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外国人の賃金(給料)差別に関する労働局の申立書の記載例

このページでは、外国人が日本人よりも低い賃金で働かせられている場合に、労働局に対して個別労働関係紛争の解決に関する援助を申し込む場合の申立書の記載例(ひな形・書式)を公開しています。

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なお、この書式例(ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

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外国人の賃金が不当に差別されている場合の労働局に対する紛争解決援助申立書の記載例


〇〇労働局長 殿

個別労働関係紛争の解決に関する援助申立書
(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条に基づく)

平成〇年〇月〇日

申立人(労働者)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 大阪市東淀川区上新城○丁目〇番〇号
氏名 サーベツ・スンジャー・ネイソン
電話番号 090-****-****

被申立人(事業主)
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 大阪市淀川区西中島〇〇町〇番〇号
名称 株式会社マネーフォアジャパニーズ
代表者 兼谷蘭蔵
電話番号 03-****-****

1 紛争解決の援助を求める事項

外国人労働者に対する不当な賃金差別を止めるよう、事業主に対する助言・指導を求める。

2 援助を求める理由

 被申立人は山菜を原料とす佃煮を製造する従業員88名の株式会社であり、淀川区の本社工場において飲食店向けに出荷する佃煮食材や缶詰製品の製造を行っている。
 申立人は出身国のバングラディッシュで佃煮の工場を開設したいという希望を持って来日し、平成○年○月から被申立人の本社工場において正社員として勤務しているが、被申立人の工場では、日本人従業員の給与が1月あたり30万円であるところ、申立人を含む他の外国人従業員には1月当たり20万円の給与しか支払われていない。
 この様な被申立人における賃金の差別行為は、国籍における均等待遇を規定した労働基準法第3条に違反する。
 なお、この外国人と日本人従業員の賃金の違いについて被申立人は「外国人は日本語の能力が劣るから作業の指示に時間がかかるため作業能率が日本人労働者より劣る」旨の説明をしているが、被申立人の工場で業務中に口頭で指示がなされるのは極めてまれであり(通常はただ黙々と製造ラインを流れる製品の検品や箱詰め作業に追われている)、仮に日本語の指示が必要な場合があるとしても、申立人は約8年間日本の大学と大学院に在籍していた経験があるため、日本語能力に問題はないはずである。

3 紛争の経過

 申立人は、同一の工場において同一の労働に従事する外国人労働者と日本人労働者との賃金に1月当たり10万円の差が生じていることについて、被申立人に入社した平成○年○月以降度々上司の○○に「外国人の給料を日本人よりも10万円も低く設定しているのは外国人差別ではないのか」という抗議をしてきたが、「細かな作業の指示を出す場合にはどうしても日本語の能力が必要となるから、日本語能力の低い外国人の賃金は日本人よりも低く設定せざるを得ない」という趣旨の回答をするだけで全く賃金の差別待遇を改善しようとしなかった。
 そのため申立人は平成○年○月○日、「外国人労働者の賃金に関する差別的待遇の改善申入書」を作成し、被申立人に内容証明郵便で送付したが、被申立人は「他の会社でもみな同じことをやっている。嫌なら辞めてほかの会社に行けばいいだろう」というのみで、差別的な待遇を改める気配は全く感じられない。

4 添付資料

・外国人労働者の賃金に関する差別的待遇の改善申入書の写し 1通

以上


※「援助を求める理由」の欄について

援助を求める理由の欄には、会社側がどのような法律違反行為を起こしていて、どのような解決方法を求めているのか、といったことを記載します。

上記の事例では、合理的な理由なく外国人と日本人労働者の間で賃金を差別している現状を記載することで、労働基準法の第3条に規定された”均等待遇の原則”に違反していることを説明し、会社の外国人差別をなくすべきである、ということを主張する文章にしています。

※「紛争の経緯」の欄について

紛争の経緯の欄には、会社との間に発生した紛争がどのようなきっかけで発生し、どのような交渉を行ってきたのか、ということを記載します。

上記の事例では、会社が外国人労働者と日本人労働者の賃金を不当に差別している状況に口頭で抗議したことを説明し、それでも改善しなかったため「外国人労働者の賃金に関する差別的待遇の改善申入書」という”書面”を作成して内容証明郵便で送るという方法で改めて抗議を行った、ということを記載して紛争の経緯を説明するものとしています。

※「添付書類」の欄について

添付書類の欄には、会社との間で発生している紛争の内容を証明するような資料があれば、その資料を記載します。

上記の事例では、会社に賃金差別の改善を求めたということ(自分で交渉しても会社が適切に対応してくれなかったから仕方なく労働局に申立を行ったこと)を明らかとするために内容証明郵便で送付した「外国人労働者の賃金に関する差別的待遇の改善申入書」の写しを添付するものとしています。

なお、外国人労働者の賃金に関する差別的待遇の改善申入書の記載例についてはこちらのページを参考にしてください。

≫ 女性や外国人の賃金差別改善の申入書【ひな型・書式】

ちなみに、添付書類の欄に記載した書類や資料は必ずその申立書に添付して労働局に提出する必要がありますが、添付書類は労働局への申立に必ずしも必要なものではありませんので特に添付する書類がないような場合は添付書類の欄自体を削除しても構いません。

なお、この外国人労働者に対する賃金差別への対処法の詳細については『女性や外国人が賃金(給料)で差別されているときの対処法』のページを参考にしてください。