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サラリーマン(会社員)が副業でアルバイトすることはOK?

会社によっては、就業規則によって勤務時間外にアルバイトなどの副業をすることを禁止している場合があります。

しかし、退社後のアフターファイブや休日にどこで何をするかは、本来自由なはずで、会社側に社員を拘束する権限はなく、勤務時間外にアルバイトをすることも問題ないはずです。

そこで今回は、会社が就業規則で副業(兼業)を禁止することができるのか、また就業規則で副業(兼業)が禁止されている場合にはサラリーマン(会社員)がアルバイトなどの副業をすることはできないのか?といった問題について考えてみることにいたしましょう。

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会社が就業規則で一律に副業(兼業)を禁止することはできない

労働者(社員・従業員)が使用者(会社・雇い主)のもとで働くという労働契約(雇用契約)は、労働者が定められた時間内は使用者の指揮命令下に置かれるという契約です。

労働契約(雇用契約)で定められた勤務時間以外の時間は、労働者は使用者の指揮命令下に置かれていないのですから、使用者は労働契約で定められた労働時間以外の時間については労働者を拘束することはできません。

これは、労働者が勤務した時間の分しか給料をもらえないことからも明らかです。

もし、使用者が労働契約で定められた勤務時間以外の時間についても労働者を拘束したいのであれば、その勤務時間以外の時間についても賃金を支払わなければならないでしょう(もっとも、そうなると単に勤務時間が1日24時間になるという話ではありますが…)。

このように、使用者は労働契約で定められた勤務時間以外の時間については労働者を拘束することはできませんから、使用者が就業規則で一律に労働者の副業(兼業)を禁止することはできないことになります。

使用者が就業規則で副業(兼業)を禁止できる場合

前述したように、使用者は就業規則で一律に労働者の副業(兼業)を禁止することはできません。

もっとも、「一律に」禁止できないだけであって、一律な禁止でない場合には、労働者の副業(兼業)を禁止することも可能です。

例えば、サラリーマン(会社員)が本業の勤務時間外にアルバイトなどの副業をする場合、その副業の種類によっては本業の使用者の企業秘密を漏えいしてしまう可能性もありうるでしょう。

老舗ラーメン屋の従業員が休日に他のラーメン屋でアルバイトをすることを例にとると、他のラーメン店でアルバイトしているうちに、ふとしたことで老舗ラーメン店の秘伝のスープの製法をアルバイト先のラーメン店に漏らしてしまうという可能性もないとは言えません。

また、労働者が本業の勤務時間外にアルバイトなどの副業をする場合、その副業の種類によっては本業の勤務が不完全になったり本業の勤務ができなくなってしまう場合もあるでしょう。

運送業者の従業員が休日に引越し屋でアルバイトをする場合を例にとると、引越し屋のアルバイトで体力を消耗し、本業の運送業の業務に支障をきたしたり、怪我や疲労で本業の仕事ができなくなったりする可能性もないとは言えないかもしれません。

このように、副業や兼業をすることによって本業の企業機密を漏らしてしまう等の理由で経営秩序を乱したり、本業に対する労務の提供が不能になったり不完全になるような場合には、例外として就業規則に副業(兼業)の禁止規定を定めることも認められます。

参考判例:瀬里奈事件(東京地裁昭和49年11月7日)

【注意】
ラーメン屋や運送業者の従業員が退社後や休日にアルバイトをしてはいけないという意味ではありません。アルバイトすることによって企業秘密の漏えいや本業の仕事がおろそかになる場合は副業を禁止する就業規則の規定も認められるという話です。

就業規則で副業を禁止している場合であってもサラリーマン(会社員)が副業としてアルバイトをすることは可能

前述したように、労働者が副業(兼業)を行うにあたり、本業の企業機密を漏らしてしまう等の理由で経営秩序を乱したり、本業に対する労務の提供が不能になったり不完全になるような場合でない限り、使用者は労働者の副業(兼業)を禁止することはできません。

そして、サラリーマン(会社員)やOLが副業(兼業)をする場合は、男性であれば土日などの休日に引越屋やファストフード店でアルバイトしたり、女性であれば夜に水商売系でバイトしたりといったことが多いでしょう。

このような短時間のアルバイトや、フルタイムのアルバイトでも土日だけの勤務である場合には、一般的には前述した「本業の企業機密を漏らしてしまう等の理由で経営秩序を乱したり、本業に対する労務の提供が不能になったり不完全になるような場合」に該当することはないと言えます。

したがって、仮に就業規則に副業を禁止する規定が存在していたとしても、使用者は労働者の副業(兼業)を禁止することはできないと考えられますから、副業としてアルバイトをすることも可能と言えるでしょう。