仕事と生活の調和に配慮されない転勤に関する労働局の申立書


このページでは、勤務先の会社から「職種」の変更や「勤務地」の変更(転勤)を伴う配転命令(配置転換)を受けた場合に、その配転命令が労働契約法第3条3項に規定された「仕事と生活の調和」に配慮しなければならないという義務に違反していることを理由として、労働局に紛争解決援助の申立てを行う場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

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仕事と生活の調和に配慮されない配転命令(転勤)を命じられた場合に労働局に紛争解決援助の申立を行う場合の申立書の記載例

〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県川崎市中原区〇町目〇番〇号〇〇マンション〇号室
氏名 海後須瑠乃
電話番号 090-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都江戸川区〇〇町〇番〇号〇〇ビル〇階
名称 株式会社ジャパン配転ネットワーク
代表者 伊香瀬泰三
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

 配転命令を撤回するよう事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は介護用おむつ「やわらかパンツプリティー介護大人用」を製造販売する従業員80名の株式会社であり、江戸川区に本社営業所があるほか群馬県の沼田市に介護用おむつの製造工場を稼働させている。
 申立人は、平成〇年〇月に介護用おむつの製品開発デザイナーとして入社し本社営業所において新規製品のデザイン業務に従事していたが、平成○年〇月から沼田市の製造工場においてデザイン業務を行うよう、配置転換の配転命令(転勤命令)を受けた。
 この配転命令に対し申立人は、同居している母親が要介護4に該当する要介護者であったため、転居か単身赴任もしくは通勤に長時間が必要となる群馬県への転勤は事実上困難であることを説明し理解を求めたが、被申立人はそのような事情を一切顧みることなく当該配転を命じている。
 しかしながら、使用者には労働者の仕事と生活の調和にも配慮することが求められるところ(労働契約法第3条3項)、事実上申立人の介護が不能または著しく困難になるような配転は到底申立人の仕事と生活の調和に配慮しているとは認められない。
 したがって、このような被申立人の配転命令は、仕事と生活の調和への配慮義務を規定した労働契約法第3条3項にまた権利の濫用を禁止した同条5項に違反するといえる。

3 紛争の経過

 申立人は平成○年○月○日、直属の上司である○○(課長)から「来年の4月から群馬県の沼田市にある工場の方でデザインの業務をしてもらうことになったから」と転勤(配転)の命令を受けた。
 しかし、申立人は身体の不自由な母親の介護(要介護4)が必要なことから転居や通勤に長時間が必要となる勤務地への転勤は事実上困難であることを説明し、配転命令を考え直してくれるよう求めたが、「就業規則には転勤があることも定められているし君との雇用契約書でも勤務地が東京に限定されているわけではないから転勤は拒否できないよ」と回答するのみで一切介護の必要性を考慮してもらえなかった。
 そのため申立人は平成○年○月○日付の「配転命令の撤回を求める申入書」を作成し被申立人に書面という形で配転命令の撤回を申し入れたが、現在に至るまで当該配転命令は撤回されていない。

4 添付資料

・平成○年○月○日付の配転命令に関する辞令書の写し 1通
・母親の介護保険被保険者証の写し          1通
・配転命令の撤回を求める申入書の写し        1通

以上

※官公庁ではすべての書類をA4で統一していますので、A4用紙でプリントアウトするようにしてください。

申立書の記載要領

※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を行っているのか、といったことを記載します。

上記の記載例では、介護の必要性がある親と同居しているため遠距離の勤務地への転勤が事実上できないことを説明したうえで、労働契約法で労働者の仕事と生活の調和に配慮する義務が会社にあることを根拠に、その配慮に欠けた配転命令が権利の濫用に当たるというような文章にしています。

なお、「労働者の仕事と生活の調和に配慮しないこと」を理由に配転命令(人事異動)を拒否することができるのかといった点についてはこちらのページで詳しく解説していますので参考にしてください。

▶ 人事異動や配転命令を拒否することはできるのか?

※「紛争の経過」の欄について

紛争の経過の欄には、会社との間の紛争がどのようなきっかけで発生し、会社側とどのような交渉を行ってきたのか、その経緯を記載します。

上記の事例では、上司から群馬県への転勤(配転)を命じられた際に介護の必要性のある親がいるため転勤が困難なことを説明しているにもかかわらず配転(転勤)が強制されていること、などを記載しています。

※「添付資料」の欄について

添付資料の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の記載例では、「転勤を命じられていること」を明らかとするために「平成○年○月○日付の配転命令に関する辞令書」の写しを、「母親に介護が必要な事」を明らかとするために「母親の介護保険証」の写しを、また「書面で配転命令の撤回を求めても撤回されなかったこと」を明らかにするために「配転命令の撤回を求める申入書申入書」の写しを添付することにしています。

なお、この場合に添付する「配転命令の撤回を求める申入書申入書」の記載例についてはこちらのページに掲載していますので参考にしてください。

▶ 転勤命令を仕事と生活の調和を理由に拒否する通知書

ちなみに、裁判所における裁判と異なり、労働局への紛争解決援助の申立に証拠書類の添付は必須ではありませんので、紛争の事実を証明できるような文書やデータ(画像や音声・画像記録など)がない場合には添付書類の項には「特になし」と記載して申立てをしても構いません。

(※「写し」を添付するのは後で裁判などに発展した際に「原本」を使用することがあるからです。労働局への申立に証拠の原本は特に必要ありませんから、提出する書類(又はデータ)のコピーを取って、そのコピー(写し)を提出する方が無難です。)

※ 様式について

労働局に対する援助の申立書に定型の様式は設けられておらず、各都道府県の労働局によってその様式が異なっているようです。

上記の様式で提出しても問題ないと思いますが、たとえば東京労働局で使用されている申立書の様式は東京労働局のサイトからダウンロード(Word)できますので、その様式を使用して提出するのもいいのではないかと思います(東京労働局で使用されている様式を他の労働局で使用しても受け付けてもらえると思います)。

様式 | 東京労働局

もっとも、実際に労働局に対して援助の申立書を提出する場合は、申し立てを行う労働局に事前連絡や相談を行う場合が多いと思いますので、その相談する際に労働局で申立書のひな形をもらうなどした方が良いでしょう。

なお、申立書は会社の所在地を管轄する労働局か申立人の住所地にある労働局に提出することになろうかと思われますが、具体的な労働局の住所等については厚生労働省のサイトで各自ご確認をお願いします。

▶ 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省