違法残業(長時間労働)の改善を求める労働局の申立書


このページでは、内勤務先の会社から国が定める基準を超える違法残業(長時間労働)を命じられていることを理由に、労働局に対して紛争解決援助の申立てを行う場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

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会社から国が定める基準を超える違法残業(長時間労働)を命じられていることを理由として労働局に紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例

(1)1週間あたりの残業時間が15時間を超えている場合

〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都墨田区〇〇二丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 加江梨多伊乃
電話番号 090-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都荒川区〇〇七丁目〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社オーバーワーキング・エブリデイ
代表者 加枝羅仙蔵
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 内定辞退の強要を止めるよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、イリコに含まれるカルシウム成分を瞬時に検出するスマートフォン向けアプリ「ニボシチェッカー改」を開発及び配信する従業員214名の株式会社である。
 申立人は本社営業所においてアプリケーションの開発およびシステムのメンテナンス業務に従事していたが、平成○年の○月に上司からシステムのメンテナンス業務についても担当を任されたことから2つの業務を兼任することになり、負担する作業量が著しく増加した。
 そのため、所定労働時間の8時間を超えて残業することが多くなったが、その残業時間の合計は1週間あたり15時間を超える状況が常態化している。
 しかしながら、厚生労働省の告示(平成10年労働省告示第154号)では、いわゆる36協定で定めることができる労働時間の延長時間の上限は、1週間の期間内では「15時間」が限度とされている。
 したがって、被申立人は労働時間の上限や時間外労働の制限を定めた労働基準法第32条及び同法第36条の規定の趣旨に違反して申立人に違法な長時間労働(違法残業)を強制(または黙認)しているといえる。

3 紛争の経過

 申立人は入社以来アプリケーションの開発業務を担当していたが、平成○年〇月上旬、上司である〇〇から「メンテナンス業務を担当していた〇〇が退職して人が足らなくなったから来週からシステムのメンテナンス業務も兼務してもらうよ」と半ば強制的にシステムのメンテナンス業務も兼任して担当させられるようになった。
 そのため申立人は、従来の1.5倍以上に増えた作業量を処理するため所定労働時間の8時間を超えて早朝出勤や残業を頻繁に繰り返すようになったが、今年に入ってからはほぼ毎週のように1週間あたりの時間外労働時間が15時間を超える状態が続いている状況にある。
 この残業の急激な増加に関しては上司の〇〇に度々抗議しているが「おまえの要領がわるいからじゃないいのか」「うちの会社も大変なんだからこれ以上人員増やせないのわかっているだろう」などと回答するのみで一切長時間労働を改善しようとしない。
 申立人は先月上旬に過労から体調を崩したためこれ以上の長時間労働は無理があると判断したことから、○月○日付の「長時間労働の改善を求める申入書」を作成し被申立人宛て送付したが、その後も長時間労働が改善されることはなく、現在も国の基準を超過した長時間労働を強いられている状況にある。

4 添付資料

・平成〇年〇月から〇月までの勤務記録が表示されたPC画面を印刷した書面の写し 1通
・長時間労働の改善を求める申入書の写し                    1通

以上

※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、A4用紙でプリントアウトするようにしてください。

(2)1か月あたりの残業時間が45時間を超えている場合

※1か月あたりの残業時間(法定労働時間を超える労働時間)が国が労働時間の延長の上限として定めている45時間を超える場合には、上記の記載例の「2 援助を求める理由」の欄の「そのため…」の項と「しかしながら…」の項の文章を以下の文章と差し替えてください。

 そのため、所定労働時間の8時間を超えて残業することが多くなったが、その残業時間の合計は1か月あたり45時間を超える状況が常態化している。
 しかしながら、厚生労働省の告示(平成10年労働省告示第154号)では、いわゆる36協定で定めることができる労働時間の延長時間の上限は、1か月の期間内では「45時間」が限度とされている。


(3)1年あたりの残業時間が360時間を超えている場合

※1年あたりの残業時間(法定労働時間を超える労働時間)が国が労働時間の延長の上限として定めている360時間を超える場合には、上記の記載例の「2 援助を求める理由」の欄の「そのため…」の項と「しかしながら…」の項の文章を以下の文章と差し替えてください。

 そのため、所定労働時間の8時間を超えて残業することが多くなったが、その残業時間の合計は1年あたり360時間を超える状況が常態化している。
 しかしながら、厚生労働省の告示(平成10年労働省告示第154号)では、いわゆる36協定で定めることができる労働時間の延長時間の上限は、1年の期間内では「360時間」が限度とされている。

申立書の記載要領

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を行っているのか、といったことを記載します。

上記の記載例では、まず上司から所定労働時間の8時間で処理できない分量の仕事量を任されることにより残業を余儀なくされていることを説明したうえで(※残業を強制されているわけではないけれども残業しなければ処理できない仕事を命じられていることで事実上の残業の強制があったことや残業の黙認があったことを明らかとする意味があります)、労働時間の延長の限度として国が定めている「1週間当たり15時間(※(1)の事例)」「1か月あたり45時間(※(2)の事例)」「1年あたり360時間(※(3)の事例)」という上限を越えて残業を行っていることを記載し、そのような国の基準を超える時間外労働の強制が労働時間の上限やその延長の制限を規定した労働基準法第32条や第36条に違反する、という文章にしています。

なお、国が定める労働時間の延長の具体的な限度基準や、会社から違法な長時間労働を命じられている場合の具体的な対処法などはこちらのページで解説していますので参考にしてください。

▶ 違法残業(長時間労働)を強制させられている場合の対処法

※「紛争の経過」の欄について

紛争の経過の欄には、会社との間の紛争がどのようなきっかけで発生し、会社側とどのような交渉を行ってきたのか、その経緯を記載します。

上記の事例では、上司からアプリケーションの開発業務と兼務する形でメンテナンス業務も担当することを命じられたこと、その2つの業務の作業量がとうてい所定労働時間の8時間で処理できないような仕事量であったこと、そのため長時間の残業を余儀なくされることに至ったこと、上司に長時間労働の改善を求めたが人員を増やすなど具体的な改善策が何ら取られなかったこと、書面で長時間労働の改善を求めても一切改善されることなく現在でも違法な長時間労働を余儀なくさせられていること、などを記載しています。

※「添付資料」の欄について

添付資料の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の記載例では、「国の基準を超える時間外労働がなされていること」を明らかとするために「平成〇年〇月から〇月までの勤務記録が表示されたPC画面をプリントアウトした書面」の写しを、また「書面で改善を求めても違法残業が改善されなかったこと」を明らかにするために「長時間労働の改善を求める申入書」の写しを添付することにしています。

(※出退勤記録を明らかとする書類についてはタイムカードがあればタイムカードの写しでもよいですし、電子データで出退勤時刻が記録されている場合にはそのデータをCDRAMやUSBメモリーにダウンロードしてそのデータを添付しても構いません。)

なお、この場合に添付する「長時間労働の改善を求める申入書」の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 違法残業(長時間労働)の改善を求める申入書の記載例

ちなみに、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付書類の項には「特になし」と記載して申立てをしても構いません。

(※「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

※ 様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。

上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。

なお、申立書は会社の所在地を管轄する労働局か申立人の住所地にある労働局に提出することになろうかと思われますが、具体的な労働局の住所等については厚生労働省のサイトで各自ご確認をお願いします。

▶ 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省