AV出演を強要する契約を解除(取消)する方法

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社会問題化しつつあるAVへの出演を強制させる人権侵害の問題ですが、事件の性質上、潜在的な被害者の数は想像しているよりも遥かに多いのではないかと思います。

このAVへの出演を強制させる問題が表面化してこなかった要因としては、性的な性質を有していることから被害者が声を挙げにくかったという点がまず考えられますが、プロダクションやの制作会社などと被害者となっている女性の間で結ばれた契約が特殊で消費者法や労働法など社会的弱者の救済を目的とした法律による解決が難しかったという側面もあるのではないかと思われます。

もっとも、仮に被害者の女性とプロダクションや制作会社との間で結ばれた契約が”形式的”には消費者法や労働法の枠組みに含まれないものであったとしても、被害者とプロダクション(または制作会社)との関係性などを考慮すれば”実質的”には消費者法や労働法といった法律を適用して解決できる事例もあるのではないかと考えられます。

そこで今回は、AVへの出演を強制させる契約を結ばされるなどして自分の意思に反してAVやわいせつなビデオ(動画)などへの出演を迫られている(または出演させられている)女性被害者が、そのプロダクション等などとの契約を解除(又は取り消す)するにはどのような方法があるか、という点について考えてみることにいたしましょう。

なお、このページにレポートする内容はあくまでもこのサイトの管理人の個人的な見解に基づくものに過ぎませんので、実際にAVへの出演を強制させられている被害者の方がプロダクションやAV制作会社に対して契約の解除や取消を通知する場合は弁護士に事前に相談することをお勧めいたします(このページの最後に相談先のリンクを張っています)。

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Ⅰ. 被害女性が未成年の場合

もし、プロダクションや制作会社からAVへの出演を強制させられているのが未成年者の場合には、そのプロダクションや制作会社との契約は「未成年者の法律行為」として取り消すことができると考えて間違いありません(※1)。

なぜなら、民法という法律には、未成年者(20歳に達しない人)が何らかの「契約」をする場合には、親(父・母)などの親権者(法定代理人)の同意を得ることが必要であり、その同意がないまま未成年者が契約してしまった場合にはその契約を取消すことができると規定されているからです(民法第5条1項ないし2項)。

【民法第5条】

第1項 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。(但書省略)
第2項 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
第3項 (省略)

悪質なプロダクションや制作会社が”未成年の女性”をスカウトする場合、その女性の親の同意を取ることはまずありません。常識的に考えて自分の子供がAVに出演させられるような契約に同意するような親はいないからです。

親に連絡されてしまうと契約を結ぶことができませんから、このような悪質なプロダクションや制作会社は親に内緒で契約を結ばせるのです。

そのため、未成年の女性がプロダクションや制作会社から「契約したんだから出演しろ」とか「出演を拒否するなら契約違反として違約金を請求するぞ」と脅迫を受けたとしても、そのような契約は「未成年者の契約」として無条件に一方的に取り消すことができますので何も心配することはないでしょう。

過去の裁判例でも、AVへの出演を強制された女性が契約を解除(取消)した事案で、成年に達する前のプロダクションとの契約を親の同意がないことを理由として未成年者による法律行為を根拠とした取り消しを有効と判断したものがあります(※1)。

Ⅱ. 20歳を超えているが契約当初は未成年であった場合

AVへの出演を強制させられている女性が成人(20歳以上)に達していたとしても、そのAV出演に関係する契約を結んだのが20歳になる前であり、かつ親(法定代理人)の同意を得ていない場合であれば、前述の「1.」で説明したのと同様に「未成年者の法律行為」として取り消すことが可能です(※1)。

たとえば、19歳の時にスカウトされてプロダクションや制作会社に10本のAVに出演するというような契約を結ばされた場合に、仮にプロダクションや制作会社の要求を断りきれずに20歳になるまでの間に10本のうちの1本に出演したとしても、20歳の誕生日を迎えた後にプロダクションや制作会社との間で未成年の時に結んだ契約を「未成年者の法律行為」として取消して残り9本のAVに出演することから逃れることが可能です。

この場合、プロダクションや制作会社との契約が被害女性が未成年の時に結ばれたものであるため、仮に被害女性が成人した後であっても「未成年者のした法律行為」という事実は消えませんから、20歳になった後に「親の同意を得ずに結ばれた未成年者の契約」として取り消すことが可能なのです(※ただし法定追認など一部例外があるので注意が必要です)。

3.プロダクションや制作会社との契約が「雇用類似の契約」と判断される場合

プロダクションや制作会社との契約が形式的に”委託契約”や”委任契約”の形を取っていたとしても(契約書に”営業委託契約”や”委任契約”などと記載されていたとしても)、プロダクションや制作会社と被害女性との関係性が「雇い主(使用者)」と「従業員(労働者)」と認められるものだったり、契約の態様が「雇用」と認識できるようなものである場合には、その契約は「雇用類似の契約」と判断されることになります(※1※2※3)。

契約が「雇用類似の契約」と判断されれば民法の”雇用”に関する規定や労働基準法、労働契約法といった”労働法”に基づいて契約を解除することができますので、出演を強制するプロダクションや制作会社から逃れることが可能です。

例えば、プロダクションや制作会社との契約が「〇年〇月から〇年〇月まで」というようにその契約期間が定められている場合には民法第628条によって契約を解除することが可能です。

【民法第628条】

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。(後段省略)

この点、民法第628条には「やむを得ない事由があるとき」と規定されていますので、AVの出演を強制させられている女性側に「やむを得ない事由」があるかという点が問題となります。

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