貨物運送の過労運転(休憩時間不足)に関する内部告発文書の例

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このページでは、運送会社が貨物自動車運送事業者法に違反してトラック運転手に十分な休憩を与えることなく連続運転を強いていることを理由として監督官庁に内部告発する場合の申出書の記載例(サンプル)を公開しています。

適宜、ワードなどの文書作成ソフトで複製するなど自由に使用してかまいませんが、著作権を放棄するわけではありませんので無断転載や配布などは禁止します。

なお、この書式例(ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

この書式例(ひな形例)を使用して損害が発生したとしても当サイトの管理人は一切責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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貨物運送のトラック運転手が会社から休憩時間を十分に与えられずに連続運転を余儀なくされていることを理由として監督官庁に内部告発する場合の申出書の記載例

申出書

平成

国土交通大臣 殿 ← 注1

氏名 告発 太郎 ㊞

 事業者の貨物自動車運送事業者法に違反する行為につき、下記のとおり申し出ます。

1 申出人の氏名又は名称及び住所並びに電話番号

 氏名又は名称 告発 太郎

 住所 大阪府豊中市〇〇町〇番〇号〇〇マンション〇号室

 電話番号 080-****-****

2 申出に係る通報の種類

 過労運転(休憩時間の付与義務違反)

3 申出の理由

 申出人は事業者の淀川営業所において長距離トラックのドライバーとして勤務しているが、同営業所では営業所長の作成した過密な配送スケジュールによって、休憩は6時間に1回10分程度しか取得することが出来ず、長距離トラックの運転も1乗車につき4時間を超える連続乗車を行わなければ到底配送できない状況でのトラック運転が常態化している。

4 申出に係る旅客自動車運送事業者等の氏名又は名称及び住所

 氏名又は名称 株式会社ノーブレイク運輸

 住所 大阪市北区〇〇一丁目〇番〇号

5 申出に係る違法行為を行っている事業所の場所及び氏名又は名称

 氏名又は名称 株式会社ノーブレイク運輸 淀川営業所

 住所 大阪市淀川区〇〇二丁目〇番〇号

以上

注1:貨物自動車運送事業者法に違反する事業者の内部告発に関する申出書は国土交通省に設置された公益通報窓口に提出することになりますので(※詳細は後述の(2)を参照)、名宛人は「国土交通省公益通報窓口 御中」と記載しても構いません。

※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、プリントアウトする際はA4用紙を利用するようにしてください。

【匿名で内部告発したい場合】

自分の氏名を申告せずに匿名で告発したい場合は上記の「氏名」の欄や「1 申出人の氏名又は名称及び住所」の欄を白紙のまま提出するか、「6 備考」の項目を追加して「本件申出をしたことが事業者に知れると勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため事業者に対しては申出人の氏名を公表しないよう求める。」などと記載するなどしてください。

※ただし、匿名で内部告発する場合は監督官庁としてもその告発内容の信ぴょう性を確認できず単なる「情報提供」や「いたずら」などとしか判断しない可能性もありますので注意してください。また、仮にこのように記載したとしても監督官庁が確実に氏名を秘匿してくれるかは保証できませんのでご自身の判断で申出を行ってください。

申出書の記載要領

(1)申出書の様式

貨物自動車運送事業者法に違反する事業者を監督官庁に申告する申出は法律で定められた手続きではありませんので、その情報提供に使用する申出書についても定型の様式も存在しません。

そのためトラックドライバーが十分な休憩時間を取得できない配送スケジュールで運転を強いられているなどの違法な状況を監督官庁に内部告発する場合の申出書も適宜な書式で記載しても構いませんが、このサイトでは上記のような様式で記載することにしています。

ちなみに、上記の様式は消費者庁のウェブサイトで公開されている生鮮食品や加工食品などに関する食品表示法違反の際に使用する申出書を参考にして作成しています。

(2)申出書の提出先

消費者庁のウェブサイトに掲載されている情報では、休憩時間の付与に関する事項など貨物運送業者の過労運転防止義務を規定する貨物自動車運送事業者法に違反する事業者の告発先(情報提供先)は国土交通省に設置されている公益通報窓口となっていますので、その内部告発の申出書も国道交通省の公益通報窓口に提出することになります。

なお、申出書を送付する国土交通省の公益通報窓口の具体的な住所は消費者庁のこちらのページに掲載されています。

▶ 公益通報の通報先・相談先 行政機関検索 | 消費者庁

(3)申出の根拠

運送会社で就労するトラックのドライバーが十分な休憩時間を取ることが出来ないような配送スケジュールで過労運転を行った場合には重大な事故の発生によりそのドライバーのみならず、そのトラックが通行するルートに所在する国民の生命や財産に多大な危険が生じる蓋然性が高くなります。

そのため、運送会社に対しては貨物自動車運送事業者法の第17条1項でトラックドライバーの「適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他事業用自動車の運転者の過労運転を防止するために必要な措置」を講じることが義務付けられています。

【貨物自動車運送事業者法第17条1項】

一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の数、荷役その他の事業用自動車の運転に附帯する作業の状況等に応じて必要となる員数の運転者及びその他の従業員の確保、事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備、事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他事業用自動車の運転者の過労運転を防止するために必要な措置を講じなければならない

この場合の「必要な措置」とは具体的には「国土交通大臣の告示」で定められた基準となりますので(貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第4項)、運送会社のトラックドライバーがその「国土交通大臣の告示」で定められた基準に満たない休憩時間しか与えられていない場合には、その運送会社は貨物自動車運送事業者法に違反していることになります。

【貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第4項】

貨物自動車運送事業者は、休憩又は睡眠のための時間及び勤務が終了した後の休息のための時間が十分に確保されるように、国土交通大臣が告示で定める基準に従って、運転者の勤務時間及び乗務時間を定め、当該運転者にこれらを遵守させなければならない。

そしてこの「国土交通大臣が告示で定める基準」については、トラックドライバーの労働時間等の改善が過労運転の防止にもなると考えられることから、旧労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第七号)」と同じ基準を用いるものと考えられています(平成13年国土交通省告示第1365号)。

この点、旧労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第七号)」においては、トラック運転手の連続運転時間は原則として4時間を上限とする旨定められており、トラック運転手に与えるべき休憩時間については運転開始から4時間以内または4時間経過直後に30分以上の休憩等を与えるか、少なくとも1回につき10分以上の休憩を分割して与えるかしなければならないと定められています(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)。

したがって、運送会社のトラックドライバーがこの基準どおりに休憩時間を取れるような配送スケジュールでトラックの手配をしておらず、そのために上記の記載例のように4時間を超える連続運転を行わなければならない状況にドライバーが追い込まれているような場合には、その運送会社は貨物自動車運送事業者法および貨物自動車運送事業輸送安全規則で定められた過労運転の防止義務に違反することになります。

そして、この貨物自動車運送事業者法に違反する運送業者があるときは、国土交通大臣はその違反する自動車(トラック等)の使用の停止や一般貨物自動車運送事業の許可を取消すこともできますので(貨物自動車運送事業者法第33条)、国土交通省に対して「国の基準を超えた長時間労働」という違法行為が行われていることを情報提供(内部告発)することにより、勤務先の運送業者の違法行為を改善させることが可能となります。

【貨物自動車運送事業者法第33条】

国土交通大臣は、一般貨物自動車運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の全部若しくは一部の停止を命じ、又は第三条の許可を取り消すことができる。
第1号 この法律(省略)に違反したとき。
第2号(省略)

なお、このページでは運送会社に勤務している従業員が”内部告発”を行う場合を想定して申出書の記載例を作成していますが、貨物自動車運送事業者法に違反する行為の監督官庁に対する情報提供の申出は法律上制度化された申出ではありませんので、その違法行為を行っている運送会社の従業員に限らず、その運送業者と直接関係のない一般の人でもその違法行為を申出ることは可能です。

(4)過労運転の防止義務に違反した場合の罰則等

なお、貨物自動車運送事業者法および貨物自動車運送事業輸送安全規則でトラックドライバーに付与することが義務付けられている休憩時間を付与しないなど過労運転の防止義務に違反した場合には、前述したように国土交通大臣により6月以内の業務の停止や運送事業の許可の取消(※許可が取り消されればその運送業者は基本的に廃業となります)などといった処分が出されることがあります(貨物自動車運送事業者法第33条)。

また、国土交通大臣から輸送施設の使用の停止又は事業の停止の命令が出されたにもかかわらず、その業務停止命令に違反して業務を継続したような場合(例えば過労運転(長時間勤務)を理由に国土交通省から運送事業の一部の停止が命じられたにもかかわらず、密かにその停止を命じられた運送業務を行った場合など)には、その運送会社は一年以下の懲役もしくは150万円以下の罰金(又はこれを併科)に処せられる場合があります(貨物自動車運送事業者法第71条1号)。

(5)内部告発を行う場合の注意点

なお、内部告発をする際の注意点などについてはこちらのページを参考にしてください。

▶ 内部告発(公益通報)の正しい方法と順序


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