配置転換に伴う賃金引下げに関する労働局の援助申立書の記載例

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バインダーと白紙

このページでは、配置転換(配転・職務内容の変更)にともなって給料(賃金)が引き下げられた場合に、労働局に対して個別労働関係紛争の解決に関する援助を申し込む際の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

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なお、この書式例(ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

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配置転換を理由として賃金が引き下げられた場合に労働局に紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例

〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 大阪市阿倍野区〇〇一丁目〇番〇号
氏名 夏徳須留花
電話番号 080-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 大阪市中央区〇〇三丁目〇番〇号
名称 株式会社ゴーイン
代表者 佐毛手真宇蔵
電話番号 06-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 労働者の同意を得ることなくなされた賃金の引下げを撤回するよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は、お笑い芸人向けのハリセンの製造および販売を行う従業員88名の株式会社であり、中央区の本社ビルにおいて商品となるハリセンの設計・開発及び販売・営業を、また門真市の工場で自社製品の製造および出荷業務を行っている。
 申立人は、平成〇年〇月に一般職として入社したものの新製品の企画が採用されたことによって平成○年○月から主力商品の一部となったいわゆる”ゴムパッチン”用のゴムの設計及び開発業務に従事していたが、お笑い業界でゴムパッチンが下火になってきたことから被申立人がゴムパッチンの製造から撤退することになり、それに伴う形で申立人も平成○年○月からコールセンターに配置転換されることになった。
 この配置転換を命じる際、被申立人は、申立人の給与を従前の月額30万円から月額25万円に引き下げているが、その理由は「コールセンターの給与は月額25万円と決められており、コースセンターで働いている他の従業員は25万円なのだから、配置転換に伴ってコールセンターに配属された場合には公平の観点からも当然他の従業員と同額にすべきである」というものであった。
 しかしながら、配置転換と賃金とは全く別の問題であって、配置転換に異議を唱えなかったからといって配置転換後の賃金減額にも応じなければならない義務はないはずである(デイエフアイ西友事件:東京地裁決定平成9年1月24日に同旨)。
 よって、このような被申立人の一方的な賃金の減額は、労働契約は労働者と使用者が対等の立場における合意に基づいて変更すべきものと規定した労働契約法第3条1項に、また労働条件の変更は労働者と使用者の合意によって変更することができると規定した労働契約法第8条に違反する。

3 紛争の経過

 申立人平成○年○月中旬、直属の上司である〇〇に呼び出され、「経営上の判断でゴムパッチンの製造から撤退することに決まったから君も部署を移動することになる。コールセンターでの電話応対業務となるが問題はないか」と告知され、入社時に一般職で入社していることや当初から製品の開発業務に従事するとは思っておらず、雇用契約上も職種の限定がなされていなかったことからこの配置転換に異議を唱えず、コールセンターへの移動に同意した。
 しかし、翌々月受取分の給与が従前の30万円から25万円に減額されていたことからコールセンターの監督者である△△に質したところ、「コールセンターの給与は月額25万円なんだからコールセンターに移動してきた以上25万円になるのは当然じゃないか」「みんな同じ仕事をしているのにお前だけ特別扱いできる訳ないだろう」という趣旨の回答しか得られず、人事部の部長である◇◇に相談しても、「配転に同意している以上、配転後の部署の従業員と同じ給与になるのは公平の観点からもしかたない。嫌なら配転に同意しなければよかったんだ」というのみで、賃金の減額が撤回されることはなかった。
 これに対し申立人は、平成○年○月○日付の「賃金の引下げの撤回を求める申入書」を作成し内容証明郵便で被申立人に送付したが、その後現在に至るまで一方的に引き下げられた給与しか受け取ることができていない。

4 添付資料

・労働契約書(雇用契約書)の写し         1通
・コールセンターに配転する旨の辞令書の写し    1通
・コールセンターに配転される前の給与明細書の写し 1通
・コールセンターに配転された後の給与明細書の写し 1通
・賃金の引下げの撤回を求める申入書の写し     1通

以上

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を起こしていて、どのような解決方法を求めているのか、といったことを記載します。

上記の事例では、配転命令と賃金の問題は全く別個の問題であって、配転命令に応じた(又は異議をとどめなかった)からといって賃金の減額に応じなければならない義務はないということを説明し(過去の裁判例でも同様の趣旨の判断が出されていることを説明し)、それに反して労働者の同意を得ずにして賃金の減額を行った会社の行為が違法であるという文章にしています。

【デイエフアイ西友事件とは?】

上記の申立書に記載した「デイエフアイ西友事件:東京地裁決定平成9年1月24日」とは、使用者が労働者に配置転換を命じたうえで配置転換後の給与を、配置転換後の部署の他の従業員と同額の賃金に引き下げたことから、配置転換後の賃金の引下げに労働者の同意が必要かが問題になった裁判で、配置転換と賃金とは法律上別個の問題であるから、仮に配置転換が有効であり配置転換した労働者が従前より低賃金に相当する労働に従事するに至ったとしても、配置転換後の賃金は従前の労働契約が適用され、労働者の同意のない賃金の減額は違法としてその差額の支払いが認められた事件になります。

なお、労働者の賃金の変更は”労働条件の変更”ということになり、労働条件の変更については使用者(会社・雇い主)と労働者(従業員)が対等な立場で締結または変更するのが原則であり、労働者の同意のない一方的な労働条件の変更(この場合は賃金の引下げ)は無効となります(労働契約法第3条第1項および同法第8条)。

【労働契約法第3条第1項】

労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

【労働契約法第8条】

労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

※なお、配置転換に伴う労働条件の切り下げについての対処法の詳細についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 配置転換にともなって賃金を引き下げられた場合の対処法

※「紛争の経緯」の欄について

紛争の経緯の欄には、会社との間に発生した紛争がどのようなきっかけで発生し、どのような交渉を行ってきたのか、ということを記載します。

上記の事例では、会社から配置転換を命じられ、それに応じたが勝手に賃金が減額されていたため上司や人事部に抗議したこと、およびその講義によっても賃金の減額が撤回されなかったため内容証明郵便で撤回を求める通知書を送付したということを想定して記載しています。

※「添付書類」の欄について

添付書類の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の事例では、会社との労働契約を明らかとするために労働契約書の写しを、配転命令があったことを明らかとするために配転命令の辞令書の写しを、配転に伴って賃金が減額されたことを明らかとするために配転命令前後の給与明細書の写しを、また賃金減額に抗議したことを明らかとするために賃金の引下げの撤回を求める申入書の写しを添付することにしています。

なお、添付書類の欄に記載した書類や資料は必ずその申立書に添付して労働局に提出する必要がありますが、添付書類は労働局への申立に必ずしも必要なものではありませんので特に添付する書類がないような場合は添付書類の欄自体を削除しても構いません。


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