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実際の賃金や休日が面接や契約書と異なる場合の労働局への申立書

このページでは、実際の賃金や休日などの労働条件や待遇が面接や労働契約書(雇用契約書)で説明された労働条件や待遇と異なる場合に、使用者に対してその改善を求めるため労働局に紛争解決援助の申立をする場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

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なお、この記載例(ひな形・書式)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

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実際の賃金や休日などの労働条件や待遇が面接や労働契約書で説明されたものと異なる場合に労働局に紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都江東区〇〇一丁目○番○号〇〇マンション〇号室
氏名 賀真奈蘭
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都渋谷区○○三丁目○番○号○○ビル○階
株式会社 株式会社ダマソー
代表者 玉司輝
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 採用面接の際説明し労働契約書に記載された労働条件を履行するよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、100円均一商品を販売する従業員365名の株式会社であり、「100円ショップ・ダマソー」の名称で都内各所にいわゆる100円ショップを展開している。
 申立人は、平成〇年〇月にアルバイト従業員として入社し、「ダマソー東陽町駅前店」で一般店員として勤務している。
 申立人は平成〇年〇月中旬、インターネットの求人サイトで見つけた被申立人の求人広告に応募し、同月下旬に被申立人の「ダマソー東陽町駅前店」で面接を受け採用されたことから翌月の1日から同店において勤務を始めたが、面接の際に時給1000円、完全週休二日制と説明を受けていたにもかかわらず、実際には時給900円で計算された給与しか支給されておらず、また、休日も週に1日しか与えられていない状況にある(なお、受領した労働契約書にも時給は1000円と、また毎週2日間休日を取得することが出来る旨の記載がある)。
 しかしながら、このような被申立人の行為は労働者の同意を得ずに一方的に労働条件を切り下げる行為と同一視できるものであるから、労働条件は使用者と労働者の合意によって変更すべきものと規定した労働契約法第3条1項の趣旨に違反するものである。

3 紛争の経過

 申立人は平成○年〇月1日から被申立人の「100円ショップダマソー東陽町駅前店」で勤務を始めたが、翌月の25日の賃金支払い日に給与明細書を確認したところ時給900円で計算された賃金しか支給されていなかったことから店長の〇〇に賃金の計算方法が異なっていることを相談しその修正を求めた。
 これに対し上司の〇〇は「給料の計算は本社がやっているから俺は分からないんだよね」と回答するのみで何らその対処をしようとしなかったことから申立人は〇月○日付で「労働条件を労働契約書記載の労働に改善するよう求める申入書」を作成し被申立人の本社宛て送付したが、本社からは「給料の件は各店舗の店長と相談してください」という回答書を返送してきただけで労働契約書で定められた条件に基づく賃金を支払おうとしない
 なお、休日についても労働契約書に「完全週休二日制」を採用している旨の記載があるが、毎週2日間の休日を申し入れても店長の〇〇から「忙しいから出てもらわないと困る」と半ば強制的に出勤を強要されている状況であるため、賃金の件に合わせて申立を行うものである

4 添付資料

・労働契約書の写し 1通
・〇月分の給与明細書の写し 1通
・タイムカードの写し 1通
・労働条件を労働契約書記載の労働に改善するよう求める申入書の写し 1通
・店長に相談するよう記載された本社からの回答書の写し 1通

以上


※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、A4用紙でプリントアウトするようにしてください。

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を起こしていて、どのような解決方法を求めているのか、といったことを記載します。

上記の事例では、実際の賃金や休日などの労働条件が面接や労働契約書(雇用契約書)で説明された労働条件と異なることを記載し、そのような労働契約書とは異なる労働条件を会社側が勝手に適用することは労働者の同意を得ずに行った労働条件の変更と同視できるものであるとして労働条件は使用者と労働者の合意によって変更すべきものと規定した労働契約法第3条1項の趣旨に違反するという文章にしています。

なお、不実際の賃金や休日などの労働条件が面接や労働契約書(雇用契約書)で説明された労働条件と異なる場合の対処法など詳細についてはこちらのページでご確認ください。

▶ 実際の賃金・休日等が面接や労働契約書の内容と異なる場合

※「紛争の経緯」の欄について

紛争の経緯の欄には、会社との間に発生した紛争がどのようなきっかけで発生し、会社とどのような交渉を行ってきたのか、ということを記載します。

上記の事例では、最初の給料支給日に時給900円で賃金が計算されたことに気づいたことから店長に改善を求めたこと、また店長が何らの対処もしないため本社の書面で改善を求めても何らの対処もしてもらえなかったことを紛争の経緯として記載しています。

※「添付資料」の欄について

添付資料の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の事例では、「面接や労働契約書で時給1000円、週休二日制の労働条件が提示されていたこと」を明らかとするために「労働契約書」の写しを、「時給900円で給料が計算されていたこと」を明らかとするために「〇月分の給与明細書」の写しを、「1週間のうち2日以上の休日が与えられていないこと」を明らかとするために「タイムカード」の写しを、「会社側と交渉を行ったこと」と明らかとするために「労働条件を労働契約書記載の労働に改善するよう求める申入書」の写しを、またその交渉にもかかわらず会社側がまったく改善をしようとしなかったことを明らかとするために本社から通知されてきた「店長に相談するよう記載された本社からの回答書」の写しを添付することにしています。

ちなみに、「休職命令の撤回を求める申入書」の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 実際の賃金等の待遇が面接や契約書と異なる場合の異議申入書

なお、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付書類の項には「特になし」と記載して申立てをしても構いません。

(※「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。

上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。