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内定辞退を理由とした違約金請求に関する労働局の申立書の記載例

このページでは、内定を辞退したことを理由に内定先企業から違約金をされている場合に、労働局に対して紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例(ひな形・文例)を公開しています。

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なお、この記載例(書式・ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

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内定を辞退したことを理由として違約金を請求されている場合に労働局に紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例

(1)内定通知書や労働契約書に違約金の支払いに関する条項があることを理由として違約金を請求されている場合


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都世田谷〇〇二丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 八女泰子
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都江東区〇〇一丁目〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社ドゥーノット・エスケイプ
代表者 清薬沙世琉
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 内定辞退を理由とした違約金の請求を止めるよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は元日に餅つきが行われている公民館をリアルタイムで検索できるスマートフォン向けアプリ「餅つきGO!」を開発・配信する従業員101名の株式会社である。
 申立人は、平成〇年〇月に被申立人の採用試験を受験し内定を受けたことから平成○年〇月を入社予定日としてスマートフォン向けアプリケーションの開発プログラマとして勤務する予定であったが、一身上の都合により同年〇月○日、内定辞退通知書を被申立人に送付する方法で当該内定を辞退する旨通知した。
 これに対し被申立人は、内定通知書に記載されていた内定辞退の際の違約金の支払いに関する条項を根拠として、入社前研修への出席を予定して作成した資料代および研修会場のキャンセル費用等金〇万円の違約金を請求している。
 しかしながら、採用内定も労働契約であると考えられるところ、労働契約に際して違約金を定めることは労働基準法第16条で明確に禁止されているから、仮に内定通知書等にそのような違約金の定めがあったとしても、そのような定めは法律に違反する無効なものといえるから、申立人にそのような違約金を支払わなければならない理由はない。
 よってこのような被申立人の請求は、労働基準法第16条に違反する。

3 紛争の経過

 申立人は被申立人から内定を受けていたが一身上の都合から平成○年〇月○日付内定辞退通知書を被申立人に送付する方法で当該内定を辞退したが、被申立人から平成○年〇月〇日付の「内定辞退に基づく違約金請求書」が送付され金○万円の違約金を請求された。
 申立人は同年〇月○日、被申立人の本社に電話を行い、違約金の請求には応じられない旨回答したが、被申立人の担当者(総務部の〇〇氏と名乗る人物)は「予定していた内定者研修の資料代と研修会場のキャンセル費用は弁償してもらう」と主張して違約金の請求を撤回しようとしなかった。
 そのため申立人は「内定辞退を理由とした違約金の不存在に関する通知書」を作成し文書の形で改めて違約金の支払い義務がないことを通知したが、被申立人は現在に至るまでその請求を止めていない。

4 添付資料

・内定通知書の写し 1通
・内定辞退通知書の写し 1通
・内定辞退を理由とした違約金請求書の写し 1通
・内定辞退を理由とした違約金の不存在に関する通知書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。

(2)違約金の支払いに関する誓約書に署名捺印している場合


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都世田谷〇〇二丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 八女泰子
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都江東区〇〇一丁目〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社ドゥーノット・エスケイプ
代表者 清薬沙世琉
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 内定辞退を理由とした違約金の請求を止めるよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は元日に餅つきが行われている公民館をリアルタイムで検索できるスマートフォン向けアプリ「餅つきGO!」を開発・配信する従業員101名の株式会社である。
 申立人は、平成〇年〇月に被申立人の採用試験を受験し内定を受けたことから平成○年〇月を入社予定日としてスマートフォン向けアプリケーションの開発プログラマとして勤務する予定であったが、一身上の都合により同年〇月○日、内定辞退通知書を被申立人に送付する方法で当該内定を辞退する旨通知した。
 これに対し被申立人は、申立人が採用内定を受けた際に被申立人から署名捺印を求められて差し入れた「内定を辞退した場合は金〇万円の違約金を支払います」という旨記載された誓約書があることを根拠として、入社前研修への出席を予定して作成した資料代および研修会場のキャンセル費用等合計金〇万円の違約金を請求している。
 しかしながら、採用内定も労働契約であると考えられるところ、労働契約に際して違約金を定めることは労働基準法第16条で明確に禁止されており、内定を辞退した際は違約金を支払う旨の誓約自体法律に違反する無効なものといえるから、申立人にそのような違約金を支払わなければならない理由はない。
 よってこのような被申立人の請求は、労働基準法第16条に違反する。

3 紛争の経過

 申立人は被申立人から内定を受けていたが一身上の都合から平成○年〇月○日付内定辞退通知書を被申立人に送付する方法で当該内定を辞退したが、被申立人から平成○年〇月〇日付の「内定辞退に基づく違約金請求書」が送付され金○万円の違約金を請求された。
 申立人は同年〇月○日、被申立人の本社に電話を行い、違約金の請求には応じられない旨回答したが、被申立人の担当者(総務部の〇〇氏と名乗る人物)は「予定していた内定者研修の資料代と研修会場のキャンセル費用は弁償してもらう」と主張して違約金の請求を撤回しようとしなかった。
 そのため申立人は「内定辞退を理由とした違約金の不存在に関する通知書」を作成し文書の形で改めて違約金の支払い義務がないことを通知したが、被申立人は現在に至るまでその請求を止めていない。

4 添付資料

・内定通知書の写し 1通
・内定辞退通知書の写し 1通
・内定辞退の際の違約金に関する誓約書の写し 1通
・内定辞退を理由とした違約金の請求書の写し 1通
・内定辞退を理由とした違約金の不存在に関する通知書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますのでプリントアウトする際はA4サイズの用紙を使用してください。

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を行っていて、どのような解決方法を求めているのか、といったことを記載します。

上記の事例では、(1)の記載例では内定を受けた際の内定通知書に「内定を辞退した場合は違約金として金○万円を支払わなければならない」旨の記載があることを根拠として、また(2)の記載例では採用内定の際に「内定を辞退した場合は違約金として金〇万円を支払う」旨記載された誓約書にサインしていることを根拠として内定先の企業が違約金の請求をしていることが、労働契約の不履行について違約金を定めることを禁止した労働基準法第16条に違反するという趣旨の文章にしています。

なお、内定を辞退したことを理由に違約金を請求された場合の具体的な対処法などについてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 内定を辞退して違約金を請求された場合の対処法

※「紛争の経過」の欄について

紛争の経過の欄には、会社との間の紛争がどのようなきっかけで発生し、会社側とどのような交渉を行ってきたのか、その経緯を記載します。

上記の事例では、内定の辞退を書面で通知した後、内定先企業から違約金の請求書が送られてきたことや、電話でそれに抗議したこと、電話での反論を行っても請求が止まなかったことから違約金の不存在を主張する通知書を内定先の企業に送付したことなどを簡単に記載しています。

※「添付資料」の欄について

添付資料の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の文例では「内定を受けたこと」および「内定通知書に内定を辞退した際は違約金を支払わなければならない旨の記載がなされていること」を明らかとするために「内定通知書」の写しを、「内定を辞退したこと」を明らかとするために「内定辞退通知書」の写しを、「内定先の企業から内定辞退を理由に違約金の請求がなされていること」を明らかとするために企業側から送られてきた「内定辞退を理由とした違約金請求書」の写しを、また、「内定辞退による違約金の支払い義務がないことを書面で通知したこと(および反論しても企業側が請求を止めなかったこと)」を明らかとするために「違約金の不存在に関する通知書」を添付することにしており、上記(2)の記載例ではこれらに加えて「内定を辞退した場合は違約金を支払う旨記載された誓約書が存在していること」を明らかとするためにその「内定辞退の際の違約金に関する誓約書」の写しを添付することにしています。

なお、「内定辞退を理由とした違約金の不存在に関する通知書」の記載例はこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 内定辞退を理由とした違約金の請求を拒否する旨の通知書

ちなみに、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付書類の項には「特になし」と記載して申立てをしても構いません。

(※「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。

上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。