会社で部下や同僚に告白するとセクハラになる?

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勤務先の会社で好きな男性や女性ができた場合、告白して付き合いたいと思うのが通常の感覚だと思います。

しかし、最近は職場でのセクハラがニュースなどで話題になることも多いことから「告白したらセクハラで訴えられるんじゃないか?」と告白することを躊躇してしまうという人も少なからずいるかもしれません。

そこで今回は、「職場で告白するとセクハラになるのか?」という点について考えてみることにいたしましょう。

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そもそも”セクハラ”とはどのような行為をいうのか?

「職場で告白するとセクハラになるのか?」という問題を考える前提として、まず”セクハラ”とはどのような行為を言うのか、”セクハラ”の定義を考えなければなりません。

”セクハラ”を直接具体的に定義した法律はありませんが、厚生労働省の出している告示ではセクハラを

「職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じること」

と定義していますので、これがセクハラとは何かを考える上での指針となります(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針2-(6))。

また、このセクハラの定義の中にある”性的な言動”については

「「性的な言動」とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指し、この「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、「性的な行動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれる」

と規定されていますので、このような”性的な言動”によって就業環境が不快となり労働するうえで支障になるような場合には、その”性的な言動”は「セクハラ」として規制の対象になるものと考えることができるでしょう。

職場で告白することは”性的な言動”になるか?

では、上記のセクハラの定義をもとに、職場で好きな人に告白することが”セクハラ”に当たるのかを考えてみたいと思います。

上記の定義では、”セクハラ”は「性的な言動」が原因であることが必要で、その「性的な言動」は「性的な内容の発言」と「性的な行動」の2つに分類されていましたので、まず「告白すること」が「性的な内容の発言」または「性的な行動」のどちらかに該当するのかを考える必要があります。

”告白すること”は「性的な内容の発言」にあたるか?

前述の厚生労働省の告示にも記載しているとおり、「性的な内容の発言」の具体例としては「性的な事実関係を尋ねること」や「性的な内容の情報を意図的に流布すること」などが挙げられます。

これを”職場で告白すること”に当てはめてみると、告白することは自分の相手に対する「好きだ」という気持ちを一方的に伝える行為にすぎませんので、直接的には「性的な事実関係を尋ねること」や「性的な内容の情報を意図的に流布すること」には該当しないでしょう。

しかし、「あなたのことが好きです」と告白する発言の裏には「あなたに彼女(彼氏)がいないなら私と付き合ってください」という意味があると思いますから、間接的には「彼女(彼氏)がいるかいないか」という点を尋ねていると考えることも可能でしょう。

そうなると、”告白すること”は相手に「彼女(彼氏)がいるか」という「性的な事実関係」を間接的に尋ねているということも考えられることになりますので、”告白すること”自体が「性的な事実関係を尋ねること」に該当し「性的な内容の発言」と認定されることも可能性としてはゼロではないということになります。

一方、”告白すること”は告白する相手一人に対して行うことが通常ですので、「性的な内容の情報を意図的に流布すること」には直接はつながりませんが、自分が相手を好きだということを社内の多くの人に言いふらすような場合には、「性的な内容の情報を意図的に流布すること」に該当し「性的な内容の発言」と認定されることもありうるでしょう。

このように、職場で”告白すること”自体は「性的な内容の発言」として認定される可能性はゼロではないということができます。

”告白すること”は「性的な行動」にあたるか?

前述の厚生労働省の告示では、「性的な行動」には、「性的な関係を強要すること」や「必要なく身体に触ること」、「わいせつな図画を配布すること」などが含まれると規定されていました。

この点、”告白すること”がこれらの「性的な行動」に当たるかを考えてみると、好きな相手に”告白すること”は「好き」と言葉で伝えるにすぎませんから、「身体に触ること」や「わいせつな図画を配布すること」には該当しないでしょう。

あと一つ残る「性的な関係を強要すること」に該当するかが問題となりますが、これも告白した際に相手に付き合うように強要しない限り「性的な関係を強要すること」にはあたらないでしょう。

そうすると、職場で”告白すること”は自体は「性的な行動」として認定される可能性はほとんどなく、告白を断られてもなお執拗に交際を迫るような場合にだけ厚生労働省の告示に規定された「性的な行動」になるということになるのではないかと思います。

”告白すること”で相手の「就業環境が不快」となり「能力の発揮に重大な悪影響が生じる」ことがあるか

前述したとおり、厚生労働省の出している告示ではセクハラを

「職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じること」

と定義していますので、”告白すること”がセクハラに該当するかは、単に”告白すること”が「性的な言動」と認定されるだけではなく、その告白によって「労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じ」たことが必要となります。

前述したように”告白すること”自体も場合によっては”性的な言動”ととられる可能性がありますが、それだけでセクハラになるわけではなく、その告白という”性的な言動”によって告白された相手の「就業環境が不快」なものとなり「能力の発揮に重大な悪影響が生じる」などの支障が出た場合に初めて”セクハラ”と認定されるわけです。

しかし、職場で好きな相手に”告白”しただけであれば、たとえ相手の女性(男性)が自分を生理的に嫌っていて告白されたことで「気持ち悪い」と思われ「就業環境が不快」になった場合であっても、その告白だけでその告白された相手の「能力の発揮に重大な悪影響が生じる」ようなことはないでしょう。

勿論、告白を断られたのに執拗に交際を迫ったり、断られた腹いせに嫌がらせをするようであれば、その告白された相手の「能力の発揮に重大な悪影響が生じる」ようなこともあるかもしれません。

しかし、通常であれば告白を断られた時点であきらめることになると思いますので、そのような問題行動を起こさない限り告白された相手が「能力の発揮に重大な悪影響が生じる」ようなことは発生しないと思われます。

そのため、たとえ嫌いな相手から「好きだ」と言われて「気持ち悪い」と思ったとしても、それによって仕事に支障が出るようなことは世間一般の常識の範囲内で考えれば無いと判断されますから、職場での告白によって「労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じ」ることも基本的に”ありえない”と考えられます。

職場で”告白すること”はセクハラになるか?

以上のように、職場で好きな相手に告白することは形式的には”性的な言動”に該当する可能性がありますが、たとえ”性的な言動”に該当したとしてもその告白によって告白された相手の労働環境に支障を及ぼすようなことは考えられませんので、通常は告白すること自体で”セクハラ”と認定されて会社から懲戒処分を受けるようなことはないものと考えられます。

しかし、告白した結果振られたような場合に、執拗に交際を迫ったり、断られた腹いせに相手に嫌がらせを行うような場合には”セクハラ”と判断されて処分を受けることもありうるでしょう。

このように、職場で告白すること自体は”セクハラ”ではなく、ストーカーのような言動を伴わない限り、好きな相手に「好き」と気持ちを伝えることは何ら法的に問題ありませんから、職場に好きな人がいるのであれば臆することなく告白すればよいと思います。

なお、前述した厚生労働省の告示におけるセクハラは”職場”において”性的な言動”が行われていることが要件となっていますので、どうしても”セクハラ”に該当するかもしれない!と心配な人は、職場以外の場所(例えば休日のバーベキューパーティーなど)で告白するようにすれば、良いのではないでしょうか?


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