女性や外国人が賃金(給料)で差別されているときの対処法

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女性が女性であることを理由に、また、外国人が外国人であることを理由に差別されることはあってはならないことですが、企業によっては未だに多くの差別が残っているようです。

特に、女性の給料を男性より低くしたり、外国人労働者を極端に安い賃金で働かせるなどの違法行為を行っている会社は、想像している以上に多いのではないかと思います。

そこで今回は、女性や外国人であることを理由に賃金(給料)が差別されている場合には、具体的にどのような対処をとればよいのかといったことについて考えてみることにいたしましょう。

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男女差別、外国人差別を禁止する法律とは?

まず、女性や外国人に対する差別の対象法を考える前提として、女性や外国人の差別を禁止する法律的な根拠がどこにあるか、という点を知っておかなければなりません。

この点、女性の差別については労働基準法という法律の第4条に、また、外国人の差別(国籍による差別)は同じく労働基準法の第3条に明文の規定が定められていますので、これらの法律が女性や外国人差別を制限する根拠となる法律となります。

【労働基準法】

第3条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはならない。

第4条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取り扱いをしてはならない。

なお、これらの労働基準法という法律以外にも憲法第14条で”法の下の平等”が規定されていますから、女性や外国人を差別することが禁じられていることは明らかであるとも言えます。

【日本国憲法第14条】

第1項 すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

しかし、憲法は基本的に国家権力(行政)を制限するための法規範となりますので、会社に対して女性や外国人差別の問題を追及する場合には、通常は労働基準法の第3条と第4条を根拠法令として差別行為の即時停止を求めていくことになります。

女性や外国人であることを理由に不当に安い賃金で働かせられている場合の対処法

女性が女性であることを理由に同種の仕事で就労している男性労働者より低い給料しかもらえなかったり、外国人が外国人であることを理由に他の日本人労働者よりも低い賃金で働かされている場合は、以下のような方法でその差別行為を改めさせるよう求めていくことが可能です。

① 会社に対して差別の改善を求める申入書を送付する

会社(上司)に女性や外国人であることを理由とした不当な賃金差別の改善を求めても解決しない場合には、「差別の改善を求める申入書」を作成し、”書面”という形で会社に送付することも考えてみる必要があるでしょう。

≫ 女性や外国人の賃金差別改善の申入書【ひな型・書式】

口頭での申入れでは何ら対処しようとしない会社でも、”書面”という形で申し入れを行ば、会社側に対して「正式に請求されている」というプレッシャーを与えることができますので、会社によっては「このまま放置したら弁護士などに相談されて厄介なことになるかもしれないぞ」と考えて差別を改善することも期待できます。

また、その送付する書面を内容証明郵便で送付しておけば、その送付した申入書を後日裁判になった際に証拠として利用することができますので、証拠づくりをしておくという意味においてもこのような申入書を作成して送付しておくことは重要であると思われます。

② 労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う

労働基準法に違反する使用者(会社・雇い主)に対しては、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行うことで、監督署の会社に対する臨検や調査を促すことができます。

≫ 全国労働基準監督署の所在案内 |厚生労働省

この点、前述したように、女性や外国人であるという理由だけで賃金を不当に差別することは、労働基準法の第3条や第4条に違反することになりますから、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行うことが可能となります。

≫ 女性の賃金差別に関する労働基準監督署への申告書の記載例

≫ 外国人労働者の賃金差別に関する労基署の申告書の記載例

労働基準監督署に違法行為の是正申告を行うことで監督署が臨検や調査を行えば、監督署の指示に従って会社側が差別行為を止めることも考えられますので、労働基準監督署に違法行為の是正申告を行うことで問題が解決されることもありうるでしょう。

もっとも、労働基準監督署が実際に臨検や調査を行うかは監督署側の裁量に任せられていますので、事案によっては監督署に違法行為の是正申告を行っても何ら調査などが行われない場合もあるでしょう。

そのような場合には、後述するように弁護士などに相談して裁判や労働審判など裁判手続きを利用して解決を図るほかないかもしれません。

③ 労働局に紛争解決援助の申立を行う

全国に設置されている労働局では労働者と事業主(会社)との間に紛争が発生した場合には、当事者の一方からの申立によって紛争解決に向けた”助言”や”指導”、あっせん(裁判所の調停のような手続)による”解決案”を提示することがが可能です。

≫ 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

この点、会社(雇い主)が女性や外国人の賃金(給料)を不当に差別していて、労働者から抗議されているという状況も会社(事業主)と労働者との間に”紛争”が発生しているということができますから、労働局に対して紛争解決援助の申立を行うことが可能となります。

労働局の紛争解決援助手続によって出される”助言”や”指導”、”解決案”に会社側が従う場合には、会社がそれまでの賃金の不当な差別を改めるかもしれませんので、労働局に対して紛争解決援助の申立を行うというのも一つの解決方法として有効でしょう。

≫ 女性の賃金(給料)差別に関する労働局への申立書の記載例

≫ 外国人の賃金(給料)差別に関する労働局の申立書の記載例

もっとも、労働局の紛争解決援助の手続きには強制力はありませんので、会社側が労働局の提示する助言などに従わない場合には、後述するように弁護士などに相談することも考える必要があるでしょう。

④ ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する

ADRとは裁判外紛争処理手続の略称で、弁護士などの法律専門家が何らかの理由で発生した紛争の当事者の間に立って中立的立場で話し合いを促す裁判所の調停のような手続きのことをいいます。

当事者同士での話し合いで解決しないような問題でも、法律の専門家が間に入ることによって要点の絞られた話し合いが可能となりますし、専門家が間に入ることで違法な解決策が提示されることがないといったメリットがあります。

もっとも、ADRは裁判の手続きとは異なり”任意の話し合いの場の提供”に過ぎませんので、強制力はありません。

そのため、会社側が話し合いに応じない場合には解決策として適当ではありませんが、会社側が話し合いに応じる余地があるようであれば、利用を考えてみるのも良いでしょう。

なお、ADRは裁判所の調停よりも少ない費用(調停役になる弁護士などに支払うADR費用、通常は数千円~数万円)で利用することができるため、経済的な負担をそれほど感じないというメリットもあります。

ちなみに、ADRの利用方法は主催する最寄りの各弁護士会などに問い合わせれば詳しく教えてくれると思いますので、興味がある人は電話で聞いてみると良いでしょう。

≫ 日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:紛争解決センター

≫ 日本司法書士会連合会 | 話し合いによる法律トラブルの解決(ADR)

≫ 職場のトラブル|全国社会保険労務士会連合会

⑤ 早めに弁護士など法律専門家に相談する

上記のような方法で交渉しても解決しない場合や、自分で交渉するのに抵抗がある場合には、早めに弁護士などの法律専門家に相談することも考えておくべきでしょう。

弁護士に代理人として示談交渉を行ってもらえば会社側も態度を改めることがあるかもしれませんし、民事裁判や労働審判など裁判手続きを利用して解決を図ることができますので、早めに弁護士などの法律専門家に相談して適切な対処法を見極めておくことはトラブル解決への近道といえます。

弁護士?司法書士?社労士?労働トラブルの最適な相談先とは?


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