表者 原椀海太郎
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 内定辞退を理由とした損害賠償請求を止めるよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人はヒヨドリの糞公害を事前予測するスマートフォン向け緊急ヒヨドリ受信システム「ヒヨドリミドリ」を開発・配信する従業員94名の株式会社である。
 申立人は、平成〇年〇月に違反者の採用試験を受験し内定を受けており、平成○年〇月を入社予定日としてシステムの開発のプログラマとして勤務する予定であったが、一身上の都合により同年〇月○日、内定辞退通知書を違反者に送付する方法で当該内定を辞退する旨通知した。
 これに対し被申立人は、採用内定を行った際に「内定を辞退した場合には入社前研修に関する資料代および研修会場の費用等合わせて金〇万円の損害を賠償する」旨の誓約書に署名捺印していることを理由に損害賠償の請求を行っている。
 しかしながら、労働契約に際して損害賠償額を予定する契約をすることは労働基準法第16条で明確に禁止されているから、仮にそのような誓約書に署名捺印していたとしてもそのような誓約は法律に違反なものといえるから、そのような誓約に従ってその損害を賠償しなければならない義務はない。
 よってこのような被申立人の請求は、労働基準法第16条に違反する。

3 紛争の経過

 申立人は被申立人から内定を受けていたが一身上の都合から平成○年〇月○日付内定辞退通知書を被申立人に送付する方法で当該内定を辞退したが、被申立人から前述した誓約書を根拠とした平成○年〇月〇日付の「内定辞退によって発生した損害の賠償に関する請求書」が送付され、その損害金として金○万円を請求された。
 申立人は同年〇月○日、被申立人の本社に電話を行い、この請求書の請求には応じられない旨回答したが、被申立人の担当者(総務部の〇〇氏と名乗る人物)は「予定していた内定者研修の資料代と研修会場のキャンセル費用は弁償してもらう」と主張して一切その請求を撤回しようとしなかった。
 そのため申立人は「内定辞退を理由とした損害を賠償する義務がないことの通知書」を作成し文書の形で改めて賠償義務がないことを通知したが、被申立人は現在に至るまでその請求を止めていない。

4 添付資料

・内定通知書の写し                   1通
・内定辞退通知書の写し                 1通
・内定辞退の際は損害を賠償する旨誓約した誓約書の写し  1通
・内定辞退を理由とした損害賠償請求書の写し       1通
・損害を賠償する義務がない旨反論した通知書の写し    1通

以上

※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を起こしていて、どのような解決方法を求めているのか、といったことを記載します。

上記(1)の記載例では、内定先の企業が内定の辞退によって損害が発生したと主張してその損害を賠償するよう請求していることが問題となっていますが、退職の自由(民法627条1項)が法律上明確に認められていますので、内定を辞退することは内定者に認められた正当な権利であって違法性はありませんから、仮に内定取消によって企業側に損害が発生したとしても内定を辞退した側にその損害を賠償しなければならない義務は存在しないといえます。

また、仮に内定の辞退によって発生した損害を内定辞退者が賠償しなければならないと考えてしまうと、内定辞退者はそれを回避するために自分の意思に反して嫌々ながらその会社に就労することを避けられなくなってしまうおそれがありますから、強制労働の禁止を規定した労働基準法第5条の趣旨に違反する結果となり不都合です。

このような理由を根拠として退職の自由を規定した民法627条1項と強制労働の禁止を規定した労働基準法第5条に違反するという趣旨の文章にしています。

一方、(2)の記載例では、採用内定を受けた際に「内定を辞退した場合は違約金として金〇万円を支払う」などと記載された誓約書に署名押印しているこたことからその誓約書を根拠として内定先の企業から損害賠償の請求を受けている事例となりますが、そのような誓約は「損害賠償額の予定」として労働基準法第16条に違反するものといえますから、そのような誓約は違法・無効なものであってその誓約に基づく請求には根拠がないという旨の文章にしています。

なお、内定を辞退したことを理由に損害賠償請求された場合の具体的な対処法などについてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 内定辞退を理由に損害賠償請求された場合の対処法

※「紛争の経過」の欄について

紛争の経過の欄には、会社との間に発生した紛争がどのようなきっかけで発生し、会社とどのような交渉を行ってきたのか、というその経緯を記載します。

上記の事例では、内定の辞退を書面で通知した後、内定先企業から損害賠償の請求書が送られてきたことや、電話でそれに抗議したこと、電話での反論を行っても請求が止まなかったことを簡単に記載しています。

※「添付資料」の欄について

添付資料の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の文例では「内定を受けたこと」を明らかとするために「内定通知書」の写しを、「内定を辞退したこと」を明らかとするために「内定辞退通知書」の写しを、「内定先の企業から内定辞退を理由に損害賠償されていること」を明らかとするために「内定辞退を理由とした損害賠償請求書」の写しを、また、「内定辞退によって発生した損害を賠償する義務がないことを反論したこと(および反論しても企業側が請求を止めなかったこと)」を明らかとするために「損害を賠償する義務がない旨反論した通知書」添付することにしており、上記(2)の記載例ではこれらに加えて「内定を辞退した場合は損害を賠償する旨記載された誓約書にサインしたことを理由として損害賠償されていること」を明らかとするためにその「誓約書」の写しを添付することにしています。

なお、「損害を賠償する義務がない旨反論した通知書」の記載例はこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 内定辞退を理由とした損害賠償請求を拒否する通知書

ちなみに、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付書類の項には「特になし」と記載して申立てをしても構いません。

(※「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。

上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。


スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

関連トピックス