AV出演の強制に関する違約金請求の労基署の申告書の記載例

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バインダーと白紙

このページでは、AVに強制的に出演させられるような契約を結んでしまった事例において、その契約が”雇用契約(労働契約)”と判断される場合に、労働基準監督署に対して違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例(ひな形・文例)を公開しています。

適宜、ワードなどの文書作成ソフトに打ち込んでご自由に利用してください。

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なお、この記載例(書式・ひな形例)は当サイト管理人が個人的な見解で作成したものです。

この記載例(書式・ひな形例)を使用して生じる一切の損害につき当サイトの管理人は責任を負いませんのでご了承のうえご使用ください。

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AVへの出演を拒否したことでプロダクション等から違約金の請求を受けている場合に、プロダクション等が労働基準法第5条の強制労働の禁止や第16条の賠償予定の禁止の規定に違反していることを根拠として労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う場合の申告書の記載例

〇〇労働基準監督署長 殿

労働基準法違反に関する申告書

平成〇年〇月〇日

申告者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
住所 神奈川県横浜市〇区〇〇町〇番〇号
氏名 二毛奈蔡子
電話番号 090-****-****

違反者
〒 〇〇〇-〇〇〇〇
所在地 東京都渋谷区〇〇丁目〇番〇号
名称 株式会社キョーセイ・プロデュース
代表者 和留田久弥蔵
電話番号 03-****-****

労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実を申告いたします。

1 当事者

違反者は、成人向けDVDその他成人向けグラビア映像等を企画・販売することを業務とするプロダクションである。
申告者は平成〇年〇月、違反者との間でタレントとして所属する契約を締結し、以後現在に至るまで違反者に指示されるまま数本のグラビアDVDに出演している。

2 労働基準法に違反する事実

 申告者は平成○年○月、渋谷区の路上を歩いていたところ違反者から委託を受けたスカウトマンに声を掛けられたことから違反者における専属の”タレント”として活動する旨の契約を締結した。
 この契約に関し申告者は「通常のタレント」活動をするものと考えていたが、違反者が申告者に無断で成人向けAV(アダルトビデオ※以下単に「AV]という)への出演に関する契約をAV制作会社との間で締結しAVへの出演を指示してきたことから、申告者は違反者に対して違反者との間で締結した契約の解除を申し入れた。
 これに対し違反者は、AVの出演を拒否することによって金1000万円を超える違約金が発生することを申告者に告知するとともに、申告者を違反者の事務所の会議室に連れ込んで数人で取り囲み「辞めるんなら違約金1000万円を支払え」などと脅迫的な言動で恫喝しAVに出演するよう執拗に求め続けている。
 なお、申告者と違反者の間の契約は契約書によれば申告者が違反者にそのマネジメントを委託するという「営業委託契約」の形をとっているが、出演する作品の決定権は全て違反者の側にあり、また出演する作品の撮影場所や撮影時間等は全て違反者が決定し申告者の意見は一切聞き入れられない等の事実があるから、申告者と違反者の間で結ばれた契約は実質的には委託ではなく「雇用類似の契約」であったと認めることができる(東京地裁平成26年(ワ)第25782号に同旨)。

3 是正措置の申立

 違反者が申告者に違約金を求める行為は労働基準法16条に、また、違反者がAVへの出演を拒否する申告者に対して脅迫等を用いて出演を強制する行為は労働基準法第5条に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。

4 添付資料

・申告者と違反者の間で締結された契約書の写し 1通
・申告者が違反者から脅迫等によりAVへ出演を強制された際の音声記録 CDRAM 1枚

以上

 

※この申告書は、申告者と違反者の間で結ばれた契約が「雇用類似の契約」と認定されることを前提としたものと理解してください。

なお、AV出演を強制される被害において、どのような契約が「雇用類似の契約」と判断されるかという点についてはこちらのページを参考にしてください。

▶ AV出演の強制に関する裁判例の法律的な考え方

是正申告書の記載要領

(1)「当事者」の欄

当事者の欄は、会社やご自身の会社の業務に合わせて適宜書き直してください。

なお、匿名で申告したい場合は申告者の欄は空欄のまま提出しても構いません。

▶ 労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方

(2)「労働基準法に違反する事実」の欄

労働基準法に違反する事実の欄には、申告の相手方となる会社等が労働基準法違反に該当するどのような行為をおこなっているのか、という点を記載します。

上記では、申告者と違反者であるプロダクションとの間の契約に違約金の支払いに関する約束があったことを説明するために、申告者がプロダクションと契約しAV出演を強制されるまでに至った経緯や、AV出演を拒否したことによって違反者であるプロダクションから現実に違約金の支払いを求められている状況を記載しています(※労働基準法ではあらかじめ違約金や損害賠償の定めをすることが禁じられています※次の(3)で後述します)。

また、違反者であるプロダクションから脅迫や監禁という手段によってAVに出演するよう強制されている状況を説明するために、会議室でAVに出演するよう恫喝されている状況などを記載しています(※労働基準法では脅迫等を用いて本人の意思に反して働くことを強制することが禁じられています※次の(3)で後述します)。

なお、このようなAVへの強制出演に関する事例の法律的な考え方等はこちらのページを参考にしてください。

▶ AV出演の強制に関する裁判例の法律的な考え方

(3)「是正措置の申立」の欄

是正措置の申立の欄には、申告の相手方となる会社等の行為が労働基準法の何条(何項)に違反するのかを記載します。

この事例では、申告者がAVへの出演を拒否したことに対してプロダクションが違約金を請求している事実が賠償額の予定を禁止した労働基準法第16条に、また、プロダクションがAVへの出演拒絶する申告者に違約金等の支払いを求めて脅迫的にAVへの出演を求めている事実が強制労働を禁止した労働基準法第5条に違反するという内容になっています。

【労働基準法第16条】

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

【労働基準法第5条】

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

なお、労働基準監督署に対する違法行為の是正申告は会社が労働基準法の何条に違反しているかが前提となりますので、どの条文に違反するか分からない場合は労働基準監督署に相談に行って聞いてみるか、事前に弁護士などの法律専門家に相談する方が良いかもしれません。

(4)「添付書類」の欄

添付書類の欄には、労働基準法違反の事実を証明するようなものを記載しますが、記載した書面については必ずこの申告書と合わせて提出(添付)しなければなりませんので注意してください。

なお、上記の文例では、申告者と違反者であるプロダクションとの間で結ばれた契約に違約金の定めがあったことを証明するために「申告者と違反者の間で締結された契約書(写し)」を、また申告者が違反者であるプロダクションから脅迫を受けてAV出演を強制させられている状況を明らかにするために、会議室でAV出演に承諾するよう脅迫されている現場をスマホなどで録音したという状況を想定して、その際に録音した記録をCDRAMにダウンロードして提出するという形で記載しています。

なお、添付書類として提出する文書等の「原本」は後日裁判になった際に使用する可能性がありますので、労働基準監督署に対しては原本ではなく「写し(コピー機で複写したもの)」を提出するようにした方が良いでしょう。

(5)違法申告したことを会社に知られたくない場合

労働基準監督署への違法行為の是正申告は、労働基準監督署には氏名を明らかにしつつも会社には匿名にして申告することも可能です。

≫ 労働基準監督署に提出する違法行為の是正申告書の書き方

監督署と会社双方に対して自分の名前を知られたくない場合には「1」の「当事者」の「申告者」の欄を空欄にして提出すればよいですが、監督署には名前を告知しても構わない場合には、「1.当事者」の「申告者」の欄に名前を記入したうえで申告書の末尾に「5.備考」という項目を追加して

「本件申告をしたことが違反者に知れると違反者から暴行脅迫等不当な扱いを受ける恐れがあるため、違反者に対しては申告者の氏名を公表しないよう求める。」

というような文章を挿入してください。

是正申告したことを会社に知られても構わない場合は、上記の記載例のように備考の欄を削除しても構いません。

なお、AVへの強制出演に関する裁判例の内容等などについてはこちらのページでご確認ください。

▶ AV出演の強制に関する裁判例の法律的な考え方

▶ AV出演を強制させられる契約を解除(取消)する方法


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