試用期間後の賃金引下不同意と本採用拒否に関する労働局の申立書


このページでは、試用期間(研修期間)が満了した後に会社から賃金の引き下げに同意するよう求められたもののそれを拒否したところ会社から本採用を拒否された場合に、労働局に紛争解決援助の申立をする場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

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なお、この記載例(ひな形・書式)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

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試用期間経過後の賃金引下げに同意しなかったため本採用を拒否された場合に、その本採用拒否の撤回を求めるため労働局に紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例

〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 東京都杉並区〇〇二丁目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 慶加志多代
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都荒川区〇〇九丁目〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社アグリーペイカット
代表者 済陽仙蔵
電話番号 06-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 試用期間経過後の本採用拒否を撤回するよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、ホワイトデーにもらえるマシュマロの数を瞬時に予測するスマートフォン向けアプリ「ましゅまろかぞえたろ」を開発及び配信する従業員314名の株式会社である。
 申立人は、平成〇年〇月○日、被申立人が募集したアプリケーションの動作確認作業アルバイトに応募し、翌月の〇日から契約期間1年、時給1000円、試用期間2週間の労働条件で就業を開始したが、試用期間の2週間が経過した同月○日に上司の〇〇から呼び出され、「試用期間中の評価では時給800円が相当」という理由で賃金を800円に引き下げることに同意を求められたが、申立人がそれを拒否したところ本採用を拒否された。
 しかしながら、試用期間は「解雇権留保付きの雇用契約」と解釈されるから、試用期間経過後に本採用を拒否することは「解雇」とに準じて慎重に判断されるべきであり、その本採用を拒否することについて客観的合理的な理由があり社会通念上相当と認められる事情がない限り、権利の濫用として無効と判断されるものである(労働契約法第16条、三菱樹脂事件:最高裁昭和48年12月12日に同旨)。
 この点、試用期間の法的性質が「解雇権留保付きの雇用契約」と解されている以上、当初契約した「時給1000円」の労働条件で雇用契約が有効に締結されていると判断できるが、試用期間経過後に賃金を引下げる場合は労働条件の不利益変更となり労働契約法第3条1項または同法第8条に基づいて労働者の個別の同意が必要になると考えられるところ、その不利益変更に労働者が同意しなければならない法律上の義務は存在しないから、申立人がその同意を拒否したことを理由として申立人の本採用を拒否することは「客観的合理的理由」があるとはいえず「社会通念上相当」であるともいえないはずである。
 したがって、被申立人が申立人の本採用を拒否することは権利の濫用といえ無効である。

3 紛争の経過

 申立人は平成〇年〇月ごろにインターネットの求人サイトで被申立人が募集をおこなっていたアプリケーションの動作確認作業のアルバイトに応募し、翌月の〇日から「契約期間1年、時給1000円、試用期間2週間」などの労働条件を提示されて就業を開始したが、試用期間の2週間が経過した同月○日に上司の〇〇から呼び出され、「試用期間中の君の働きぶりでは本採用するにしても時給は800円しか出せないよ」「800円で納得できないなら本採用はできないかもしれないよ」と告知された。
 これに対して申立人は当初1000円と説明を受けていたことからその時給の引下げには応じられない旨抗議したが「嫌なら本採用は難しいだろうね」と告知され、その日の夕方に再度上司に呼び出されて「本採用を拒否する旨」の記載された辞令書の交付を受ける形で本採用を拒否する旨告知された。
 申立人はその数日後、どうしても納得できなかったことから○月○日付の「本採用拒否の撤回を求める申入書」を作成して被申立人に送付したが現在に至るまで被申立人からは一切連絡がない。

4 添付資料

・時給1,000円で募集していた求人サイトの画面をプリントアウトしたものの写し 1通
・本採用を拒否する旨の辞令書の写し                     1通
・本採用拒否の撤回を求める申入書                      1通

以上

※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、プリントアウトする際はA4用紙を使用するようにしてください。

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を行っているのか、といったことを記載します。

上記の記載例では、採用される際は「時給1000円」と説明されていたこと、過去の判例では「試用期間」が「解雇権留保付きの雇用契約」と判断されており本採用の拒否は「解雇」に準じて慎重に判断されるべきであり「客観的合理的理由」と「社会通念上相当な事情」があることが必要でそれがない限り本採用の拒否は権利の濫用と判断されること(三菱樹脂事件:最高裁昭和48年12月12日)、「試用期間」が「解雇権留保付きの雇用契約」と解釈されている以上、試用期間が経過した時点で「時給1000円」の雇用契約から留保された「解雇権」が消滅するだけで「時給1000円」の雇用契約が継続しているはずだということ、「時給1000円」の雇用契約が継続されているのであれば時給を800円に引き下げる行為は「労働条件の一方的な引き下げ」にあたること、「労働条件の変更」には労働契約法第3条1項または同法第8条で個別の労働者の同意が必要であり労働者側が引下げに同意しなければならない義務はないこと、などを説明し、その同意する義務のないことに同意しなかったこともって本採用を拒否することには「客観的合理的理由」はなく「社会通念上相当」ともいえないということを主張し、本採用の拒否が権利の濫用として無効であるという趣旨の文章にしています。

なお、試用期間経過後に賃金を引下げられるトラブルの具体的な法律的考え方やその場合の具体的な対処法などについてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 試用期間(研修期間)経過後に給料を下げられた場合

※「紛争の経過」の欄について

紛争の経過の欄には、会社との間の紛争がどのようなきっかけで発生し、会社側とどのような交渉を行ってきたのか、その経緯を記載します。

上記の事例では、試用期間が満了した後に上司に呼び出されて一方的に賃金の引下げを告げられ、それに同意しなかったところ本採用を拒否されたこと、またその後「本採用拒否の撤回を求める申入書」を作成し文書(書面)の形でその撤回を求めたものの、現在に至るまで一切撤回がなされていないことなどを記載しています。

※「添付資料」の欄について

添付資料の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の記載例では、「時給1000円の雇用契約が成立していたこと」を明らかにするために「時給1,000円で募集していた求人サイトの画面をプリントアウトしたもの」の写しを、「本採用が拒否されたこと」を明らかにするために「本採用を拒否する旨の辞令書」の写しを、また「文書で本採用拒否の撤回を求めたこと」を明らかにするために「本採用拒否の撤回を求める申入書」の写しを添付することにしています。

もっとも「時給1,000円で募集していた求人サイトの画面をプリントアウトしたもの」については、試用期間が始まる前に雇用契約書(労働契約書)が作成されている場合にはその契約書の写しを添付すれば足りるでしょう。

なお、「本採用拒否の撤回を求める申入書」の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

試用期間後の賃金引下の拒否を理由とする本採用拒否の撤回申入書

ちなみに、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付書類の項には「特になし」と記載して申立てをしても構いません。

(※「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。

上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。


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